そこで、日本野菜ソムリエ認定料理教室を主宰する川端寿美香さんに、液体調味料の正しい保存方法を教えてもらった。
■液体調味料の正しい保存方法
まずは、未開封の状態での適した保存方法について聞いてみた。
「売り場でどのように陳列されていたかを思い出すとよいでしょう。一般的には常温の場所に陳列されているので、購入後も直射日光の当たらない冷暗所に保存しましょう。コンロの近くは温度が高く、火災を招く危険性もあるのでよくありません。また、シンク下も、お湯を使ったあとの排水により温度が高くなることがあるため、おすすめできません」(川端さん)
冷暗所といえばシンク下を思い浮かべてしまう人もいるだろう。とにかく温度が高くなる場所の近くは適さない。
次に、開封後の正しい保存方法についても聞いてみた。
「基本的には、商品に添付されている商品ラベルの『保存方法』を確認していただきたいですが、『醤油』をはじめ、『酢』や『本みりん』、『酒』、『油類』などは冷暗所で保存するのがよいでしょう。『みりん風調味料』や『料理酒』など調味された液体調味料は、冷蔵庫保存がおすすめです。使用後は注ぎ口やキャップをきれいに拭き取り、しっかりと蓋を閉め、上向きに立てて保存しましょう。また、顆粒や粉末の『だしの素』は開封後、冷蔵庫にてジャムなどの空き瓶に移し変えて保存すると使いやすいですよ」(川端さん)
開封後も「冷暗所保存で問題ないもの」、「冷蔵庫保存が適しているもの」があるので、覚えておくとよいだろう。
■「高温多湿」や「常温」の定義は?
商品ラベルに「高温多湿を避けて保存してください」や「直射日光を避け常温で保存してください」などの注意書きがあるが……。
「賞味期限や消費期限を決めている基準温度は24℃です。従って、それ以上を『高温』と考えてよいでしょう。ちなみに24℃とは、チョコレートがやわらかくなる温度に相当します。湿度については60%を超えると『多湿』といえますが、キッチンでは、水回りやシンク下、食洗器やコンロ回りが多湿の状態ですので、液体調味料だけでなく食材の保存場所としても不向きです」(川端さん)
では、「常温」とは具体的に何℃のことを指すのだろうか。
「一般的に『熱したり冷やしたりしない自然な温度』と考えられており、厚生労働省の『常温保存可能品に関する運用上の注意』においても、『夏期において外気温を超えない温度』と定義されています。『日本工業規格』では常温を5℃~35℃と定めていますが、食品では未開封の状態であることが前提です」(川端さん)
5℃~35℃は“20℃±15℃”をもとに設定されているとか。ちなみに「薬事法」で常温は15~25℃とのこと。
■季節や気温に応じて保存方法は変えるべき?
液体調味料は、季節や気温に応じて、保存方法を変更するべきだろうか。
「未開封でも使用後でも、特に保存方法を変える必要はないでしょう。理想を言えば、家族の消費量に応じた量を購入するのが一番ですが、大容量の場合は使いやすい大きさの容器に移し替えることをおすすめします。一度開封した後開閉を繰り返すと、温度変化により雑菌が繁殖したり、劣化が加速します」(川端さん)
正しく保存していれば、年中同じ保存方法で問題はなさそうだ。だが、最も美味しく安全に使うコツは、開封後なるべく早めに使い切ることだろう。大容量を買うとコスパはよいが、小家族やおひとり様なら少量ずつ小まめに買うほうが鮮度も保てて安全といえそうだ。
●専門家プロフィール:川端寿美香
料理家、野菜ソムリエ、アンチエイジングプランナー、お魚かたりべ(水産庁長官任命)。「美と健康は食卓から」をテーマに、野菜と魚のおもてなしサロン「Maman's Dream」を主宰。ワンランク上の家庭料理を自宅、外部教室にて開催。