
■世界の競馬開催国
発祥の国イギリスや日本以外で、競馬がさかんな国はどこだろうか。
「ヨーロッパでは、イギリスのほか、アイルランドやフランス、ドイツ、イタリアなど。アジアでは、香港や韓国、シンガポール、タイ、フィリピンなど。その他、アメリカ、カナダ、ブラジル、南アフリカ、ケニアなどでも行われています。スイスでは、凍った湖の上で氷上競馬が行われることもあります」(KKベストセラーズ)
世界各地で発展した経緯についても伺った。
「各国で、ダート(砂)レース中心の『アメリカ競馬』と、芝レース中心の『イギリス競馬』をお手本に発展してきました。日本中央競馬会(JRA)でも、双方の競馬を取り入れています」(KKベストセラーズ)
ダートや芝といった言葉は、テレビ中継などでもよく耳にする。ちなみに、アメリカでは芝レースも行うが、ヨーロッパでダートレースを行う国は少ないとか。競走馬も適正に応じて、芝専門馬、ダート専門馬に分類されることが多いとのこと。
■賞金額や馬券システムの違い
JRA開催の「中央競馬」は、年間約2兆5000億円強という世界一の馬券売上を誇る。他国の賞金額はどの位だろうか。
「JRAでは、一番安いレースでも1着賞金が500万円であり、毎年、年末に開催される『有馬記念』では、1着の最高賞金額が3億円に達することもあります。しかし、レース単体で見ると、世界にはさらに高額賞金のレースが少なくありません。ドバイで行われる『ドバイワールドカップ』では、1着賞金が600万ドル(約6億7000万円)であり、2019年には720万ドル(約7億9000万円)に増額される予定です」(KKベストセラーズ)
この破格の大レースが開催されるドバイでは、馬券販売を行わないというから驚きだ。
「JRAは、巨大な馬券の売上に応じて賞金も高額になるシステムですが、馬券を販売しないドバイでは、首長であるモハメド殿下が自費で賞金を出しているようです。世界各地に有数の競走馬を所有しているモハメド殿下は、世界の名馬を自国に集め、真のチャンピオンを決めたいという趣旨のもと『ドバイワールドカップ』を創設しました」(KKベストセラーズ)
競馬イコール馬券というイメージからは、異次元の話でピンと来ないかもしれない。だが、ドバイ以外の多くの国では馬券が販売されているという。
「日本では1~3着の着順を順番通りに当てる『3連単』がありますが、世界には『4連単』や、指定レースの1着馬を当てる馬券なども販売されています。また、5レース連続で1着馬を当てる日本の『WIN5』に近い馬券が、世界でも多く発売されており、1回の的中で億単位の賞金が狙える場合も少なくありません」(KKベストセラーズ)
的中が困難な馬券ほど高額配当が狙えるのは各国共通だが、世界にはさらにゲーム性を高めた馬券が存在するようだ。
■競馬に対するイメージ
各国の競馬に対するイメージは、どうなのだろうか。
「宝くじに近い感覚で楽しまれていることが多く、香港には熱狂的な競馬ファンが多いです」(KKベストセラーズ)
カジノがない香港では、競馬が唯一の賭け事なのだとか。他の国はどうだろう。
「オーストラリアでは、大レースだとテレビ番組でも取り上げられ、関心の薄い人も馬券を購入するなどイベント感覚で気軽に楽しまれています。一方、ヨーロッパ各国では、長く貴族の娯楽や社交場として利用されてきました。エリザベス女王も、自身の所有馬を観戦したことがあったそうです」(KKベストセラーズ)
日本で海外競馬の馬券を購入するのは法律の縛りが厳しいようだが、海外の大レースに日本の馬が出走する場合は、JRAが馬券を販売することもあるそう。また、レース主催者がホームページなどにレース動画をアップしていることも少なくないようなので、興味のある人はチェックしてみてはいかがか。
●専門家プロフィール:KKベストセラーズ
12月13日発売の2019年1月号で創刊29年目に突入した老舗競馬専門誌「競馬 最強の法則」などを発行。同誌は、競合他誌とは一線を画した硬派でディープな予想記事が人気を博している。