漫画の方です。
何度か読んでます。
結構謎だらけです。
特に7巻あたりはやばいです。
まあ、「わからない」という事でもいいのですが、「説」でもいいので何かあれば。
1.7巻P35あたりで名を与えられた巨神兵が突如知能が発達しますが、これはどういう事でしょう?「名」は体をなすって事でしょうか?又そこでナウシカは巨神兵は単なる兵器として作られたわけではなさそうだと悟りますが(知性は兵器にはじゃまだから)、じゃあ巨神兵はなんだったと解釈できるのでしょうか?
2.最初から出てくる「秘石」ですが、結局大して重要には扱われず終わります。巨神兵の成長と関連があると思われましたが秘石なしでなぜ成長できたのでしょうか?あるいは成長途中で刈りだされたという事でしょうか?だから腐っていくのでしょうか?(それもよくわからんが)。
3.7巻P192あたりからは壮大な禅問答が続きますが、まず、教団はなぜ外部に協力者が必要なのでしょう?何を協力してもらうのか。
4.ナウシカは墓所を結局否定します。なぜでしょう?反バイオテクノロジーという事でしょうか?人類生存の可能性を破壊した。うーん。
5.で、最後に墓所の血が王蟲と同じ事に驚いていますが、これはなぜ驚きなのでしょう?同じという事はどういう意味なのでしょう?その前に王蟲も人類が作ったと悟った後なのになぜ?
No.10
- 回答日時:
もう回答しないと言っておいてなんですが、
私が勝手に手持ちの古雑誌から出してしまった
質問3 についての宮崎さんの考えだけを、
もう少し解説しておきます。
ソフトは単独では存続できない
と言うことですが、つまり、こう言う事だと思います。
自動車の作り方を書いた本があっても、
それを平安時代の人に読ませた所で、
彼らは内容を理解できないし、
理解することによってどう役に立つのかも分からない。
常に誰かが自動車を作り続けることで、
その知識・技術は存続して行くことが出来る。
本だけを残しても、必要な時にそれを使うことは出来ないだろう。
こんな所だと思います。
ちょっと1面的になりますが、幼稚園児に
科学実験の手引きを渡して命令しても仕方がないから、
教育を施していると言う方が分かり易いでしょうか。
もちろん、この事についても、また他の事項についても、
どの様に漫画の内容を受け取るかは、人それぞれで良い事です。
上の解説はあくまで宮崎さんの意図であって、正解とは異なりますから。
それに、自らの解釈を発展させて行くのも楽しいことですし。
ありがとうございます。
うーんわかるようなわからんような。地球が浄化された後に必要な技術だからその前に使ってもしょうがないと思うんですが。単純に墓所が300年存続して300年後に博士が新人類に享受すればすむと思うのですが。せっかく今の人類に教えても結局たまごである新人類に教えなあかんのだから同じじゃないのだろうか。宮崎も後で適当に理屈くっつけた感じがするなあ。
僕は「協力者が必要」というのはうそで「戦争をけしかけてる」と考えましたが飛躍しすぎかなああ。
No.9
- 回答日時:
つっこまれないと思って適当に書いたところがつっこまれました。
(*´д`)というわけで、恥の上塗りになりそうですが一応書きますね。
遺伝子とは、ようは生物の「身体」を環境に合わせて作っているということです。脳も含め。他のことはしてない。
にもかかわらず、人間のような怪奇なものが出来るというところがスゴイ。
遺伝子に(つまり身体に)関係なく「精神」とやらが別に在るんならそっちを大切にすればいいじゃん。と思ったのです。
「あの世」とかその他ファンタジィーは、幻覚の一種として説明できそうですが、実在するとなると話しは別。(記憶違いかもですが、皇弟は「霊体」でしたよね)
「苦悩は偉大」はじつは最悪な考えです。
宗教が使うの必殺技の一つで、苦しめば苦しむほどイイんですから、こっちはどうしようもないのです。
自爆テロが強力なのもそのせいじゃないかな?
なるほどわかりました。
「苦悩は偉大」はよく使われますが、「ワクチン」として考える時のみOKだと思ってます。
なれておけば安心というか。
「マスコットバット」でもいい。
重いバット振っておけば本当のバットが「軽く感じる」。
重すぎると肩がはずれたりしてよくないわけですね。
生きるためのワクチンですから自爆テロは意味不明ですよね。
No.8
- 回答日時:
7巻だけですが久々に読み返して、前より色々考えさせられたり、
再度泣かせてもらう事もしきりでした。
お礼文にあった疑問ですが、自分の説明がつたなかったり抜けている部分が
あった事もあって失礼しました。
しかし、補足していっても、自分の理解が変化する事もありえ、
どんどん続けてしまいますので、ここで述べるのみにさせていただきます。
その代わり過去の同様の質問を示しておきますので、参考にして下さい。
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=67664
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=241284
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=765612
1
名前の獲得の意味も突き詰めると色んな解釈があると思いますが、
「劇的な演出効果」とだけ捉えるのもありだと思います。
火の7日間の真意は分かりませんが、これにより、人類の力が弱まって、
世界大戦などによる目下の絶滅を防いだと考える事もできます。
3
墓所もまた生物ですから、孤独を嫌ったと言うのも面白いと思います。
私の回答では、必要な時に近場に人類が居なくなっていたら困る。
その時ちゃんと言う事を聞く人間でないと困る。
そんな事にならないよう、事前に関係を築いておくというものでした。
また宮崎さんの考えでは、ソフト(ここでは人類復興のプログラム)と言う物は全て、
単独では存続しえず、常に使われていないと、
機能しなくなるものだから と言うことらしいです。
(コミックボックス ナウシカ完結記念特集号インタビューより)
4
・墓所の主は、人類存続のため、目的を持った生物を作り、操作する。
将来は永遠に調和の取れた理想郷を目指す。
絶滅や病気などの苦悩は努力により克服していこうとする。
こう言った理想実現の努力を放棄する事は諦めであり虚無だと批判する。
・ナウシカは、今現在生きている生物が、外部の意思に関係なく、
その生物の生命の力で生きて行く事を尊ぶ。
将来は、今生きている生物達の活動に委ねられるものと考える。
絶滅や病気などの苦悩は、生命の活動そのものの1面であり、これを経て、自らの力で生物は変化(進化)する。(これはつまり、将来腐海と人間が共生して存在する生態系が生まれる可能性を残す)
また、存在する現在の生物を理想の道具とのみ捉えて手段を選ばない考えを冒涜と考える。
と言う事だと思います。
この両者の決裂をどう捉えるかは、それこそ人それぞれだと思いますし、
私自身ですと墓所に共感も覚えます。
5
理屈の上で予想できたことだから、何も感じないと言うことではないと思います。
ナウシカにとって生命の尊厳を象徴するような王蟲と、同じく生物であるにも関らず、
生命を冒涜した哀れな存在に思える墓所が、同じように作られたと言うことに、
感じるものがあったのだと思います。
ありがとうございます。
1.「命名」がなぜ劇的なのか?千尋でも使ってるのでこだわってますよね。名前に。アイデンティティを語っているのでしょうかね。
3.グノーシスの話はなるほどです。わかります。もしかしてこうですかね?墓所のプログラムは「さっさと腐海を拡大して再生を推進する」であるなら、現行の「戦争こそそのプログラム推進機能である」と。戦争して腐海を拡大させたい。墓所はなぜ外部の人類を必要としているかというと、墓所の技を使って恐怖心をあおったり兵器として利用したりして要するに「争うことを促している」。「協力をようする」なんて言葉はあまっちょろくて「戦争してもらわな困るねん」ということではないのでしょうか。であるなら納得です。
4.だとしたら墓所こそ争いの根源でそれを破壊するナウシカは正しい。「あとできれいな体にもどしたる」という墓所はうそつきなわけですからね。墓所からすると人類に平和に生き延びて欲しいのではなく、戦争を繰り返して欲しいわけですからね。正に人類は腐海拡大の理想の道具?(しかし、そんなことでんでもオウムを暴走させれば済むのになあ。やっぱよくわからん。)。
5.と気付いたにも関わらずナウシカは「オウムは違う(プログラムではない)」と思ってたってことですかね?だから同じ血に驚いた。まあ、もっと言うと「青き衣」って伝説も作られたものになりうる。青ってのがそもそもプログラムされた墓所&オウムの血の色なわけですからね。もっと言うとナウシカの出現自体がプログラムの可能性もある。わお、「マトリックス」と同じやん。これじゃ。でもナウシカがもしかするとオウムがプログラムなら伝説も自分自身もプログラムではいかと予感した上での驚きだとしたら結構深いオチですね。
No.7
- 回答日時:
・あんま憶えてないんでいろいろ違う思います。
・難解な話しにはついていけないんですが、4.にだけ勝手な意見を言います。
ナウシカは、
「たとえ造られたんだとしても、生命は生命の力で生きている」とか言ってたとおもう。「生命は闇のなかの光だ」とも。
「目的とか予定とかは、生命の本質に反する」
という意見。
墓所の主は、憶えてないんで要約すると
「この滅亡の危機に倫理もくそもないだろう。」
「生命の本質がどうとか言ってるが、ほんとに解って言ってるのか?生き残ることこそ生命の根本だ。」
みたいな感じかな?だいぶ違うと思うが・・。
両方もっともな意見。
たしかに、あのまま人類は『滅亡』しそうですよね。
ナウシカはそれを受け入れる、墓所の主は受けいれない。この違いだと思います。
両者、いろいろ理屈を付けますが、ようはこの「信念」の違いが大きいのではないか。
バイオテクノロジーの是非もその一つでしょう。
墓所の主は科学者というかコンピュータっポイ。
ナウシカは「苦悩こそ偉大だ」みたいなセリフからですが、宗教家っポイと思いました。
マンガ内では、明らかな精神世界も描かれてたので、イマイチ現実感がなかったですね。
あの世とか、肉体を超えた世界が存在してんなら大きく価値観が変わるからです。具体的には遺伝子の地位が下がるんじゃないかと。
ナウシカは「武士は食わねど高ようじ」なんですかね。やせがまん。そのくせすぐ泣くくせに。あんまり尊敬できないなあ。
「苦悩こそ偉大」は確かに「なんで?」って感じ。上岡龍太郎と真っ向から対立しますね(笑)。彼は「若いときに苦労はするな」ですからね。
ところで最後のお言葉が大変興味深いのですが言葉すくなでちょっとわかりません。肉体を越えた世界と遺伝子の地位ってもう少し説明していただけないですか?
No.6
- 回答日時:
もちろん人それぞれの読み方があって良いのですが、
参考までに現在の私なりの解釈を。
1
知能が発達した理由ですが、名前を得ることでそうなるよう、
あらかじめ設計されていたためではないかと思います。
巨神兵の存在は作中にある通り、調停者にして裁定者
つまり人間のコントロールの及ばない力を持つ神だと思います。
パレスチナ問題の様に、人間の知恵ではなかなか解決できない問題を、
神が絶対的な力を背景に調停してくれていたのでしょう。
しかし世界規模の問題解決のため、人類粛清とも言える火の7日間と言う
裁定が下され、実行されたのだと思います。
2
秘石は巨神兵の完成に必要な装置なのでしょう。
ただ、墓所の技術を使えば、ある程度はその代わりの措置が
取れたのだと思います。
ただ、完全には代替できなかった事と、成長の途中で
子宮が破壊されたため、腐って行ったのだと思います。
3
地球が腐海により浄化された時に、その浄化された世界を舞台に、
持続的に共生できるより優れた生物種を繁栄させ、
またそのように改善された人類をそこに産み落とす事で、
種としての人類を絶滅の危機から救うのが墓所の目的だと
します。
しかし、墓所単体ではこらら生物を世界中に産み落とし
繁栄させる事はできず、外部に広く細かく及ぶ手足を
必要とするようです。
その時の手足として使役できるよう、外部の協力者を
事前に作っておくのでしょう。
この最後の仕事の時、協力者は自分が何を協力しているのか、
理解しているかどうか分かりませんが、以前からの
関係から、墓所なしでは立ち行かなくなっているであろう
協力者は、積極的にこの役割を果たすだろうと考えられます。
4
共生以外のキーワードを述べると、「持続可能」「恒常的」な環境
と言う物を、墓所は希求します。
つまり現在の我々から見て理想的な住み易く美しい環境です。
しかし、生物の長い歴史を見れば、常に地球環境は大きく
変化しており、その時代の環境に合った生物が繁栄します。
誕生初期の生物にとって酸素は腐海の胞子の様には有害でしたし、
ジュラ紀の恐竜は今の環境では生きていけません。
生物全体でみると、常に滅びながらも姿を変え、
生存し続けてきたと言えます。
この生物のあり様を、
「血を吐きつつくり返しくり返しその朝をこえて飛ぶ鳥」
「いのちは闇の中のまたたく光」
と表現しているとも思います。
この様な「生命」の性質・本質を否定しているもの、
不変の環境・絶滅の阻止と言った墓所の目的を拒絶したのだと思います。
また墓所の主は、この生命の性質を、全て天に任せて諦める
虚無であると否定していると思います。
こう考えるとp201のやり取りもさらに緊迫してくると思います。
5
上記生命の性質・尊厳を否定した目的を持つ墓所の血と、
旧世界の人間の設計にも関らず、目的を持った道具としてでなく、
生命の歴史の中で自ら生き続ける王蟲という、
相反する存在にも関らず、同じ血を有していたこと。
この事実に対して、生命への深い思いを馳せた、
噛み締めるような感覚であると私は理解しています。
ですから、単純な驚きとはまた違った感覚なのだと捉えています。
1.そうですね、名前を付けたらそうなるようにできてる。この仕組みはなんか意味深な気がしたのですが、気のせいでしょうか?宮崎は千尋でも名前にこだわっている。名前の喪失と獲得にえらい意味があるようだ。
火の七日間はやっぱりターミネーターといっしょ?
2.了解です。
3.うーんわからないです。産み落とすのはまだまだ先なので今はひっそり生きてればいいと思うのですが。ちょろちょろ出てくるから大騒ぎになってるわけで。孤独に耐えられないだけじゃないかと言う風にみえます。
4.ナウシカの予定調和嫌いもわからいではないですが、解決方法が「破壊あるのみ」というのはやけくそとしか感じられない。まだ、墓所の方が知的で説得力がある。
5.もよくわかりません。おうむも人間が作ったのなら同じ血が流れてても不思議はないのですが。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
これらの問題についての参考文献を挙げておきます。
はじめての宗教学 『風の谷のナウシカ』を読み解く
正木晃/著 春秋社
出版年月 2001年6月
価格 1,890円 (税込)
ナウシカを読むなら、これもお奨めです。
連続で長々と投稿してしまい、申し訳ございませんでした。
No.4
- 回答日時:
長々と書いてしまって申し訳ありませんでした。
ナウシカの大元ですが、確かあれはどこかの民族紛争をモデルにしたという話を聞いたことがあります。
ただ、ナウシカの結論はあくまでも「宮崎駿氏の見解」であって、あれが正しいというわけではありません(私自身は支持しますが)。つまり、「人が人として生きる」こと、それ自体が環境を破壊するのであれば、ならば滅びと共に生きよう、これが宮崎氏の態度ですが、これはこれで、No3で引用したコアラで例えると「放置する」ということですので、益々多くの人が死ぬ、ということにもなります。
しかし、組み込まれた予定が予めあって、自ら考えようとせず、ひたすら組み敷かれた路線を行く、それで良いのか?そんなのは人間じゃない。たとえそれが間違った道であろうとも、自ら道を切り開いてこそ人間ではないか、と。だから、ナウシカは墓所の要求を拒否し、墓所を破壊した。それゆえ、ヴ王の「破壊と自費との混沌」というのは、そういうところからきているものだと考えます。
↑が正しかどうか、ナウシカの話で述べられている宮崎氏の態度が、果たしてそれで良いのか、という問題は、一人一人が考えるべき課題であると思います。
秘石ですが、読んでて思うのは、黒い箱、あれはオーマに接続されていたはず。動き出した後、あの箱は?
となると、動き出して、「神」に知能を吹き込むのがあの石であり、となればあの時点で用済みになったから破壊したのでは?
「火の七日間」と表現されていますね。あれは、映画でも原作でも大して触れられていませんので、想像するしかないのですが・・・。199ページに、こうかかれています。
「あの時代、どれほどの憎悪と絶望が・・・(中略)・・・有毒の大気、凶暴な太陽光、枯渇した大地、次々と生まれる新しい病気・・・」
ここから、今生じている社会問題(核、地球温暖化、森林破壊、ウィルスとの戦い、人口爆発、食糧問題・・・)かエスカレートし、地球全体がどうしようもない状態になった。そのため、人間は知恵を集めて「神」を作り、その裁定が「火の七日間」と考えるのは、どうでしょうか。
参考URL:http://plaza.rakuten.co.jp/kobashonen/diary/2004 …
ありがとうございます。
「破壊と慈悲の混沌」はよくわからない言葉ですね。なぜこれが誉め言葉なのか。「混沌」って言葉を使っちゃいけないよなーと思います。宮崎自信が混沌としているだけじゃないのか。漫画の締めくくり方がよくわからなくなってさ。
やっぱり千と千尋やもののけ姫の方がよくできてる気がします。ナウシカって説教くさい。もののけ姫ってテロリストじゃないですか。徹底的に。これはよくわかる。でもナウシカってそうじゃない。宮崎も自己否定して「かまとと」とか言ってそこを取り上げようとしたが結局なんかよくわからん。ナウシカはかまととでなくてなんなのか?その答えが「混沌」ではなにも伝わってこない。結局なんかよーわからんやっちゃなーというところで終わってるのでナウシカにはあんまり魅力を感じないんです。
人間によって作られた蟲たちにも命の価値があると認めたのに同じく人間が作った予定調和は否定するのか?有性生物にプログラムされた自然の死のプログラム(寿命)は認めて人間が作った予定調和は否定する。予定調和の中にも切り開く道はあるだろう。同じように有限の命というプログラムされた予定調和の中で我々は何かを切り開こうとしているじゃないか。どこが違うんだ?。
秘石はあんだけ盛り上げといてあっさり破壊とはいい意味で裏切りの展開だと思います。
火の七日間の話は、人間の幸福のために生まれた調停者によって人間は抹殺されたという事でしょうか?なんか変ですねえ。本末転倒じゃないですか。ターミネーターのような話ですねえ。
No.3
- 回答日時:
「共生」をテーマにして書くと、人間の存在自体が問われることになるので、どう結論付けても必ず違和感が残ります。
以下は、私が別の件で「共生」の問題と環境保護・反戦平和運動のあり方について以前書いたものですが、ナウシカの結論はこれと似たような感じです。
話を始める前の準備として、まず、↓を一読頂きたい。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040504-00000 …(読売新聞)
本日書く内容は、この問題を根底に置いた、平和運動について述べる。
コアラの問題については、この記事を読んで私自身は始めて知った事柄であるが、似たような例として日本に於ける野生の鹿の問題が挙げられよう。天敵も無く、ひたすら数が増えつづけた結果、生態系の破壊や、林業用の木が食い荒らされるなどの問題が起こって、深刻な問題になっている。
さて、コアラのほうだが、2万匹駆除計画に当然のごとく動物愛護団体は猛反発。観光客のイメージダウンにもなりかねないと、慎重論は強い。しかし一方で、食害による生態系の破壊は進んでいるのも事実で、どう折り合いをつけるかが微妙な所である。
私がこの問題で一番言いたいことは、記事の中のこの部分が全てを語っていると言っても過言ではない。
・・・島で3年半にわたり国立公園保護官として働いた後、環境や自然をテーマにした旅行会社を経営するクレイグ・ウイッカムさん(38)が、島北東部にあるユーカリの原野を案内してくれた。
葉のないユーカリの木が目立ち、樹齢200年の大木が立ち枯れていた。ウイッカムさんは「鳥の生態や植生に悪影響が出ている。また、このままでは、コアラが食べられるユーカリは、なくなる。それが原因でコアラが激減したら、『なぜ早く手を打たなかったか』と世界中から非難を浴びる」と駆除の必要性を説く。
1本のユーカリに3匹のコアラがしがみついていた。葉は3割ほどしかない。「いかに過剰か、この木を見るとわかるでしょう」とウイッカムさんは語った・・・
特に太字にした部分、皆さんはどのように考えられるでしょうか?行政というもの、どう対応した所で批判を浴びるというのは世の常であるが、この部分は非常に大きな問題である。
近年、人間の尊厳や様々な権利が叫ばれる中で、「共生」という問題が、ある種の流行語のようになっている。「人と自然との共生」、「健常者と障害者との共生」・・・。しかしこの問題、約2500年前にシャカが、約2000年前にはキリストが、そして約1300年前にはマホメットが、それぞれ言葉は違えど「共生」に類することを説いている。しかし、未だそれが実現されたとは言いがたい。何故か?
結局の所、「共生」は「言うはたやすく、行うは難し」の典型であるからだと思う。共に生きる、共生。これは、「生」が絶対の善である、ということが前提となって始めて成り立つものである。「生」が絶対の善である、ということを頭から否定することは、現在の世の中ではそう簡単ではない。
しかし、これを叫ぶことが、果たしてどこまで出来るのか?
人口爆発という問題が、一番分かりやすい例だろう。戦争反対、核兵器廃絶という反核平和運動が仮に成就したとして、核兵器がこの世から一発残らず無くなり、戦争も一切無くなったとしよう。そうなると、今度は人口が増えつづけ、地球環境に壊滅的な打撃を与えることになる。(少子高齢化などという問題は、一部の先進国においてのみ生じている問題で、その他大多数の発展途上国、とりわけ貧困国を中心に人口爆発が問題になっている。)そうなれば、「生」=善、とは必ずしも言えなくなるだろうし、残された自然を巡って争いが起こることにもなるかもしれない。そうなれば「共生」などということは実現どころではなくなる。
「共生を訴えるなら、共死を覚悟せよ」とはよく言ったもので、本当にそのとおりであろう。今の日本やアメリカのように、欲望丸出しの状況では地球環境が持たないことは言うまでも無い。例えば、身近な所ではゴミを分別して出すとか、極力自家用車を使わずに、公共交通機関を使うとかの意識改革は必要である。しかし、それもどこまで可能なのか?
「共生」を訴え、人間の尊厳を盾に環境保護運動を展開する。しかし、一方で二酸化炭素を排出したり、自家用車をどんどん世に送り出すなどして生計を立てている人たちも少なからず居る。自動車関係の業種についている人や、石油化学工業なんかが代表的な例だろう。そういう人たちにとってみれば、環境保護運動によって生活が脅かされるわけであり、当然それに対して反発する。その時の反対派の主張の基盤となるものは、環境保護運動やっている人たちが盾にしているのと同じ、「人間の尊厳」や、「生存権」などである。以前、「平和運動をとことん突き詰めていくと、その矛先がいずれ自分自身に向いてくる」と言うようなことを、どこかで書いた記憶があるが、その具体例としてシュミレーションしてみたのが↑に書いた事柄である。
前述のような意識改革というのは、当然必要ではあるだろうが、同時に、それは自らの生活レベルをある程度低下させる、ということを意味する。車を使わずに公共交通機関を使うとなれば、当然のことながら歩く距離は増える。
速く、遠くまで、ラクに、という人間の欲求に答える形で、自転車や自動車が発明され、バス、電車、船、そして飛行機の発明により、地球上の殆どの地域へ行けるようになった。其の昔、東京から大阪まで歩くか馬かで何日もかかったところを、現在は新幹線で数時間である。ここまで便利になった生活レベルを、果たして現代人は自らの力で下げることが出来るのか?
(中略)
これらの矛盾に対し、今すぐ答えを出せとは言わない。また、答えは一生かかっても出ないかもしれない。しかし、大事なのは考えつづけることである。
ありがとうございます。
この話は少しずるい気がするのですがコアラという「愛すべき」動物が取り上げられているところがちょっと気になります。あとは「数」の問題なのかということ。
ナウシカの性格がよくわからんのもこの点です。コアラではなく「醜い」虫達の死を悲しむというのは結局コアラの死を悲しむことの裏返しで同じことだと思うのです。
結局我々は死に対して「傲慢にも自分勝手に」価値を決めている。「これは哀しい」「これはまあええか」などと。結局感情の問題なんですね。「感情的に哀しいから」という理由で愛を叫ぶというのは困ったもんでね。結局部分的解決にしかなってない。個人的問題といってもいい。目の当たりにしたものだけ問題にするというのは不公平というものでね。
我々は牛を直接殺すことは感情的にできない。だけど、牛は食うわけです。これはこの感情的に哀しい作業を誰かに押し付けているだけなわけです。なぜ牛を平気で食えるか?それは殺されるところを目の当たりにしてないからでしょう。こんなずるい状況で死に対して愛を叫ぶ資格があるとは思えないわけです。
ですからなんとなくナウシカよりもヴ王や皇兄の方に好感がもててしまうのです。ヴ王というキャラクターがナウシカになぜ感心するのか疑問です。
No.2
- 回答日時:
1について。
結局、巨神兵は「神」としてつくられた、ということだと思います。現実の世界を見て見ますと、クリントン時代のアメリカは、中東和平の仲介に積極的でした。つまり、双方の調停役であったり、裁定者的な立場をとるには、当事者の双方から一目置かれるぐらいの人望と、バックに強力な力が無ければ出来ないことです。その役としての巨神兵ではないかと私は解釈しております。
2について。
墓所には、旧世界の知恵が集積された場所。あの巨神兵は、ペジテ市で発掘され、それを墓所まで運んでいます。墓所には巨神兵についての知識も若干あり、5巻で「複製技術の応用で、育てるだけなら出来る」という発言からも、墓所にあった技術で育てるだけなら出来たのでしょう。
それ以外の疑問については、まだ考えがまとまっていないので、ここで切ります。
おおっ、冷たく見捨てられたかと思ったらたくさん答えていただけそうで楽しみです。ありがとうございます。
1.なるほど、漫画では神とまで発達するところまで行ってないがもっとどんどん知能が上がってくればそうなりうる。しかし、ではいったい「火の七日間は」なんだったんでしょうね?調停のための神が全滅させてどないするんだろう?でも漫画では全部描かれてないからわからないですね。
2。はい、確かに「複製技術の応用で育てるだけなら」と言っていますね。忘れてました。あの秘石は最初はもっとキーとして描こうとしてたんでしょうかね?最初はあれのために延々とサスペンスドラマが描かれていた。オーマはなんであれ破壊しちゃったんでしょうかね?
あの漫画は中断しながら10年以上にわたって完成されているので途中話が破綻していたりするのではないかと思います。そこがまた魅力ですかね。
そもそものドラマ(=戦争)の主因である皇帝(お坊さんや青き衣伝説の話は皇帝の圧制下が前提のドラマだ)がちゃんと出てきたと思ったらすぐ兄により失脚するところなどかなりスリリングでリアルです。なんか下敷きになる伝説やら神話がありそうですが。
No.1
- 回答日時:
長くなるので、4のみ回答します。
ちょうどナウシカの7巻が書かれた頃は、グリーンピースなどの環境保護団体がクジラ保護などでやたら騒いでいたというご時世もあり、作者である宮崎駿氏自身、それに嫌気がさしていた、ということがまずあります。
環境保護運動というものは、本当に突き詰めていくと、「本当に最後まで叫びとおすことが出来るのか?」という疑問に行き当ります。というのは、「人間の尊厳」「人が人として生きる」ということをタテに反戦平和運動、環境保護運動をやるわけですが、一方で二酸化炭素を大量に排出することによって生計を立てている人たちも、少なからず居るわけです。自動車産業・火力発電なんかはその例でしょう。で、そこに従事している人たちからすれば、「環境保護のため車減らせ」とかいわれると、自らの生活に関わるわけで、そうなれば「人間の尊厳・生存権」をタテに反対します。
結局、「人間が地球上に存在する限り、環境は破壊される」という結論になるワケで、そこの矛盾を考えずに騒ぎ立てる連中に対して、そうとう嫌気がさしたのでしょう。身近な例で言いますと、空き缶一本、ペットボトル一本に至るまでリサイクルにつとめたところで、環境が保たれるか、といえばそうでもありません。速度は遅くなるかも知れませんが、人間が存在する限り、地球は蝕まれていくのです。そもそも、ナウシカのテーマは「共生」にあると言えるでしょうが、これは根本から問題を抱えています。
そこの問題に対する「態度決定」こそが必要であり、ナウシカのあの部分は、宮崎氏なりの態度決定であるといえるでしょう。
つまり、「人間が存在する限り、地球は蝕まれる。ならば、それを分かった上で、滅びと共に生きよう。」というのが、宮崎氏の態度であるといえるでしょう。
ありがとうございます。
そんな冷たいこといわずにたくさん教えてください(笑)。
なるほど、「偽善」に対する辟易からああいう場面展開になっているのですね。納得です。
しかしナウシカがその禅問答の対峙者になることに若干の違和感を感じます。そのあたりヴ王によって「混沌と慈悲」などと要約されてますが、難しい危ういバランスですね。成功しているのでしょうか。脇のキャラは非常に魅力的です。クロトワやヴ王や皇兄などアナーキーなキャラは大変魅力的。そして生き方が首尾一貫している。しかしナウシカやクシャナなど「まとも」路線を描かせると躊躇を感じます。それを自ら「かまとと」じゃないのか?と自己否定を入れたりして少なくとも「それはわかっとる」というところを見せますがどうも落としどころにまよいが感じられます。ちょっとスーパーマンを描こうとしすぎたというか。まあだからこそ青き衣をまとった「そのもの」なわけですが、それを描く時も突然民衆が愚衆化しナウシカをたたえるなどという陳腐な表現になる。もちろん他が素晴らしいからそういうところに疑問をもつわけですが。
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