■トマトで起こりやすい病気の原因
トマトの病気の原因として考えられるものは3つあるという。
「病気の原因は大きく3つに分けられます。糸状菌(カビ)。害虫などから媒介するウイルス。加湿などにより土から繁殖する細菌。この3つの原因でトマトは病気になります。トマトの病気についてですが、栽培する地域や土壌環境などにより、トマトがかかりやすい病気は変わってきます」(タキイ種苗)
環境によりかかる病気は変わるが、原因により発症する病気は明確だ。
「カビが原因の灰色かび病は、病斑上に灰褐色のカビを生じ、実に円形の斑点ができます。炭疽病は実に水浸状の小斑点が生じ、拡大すると腐敗し落下します」(タキイ種苗)
続けてウイルスが原因の病気について聞いた。
「ウイルスが原因の病気は、害虫が関係しています。モザイク病はアブラムシの媒介で、茎葉や実にモザイク状の濃淡やえそ斑点が現れます。黄化葉巻病はタバココナジラミの媒介で、葉脈感が黄化して葉が縮れていきます」(タキイ種苗)
えそ斑点とは、局部的な腐敗が斑点状に現れる状態のことだ。最後に細菌が原因の病気について聞いた。
「細菌が原因の病気は、茎の内部が腐敗したり、空洞化して枯れる傾向があります」(タキイ種苗)
それぞれの病気の原因により、茎、葉、実など、症状が出る場所にも違いがあることが分かった。
■トマトの病気の予防策と対処法
それぞれの病気の予防法と対処法について聞いた。
「カビによる病気は、湿度が高いと発症しやすい傾向があります。日当たりや風通しのよい、雨の当たらない場所で栽培しましょう。発病した場合、実や葉、茎は取り除き、土を日光に当てて消毒して対処します」(タキイ種苗)
ウイルスが原因の病気は慎重な対処が必要だ。
「ウイルスによる病気は、虫などによって運ばれることが多いので、天然農薬の散布で害虫をつけないように予防します。発病後は回復する見込みがないため、株ごとに撤去して被害の拡大を防ぎましょう」(タキイ種苗)
最後に細菌が原因の病気の予防と対策について聞いた。
「細菌による病気は、加湿などで土に繁殖した菌が、茎や葉の傷口から入り込んで発症します。殺菌作用のある銅剤を薄めて葉に噴霧すると、菌の繁殖を防ぐことができます」(タキイ種苗)
注意点として、生で食べるトマトの病気には、発症後に農薬を使うことはあまりおすすめできないとのこと。そういった観点からも予防が重要なのだ。
トマトを家庭菜園で楽しんでいる方は上記を参考に予防につとめ、万が一にも病気が発症しても慌てず対処し、実りの瞬間を迎えてほしいと思う。
●専門家プロフィール:タキイ種苗 広報担当
一歩進んだガーデニングや家庭菜園を技術と知識でサポートし、生産者からも頼られる種苗のエキスパート。「桃太郎トマト」の種苗で、その名を広く知られる。