誰のもとにも死は平等にやってくるのに、普段の私たちはそのことを忘れがちである。特に体が元気なうちは、自分の死後のことを考える機会などあまりないのではないだろうか。死後の問題として残りがちなのが相続問題だ。自分が死んだ後、遺された人々が揉めたりしないように相続に関する知識を身につけておきたい。
そこで相続問題について知っておきたい情報を「教えて!gooウォッチ」で探してみたところ、以下の3つが発見されたので紹介しよう。
■遺言の効力はどれぐらい?
生きているうちに死後の相続について取り決める場合、真っ先に思い浮かぶのは「遺言」だろう。でも実際のところ、遺言ってどれぐらいの効力を持つものなのだろうか。
弁護士の大塚嘉一さんによれば「遺言があっても、受遺者や相続人全員の同意があれば、それと異なる遺産分割をすることができます。それらの人たちの“同意”が遺言より優先されるのです」とのこと(教えて!gooウォッチ「特定の一人に相続させることはできる?遺言の効力について弁護士に聞いた」より)。
たとえ遺言によって「特定の一人に自分の財産をすべて相続させたい」と思っても、その相手以外の相続人(ただし被相続人の兄弟姉妹以外)が「遺留分減殺請求権」を行使すれば、遺言がなければもらえたはずの相続分の2分の1を取り戻すことができるという。
つまり遺言を残せばその通りになるというわけではないのである。「遺言」には自分で書いただけの遺言書と、公証人が関与した上で作成された「遺言公正証書」がある。この二つの効力に違いはあるのだろうか。
「法律的に『自筆遺言書』と『遺言公正証書』の効力に違いはありません。しかし、一般的には、公証人が関与する遺言公正証書の方が信用性は高いとされています。自筆遺言書では偽造が疑われ、遺言公正証書に比べ揉め事が生じる場合が少なくありません」(大塚さん)
遺族の揉め事を回避したければ面倒でも「遺言公正証書」として残しておいた方がいいようだ。
■揉め事を避ける遺言の書き方
自分の死後に遺される遺族のことを考えるならきちんと遺言を残した方が良さそうなのはわかったが、ただ書けばいいというものではないらしい。相続・終活コンサルタントの明石久美さんによると、遺言書の書き方によってはかえって遺族が揉めてしまうこともあるそうだ(教えて!gooウォッチ「年老いてからでは遅い!?争いを未然に防ぐ「遺言書」の書き方」より)。
「親が遺言書を作成していることを知った途端、子どもたちの喧嘩が始まって仲が悪くなったというご家庭も多いです。子どもは自分が親からやってもらったことは覚えてないものですが、親が自分以外のきょうだいを優遇していたことなどはよく覚えているものなんですよね。そこで、遺言書ではそのような感情の清算も考慮してあげることが必要となります」(明石さん)
確かに、兄妹や姉妹がいる家庭でその子どもたちに相続上の優先順位をつけるというのはどうにもケンカの火種になってしまいそうだ。明石さんは「遺言書は、作ることが最終目的ではありません。遺族が揉めないように、よく考えて落とし込む作業が必要となります」とも言う。
難しいところだが、特にシングルマザー・シングルファザーは早めに遺言書を用意しておくべきだそう。
「お一人で子どもを育てている場合、不慮の事故や病気などでご自身が亡くなった場合、第三者が残された子どもの未成年後見人になるにはとても時間や手間がかかります。しかし、遺言書に未成年後見人が指定されていれば、市役所で手続きをするだけです。遺言書で未成年後見人が指定されていない場合には、家庭裁判所に申立てをすることになります」(明石さん)
遺族にできる限り配慮をしつつ、しっかりと準備しておきたい。
■困ったときに相談すべき税理士の選び方
相続税や遺言書の作成について相談しようと思ったら税理士に頼ることになるが、たくさんいる税理士の中でどんな人を選べばいいのか悩みそうだ。そんな時はどうしたらいいだろうか。心に残る家族葬を運営している葬儀アドバイザーの方に聞いたところ、「相続に関して言えば、信頼できる税理士かどうかを見抜くために、その税理士に対して3つの質問を投げ掛けることをお客様にはアドバイスしています」という(教えて!gooウォッチ「税の素人でも優秀な税理士かどうかを簡単に見破る事ができる3つの質問」より)。
その質問とは以下の3つだ。
・直近2~3年間で、何件相続税・贈与税の申告をしたか
・税理士事務所に所属する税理士は何人いるか
・税理士自身が現場に出向くか
やはり、普段から相続税・贈与税に関する案件をこなしており、最新の税法に詳しい税理士がベストなようだ。きちんと現場に出向いて不動産を自分の目で観察してくれる税理士かどうかも基準として重要になる。税理士を選択する際には上記の3つの質問を事前に投げかけ、それぞれにきちんと当てはまるかを確認しておきたい。
自分の死後も遺族が仲良く平和に暮らせるようにできる限りの心配りをしておこう