■予算の都合でマイホームに妥協した点がある人は4人に3人!
注文住宅を購入した人のうち、どのくらいの人が予算の都合で妥協をしているのだろうか。
「注文住宅(一戸建て)を購入したことがある20~60代の男女にアンケートを取ったところ、予算の都合で妥協や断念した点があるかという質問に対して、『多くある』(13.9%)、『ややある』(59.5%)と答えた人の合計は73.4%と、約4人に3人という結果になりました」(中澤さん)
描いた夢のとおりの実現は難しいのが現状だ。
「具体的に妥協した点としては、広さや部屋数、収納スペースなどをあげる声が多い一方で、二重窓や床暖房・エアコンなどの防寒設備に関するもの、キッチンやバス・トイレなどの設備に関するものも目立ちました」(中澤さん)
注文住宅の購入者は、限られた予算の中で理想のマイホームを実現するために、さまざまな点で工夫していることがうかがえる。
■間取りの参考にしたのは、「雑誌・書籍」「インターネット」「友人や知人の意見」など
設備に加えて、後悔のポイントとなりやすいのが「間取り」だ。注文住宅の購入者は、間取りを考える際に何を参考にしているのだろうか。
「間取りの参考として最も多くの人があげたのが『雑誌・書籍』(44.8%)で、半数近くにのぼります。続いて、『インターネット』(30.0%)、『友人や知人の意見』(27.9%)などが続きます。また、『その他』としては、建築士や住宅会社の既存設計例、内見した物件などをあげる声がみられました」(中澤さん)
注文住宅の購入者は、さまざまな情報を参考に間取りを設計していることがわかった。
■間取りを後悔している人は6割弱!後悔しないためのポイントは?
では、実際にその間取りに住んでみた結果、どの程度の人が満足しているのだろうか。
「現在住んでいる注文住宅の間取りに関して聞いたところ、『やや後悔している』と答えた人が最も多く、50.0%と半数にのぼりました。『とても後悔している』(6.8%)と合わせると56.8%。過半数の人が間取りに関して、何らかの後悔を感じていることがうかがえます。一方、『すべて満足している』と答えた人は32.3%で、約3人に1人という結果でした」(中澤 さん)
中澤さんは、こうした間取りに関する後悔の多くが、実際に住んだ時のイメージが十分にできていなかったり、家を建てた後のライフプランが設計できていなかったりするために起こるという。
「間取りを設計する際に重要なのが、そこで生活した時に本当に快適に生活ができるのかどうかを考えることです。コンセントやスイッチなどの配線や、家事の導線、家族の一日の動きをシミュレーションしてみて不都合がないかをチェックしておくとよいでしょう。また、家を建てた時点から10年、20年たつと、家族構成は変化していきます。子どもが生まれて部屋が必要になったり、反対に子どもが独立してスペースがいらなくなったりして、間取りへの後悔が生まれることも少なくありません」(中澤さん)
一直線に夢を描いただけでは、長年住む家の間取りを設計することはできなさそうだ。後々のライフプランも意識して住宅を設計することが、後悔のない家づくりのポイントといえるのかもしれない。
●専門家プロフィール:中澤 悠生(なかざわ ゆうき)
エイチームフィナジーが運用する「ナビナビ住宅ローン」の編集者。住宅ローンアドバイザー、ファイナンシャル・プランナー3級。「家を買いたいけど、ローンをどう選べば良いかわからない」「不動産屋さんに勧められるままにローンを契約したけど後悔している」などの悩みを解決するべく、どこよりも分かりやすい住宅ローン情報を発信しています。