(1)最高裁は、平成21(受)1338において、破棄差戻しとしました。主文は次の(a)、(b)のとおりです。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid …
(a)原判決を破棄する。
(b)本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
(2)名古屋高裁は、控訴を棄却しました。主文は次のとおりです。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid …
(a)本件控訴を棄却する。
(b)控訴費用は控訴人の負担とする。
Q1
(1)の主文はどの様な意味でしょうか。名古屋高裁で再審理せよという意味でしょうか。
Q2
(1)、(a)に言う「原判決」は、(2)の「全文」、「別紙」のどちらかのことでしょうか。
Q3
(2)の主文はどの様な意味でしょうか。名古屋地裁で再審理せよという意味でしょうか。
Q4
名古屋地裁は本件を再審理したのでしょうか。
Q5
(2)の「別紙」は名古屋地裁における本件の最初の判決でしょうか。
Q6
本件は、(2)の「別紙」で確定したのでしょうか。
裁判というものを全く知らないので、トンチンカンな質問をしていると思います。
もしできれば、Q1~Q6のそれぞれに御回答を頂けないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
一つ補足しておきます。
Q7既に述べた通り、「最初から」ではありません。さて、差戻し前の判決には法令解釈に誤りがあることが理由で名古屋高裁に審理のやり直しを命じていますが、別の理由で控訴人=原告が再び敗訴する可能性はあります。もし控訴人=原告の敗訴の可能性がないのであれば、もう結論が出ているということなのですから、最高裁は差し戻さずに自判します。最高裁が自判しないということは、原審の結論を導いた理由が間違っているということは言えても、ではどのような結論が正しいのかは判断できないということです。だからそこを審理しろというのが「差戻し」の意味です。もっとも、既に審理した部分を改めて審理し直すことができないわけではありませんが。
の最後の一行は誤解を招きそうなのでもう少し詳しく説明しておきます。
差戻審(高裁)では上告審(最高裁)が「判断」したことに反する判断は、事実または法解釈のいずれに関するものであってもできません。本件だと例えば賦課決定の不服申立て期間を過ぎて賦課決定を取消せなくなったとしても国家賠償請求は可能であるという最高裁の判断に反する判断を差戻審ですることはできません。そうでないと堂々巡りになっていつまでも訴訟が終わらないことになりますから。あくまでも最高裁が判断していないことについてのみ審理し直すことができます。
実際の差戻審では控訴審で審理を尽くしていないと最高裁が指摘したことを審理するのですが、控訴審で審理したことでも最高裁が特に判断をしなかったのであれば、差戻審で改めて審理し直すことはできるという意味です。
判決文の文章と用語が難しくて、判決文だけ見ても何のことなのか全く分からなかったのですが、詳しくお教えいただいてとてもよく分かりました。疑問に思っていたことが全て氷解しました。
本当にありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
まずそれぞれの判決の関係を明らかにしておきましょう。
(1)の最高裁判決と(2)の高裁判決の関係は、(2)が(1)の原審であるという関係です。
これは、事件番号等を見れば明らかですね。
(1)の原審裁判所名と(2)の裁判所名は共に名古屋高等裁判所である。
(1)の原審事件番号と(2)の事件番号は共に平成20(ネ)732である。
(1)の原審裁判年月日と(2)の裁判年月日は共に平成21年3月3日である。
ということで、(1)の原審と(2)の裁判は同じものです。
この訴訟は流れとしては、
(1)原告は、固定資産税の賦課決定に誤りがあったが賦課決定に対する不服申し立て期間を過ぎてしまったので余計に払った分を損害とする「国家賠償請求訴訟」を提起した。
一審の名古屋地裁判決では、
本件賦課決定は当然無効とまでは言えない。
無効でない上に取り消しもしていないので有効である。
固定資産税の賦課決定に対する不服申し立て期間が限られている以上、その期間を過ぎて国家賠償請求を認めると不服申立期間を限定した趣旨に反するので、国家賠償請求はできない。
とだいたいこんな感じな理由で原告が敗訴した。
(2)原告は地裁判決を不服として名古屋高裁に控訴した。
控訴審の名古屋高裁判決でもだいたい同じような理由で地裁の判断を是認して控訴を棄却、つまり控訴人=原告が敗訴した。
(3)そこで控訴人=原告は最高裁に上告した。
最高裁は、国家賠償請求はできるという解釈の元、上告に理由があると認めて控訴審の名古屋高裁判決を取り消した上で、名古屋高裁に、国家賠償の各要件に関する審理が足りないから「足りない審理を」尽くせと差し戻した。
というものです。
以上の前提のもと、各問に回答します。
Q1(1)の主文は、
1 原判決を破棄する。
2 本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
と言っているのですから、最高裁判所は原審の判決を「破棄した」つまり「上告に理由がある」と判断したということです(主文1)。
その上で、国家賠償法上の損害賠償義務の存否について審理が足りないから原審(=名古屋高裁)で足りない審理をやれということで差し戻したものです(主文2)。足りない分をやれですから「最初から」なんてやりません。そんな無駄なことやってられません。大嘘です。ただし、新たに口頭弁論を行い、かつ、原審に関与した裁判官以外の裁判官が行うことにはなっています。しかし、弁論を更新して従前の訴訟資料が使えるようなっています。
Q2(1)の原判決とは、今述べた通り。すなわち、名古屋高裁判決のことです。これは、http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id … の「全文」の方です。「別紙」は地裁判決ですが、最高裁が破棄したのは原判決=名古屋高裁判決なので「全文」の方です。「別紙」というのは大間違いです。
Q3(2)の主文は、
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
と言っていますから、「控訴」つまり一審の名古屋地裁判決(「別紙」の方です。)に対する「不服申立て」を理由がないとして認めなかったということです。この場合、一審=名古屋地裁の判決を是認したということですので、名古屋地裁判決の内容がそのまま維持されるということになります(主文1)。維持されると言っても「確定」ではありません。「確定」は法律用語です。きちんと定義が決まっています。判決が「確定」するとは言い換えれば終局判決に対して上訴ができなくなるということですが、本件では期限内に控訴審の終局判決にちゃんと上告しているので「確定」していません。しかも破棄判決までもらっています。「確定」とか超絶デタラメです。
控訴費用は控訴人の負担とするというのは、単に訴訟費用を誰に負担させるかという話で、控訴人が敗訴したので控訴人に控訴費用を負担させると言っているだけです(主文2)。
Q4以上の通り、していません。そもそも民事訴訟においては一審と控訴審というのは「一体」の扱い(続審と言います。)なので上告審で原判決(控訴審判決)を破棄して差戻す場合は、控訴裁判所と決まっています。
Q5そうです。本件の第一審判決です。
Q6これは、判明したようですので省略します。
Q7既に述べた通り、「最初から」ではありません。さて、差戻し前の判決には法令解釈に誤りがあることが理由で名古屋高裁に審理のやり直しを命じていますが、別の理由で控訴人=原告が再び敗訴する可能性はあります。もし控訴人=原告の敗訴の可能性がないのであれば、もう結論が出ているということなのですから、最高裁は差し戻さずに自判します。最高裁が自判しないということは、原審の結論を導いた理由が間違っているということは言えても、ではどのような結論が正しいのかは判断できないということです。だからそこを審理しろというのが「差戻し」の意味です。もっとも、既に審理した部分を改めて審理し直すことができないわけではありませんが。
Q8裁判が判決ではなく和解で終了する場合には和解内容を調書に記載します。調書の和解の記載は確定判決と同じ効力があります。調書は当然、裁判所に保存します。でないと後で必要になった時に困りますから。
以上
No.1
- 回答日時:
>Q1
>(1)の主文はどの様な意味でしょうか。名古屋高裁で再審理せよという意味でしょうか。
「名古屋高裁で裁判を最初からやり直せ」と言う意味。
>Q2
>(1)、(a)に言う「原判決」は、(2)の「全文」、「別紙」のどちらかのことでしょうか。
名古屋地裁で出た判決の事。つまり「別紙」の方。
>Q3
>(2)の主文はどの様な意味でしょうか。名古屋地裁で再審理せよという意味でしょうか。
違います。
「控訴される前に出ていた名古屋地裁の判決で確定だ。判決後に行った控訴は認めん」って事です。
>Q4
>名古屋地裁は本件を再審理したのでしょうか。
してません。
最高裁が「名古屋高裁でやれ」って命令してるから、名古屋高裁で「やり直し」をしている筈です。
>Q5
>(2)の「別紙」は名古屋地裁における本件の最初の判決でしょうか。
「本文」と「別紙」を読んでみれば判りますよ。
判決を出している場所と判決を出してる裁判官名が明記されてますから。
>Q6
>本件は、(2)の「別紙」で確定したのでしょうか。
「本件」って、どの件ですか?
「最初の名古屋地裁の事件」も「名古屋高裁での控訴審」も「最高裁の審判」も、全部「異なる事件番号が付けられた、異なる事件」なんですよ。
「最初の名古屋地裁の事件」の提訴理由は「固定資産税を違法に取られて被害に遭ったから賠償して欲しいから」です。
「名古屋高裁での控訴審」の控訴理由は「最初の名古屋地裁の判決が不服だったから」です。
「最高裁の審判」の上告理由は「名古屋高裁での控訴審の判決(控訴棄却)が不服だったから」です。
どれも「訴えた理由」が違うし、訴えにより求めている事が違いますよね?
で、一連の事件の結果は、最高裁で「名古屋高裁で最初からやり直せ」って言ってるから、名古屋高裁で「新しい事件番号が付けられて再審理されている」と思います。
その結果がどういう結果になったかは、判例を検索してみないと判りません。
最初に地裁で出た判決と似たり寄ったりの判決が出ているかも知れませんし、逆転判決が出ているかも知れません。
この回答への補足
早々に、しかも詳しく御回答を頂きありがとうございます。
探してみるとありました。確かに名古屋高裁では再審理をしています(和解してるようです)。
次のURLの189ページにあります。
http://ir.nul.nagoya-u.ac.jp/jspui/bitstream/223 …
あと少しだけお教えください。
Q7
「名古屋高裁で裁判を最初からやり直せ」と言う意味。
「最初に地裁で出た判決と似たり寄ったりの判決が出ているかも知れません」
とのことですが、最高裁に「名古屋高裁で裁判を最初からやり直せ」と命じられて、「最初に地裁で出た判決と似たり寄ったりの判決」を出すことができるのでしょうか。
もちろん、裁判官の良心に従って判決するわけですからそのようなことも可能ではあると思いますが、上級裁判所が「やり直せ」と命じているのに「最初に地裁で出た判決と似たり寄ったりの判決」を出すということは上級裁判所の命令に背いているようにも思えます。
「最初に地裁で出た判決と似たり寄ったりの判決」を出すことは実際問題として可能なのでしょうか。
そのような判決を出すことはかなり頻繁にあるのでしょうか。
すみません。
それと後1つお教えください。
Q8
本件は最終的には和解したようですが、和解した場合は、和解とした理由又は和解に至る経緯を示した裁判所の文書(判決文、勧告文、合意書など?)は作成されるのでしょうか。また、それは裁判所に保管されるのでしょうか。
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