■1駅手前で降りて2km往復して歩いたときの効果
普通よりやや早歩きで2km程度、会社の往復、つまり1日4km歩くことは、健康増進、ダイエットになるのだろうか。
「一般的に時速4kmが普通に歩く速度といわれておりますので、早歩きなら、15分程度を朝と夕方にやることに相当すると考えられます。1日の中で行った運動はまとめての運動でなくても運動効果が同様に出ると研究者の論文発表もあります。よって、30分程度のウォーキングを行ったことに近い運動効果が得られると考えられます」(村神さん)
ということは、つまり……。
「ウォーキングとしても十分に効果がみとめられる運動量になります。体温の上昇や血流の増加が始まり、心肺機能の向上(新陳代謝が高まる効果)が期待されますし、身体の脂肪燃焼も起きますので、健康増進としてもダイエットとしても効果的です。もしこれを通勤週5ペースで行えたら、必ず結果に繋がるでしょう」(村神さん)
効果があると、村神さんのお墨付きをもらった。
■頑張って10km歩いたら効果はアップする?
1駅手前といわず、2駅、3駅手前で降りて、更に長い距離を歩いてみたら、より効果があるだろうか。
「先ほど、1日4km歩くことの意味の大きさをお話しましたが、逆に10kmも歩くようなウォーキングは身体への負担が大きいので、おすすめできません。週に1回10km歩くよりも、毎日4km(または2km×2)という頻度の方が、身体に運動の成果が現れやすいです」(村神さん)
コンスタントな運動ほど、効果が上がるとのこと。体の限界にチャレンジするよりも、続けられることを重要視したい。
■簡単でさらに効果のある、歩き+ストレッチ
今回は、普段の生活にちょい足しで効果があるエクササイズを模索しているが、スーツのまま気軽に取り組める健康増進やダイエット方法は、他にもないのだろうか。
「通勤での歩行でも運動効果があるとお話しましたが、ストレッチしたり、歩き方を工夫することにより、健康増進やダイエット効果をさらに上げることができます。肩こりや腰痛の予防を兼ね、歩く前に肩や腰、足首のストレッチを行うと、運動効果はさらに高まります。これは関節がスムーズに動くことで、手足が大きく動き、使う筋量が増えるからです」(村神さん)
なるほど。同じ運動でダイエット効果が効率的に上がるなら、通勤前には必ずストレッチしたい。
「また、姿勢を良くする(目線を下げない)ことや、少しお腹をへこませたまま歩く(ドローインウォーク)ことで、さらに運動効果を高めます。足首を柔らかく使い、足裏の踵の方からつま先へ体重移動するような歩き方を意識しましょう。脚(主に膝)をなるべく伸ばす歩きをすることで、太ももの裏側(ハムストリング)やお尻の筋肉も歩きながら鍛えることができます」(村神さん)
通勤中はカバンを持つ人も多いだろう。持つ手を左右小マメに変えることも身体のバランスを考えると大事だ。
村神さんは、健康とは「身体が温かいこと(基礎体温が高いこと)と呼吸器が強いこと(心肺機能が高いこと)」という。それが、免疫力を高め、病気になりづらく、体調が安定しやすいことに繋がる。健康増進としてはウォーキングが最も適しているそうだ。
ということで皆さんも明日の朝から1駅手前で降りて歩いてみてはいかがだろうか。その前にストレッチをすることも忘れずに!
●専門家プロフィール:村神一誠
ウォーキングスタイリスト。中京大学体育学部卒業後、ウォーキングドクター・デューク更家氏に弟子入りし、公認講師として教室や講座で指導。心や身体に悩みを抱える方の健康ウォーキングから、トップモデルの魅せるウォーキングまで、人間の「歩く」ということを徹底的に追及する。