■QRコード決済の不正利用を防ぐために気をつけることは?
QRコード決済の不正利用を防ぐためには、どのようなことに気をつけなければならないだろうか。
「まず気をつけないといけないのは、スマホを落としたり、紛失、盗難にあったりした場合です。アプリの発行会社に連絡をして、利用停止にしてもらう必要があります。そんなときのため、発行会社の連絡先を控えておくようにしましょう」(あんびるさん)
これはクレジットカードやキャッシュカードを落とした場合の対処法と同じだ。
「また、決済アプリを開いて悪用されないように、生体認証を設定しておくことで、スマホ紛失時の悪用のリスクはある程度防ぐことができます」(あんびるさん)
生体認証なら基本的に本人以外がスマホ画面を開くことはできない。これならスマホが紛失や盗難に遭った場合でも少し安心だ。その他、どのような対策が可能なのだろうか。
「スマホを追跡するアプリや、遠隔データ消去サービスの利用も有効でしょう。また、OSやアプリを常にアップデートしておくことも大切です。さらに、不正利用されてないか、利用履歴をチェックすることも忘れないようにしましょう」(あんびるさん)
利用後もこまめに履歴をチェックすることは、多少手間がかかるが、誰にでもできる方法なので手間を惜しみたくない。
■子ども達が利用する前に大人が留意すべきことは何?
今後は、子ども達がスマホを持つことがますます増えるだろう。子ども達を不正利用の被害から守るため、大人ができることについても聞いた。
「事前にチャージ(前払い)をするQRコード決済などのスマホ決済サービスは、あらかじめ銀行口座の登録、またはコンビニからチャージをすることで、未成年者でも法定代理人の同意を得れば利用できます。しかし、小学校低学年までの子どもは発達上、“見えないもの”を理解する力がまだ不十分です。数字での管理も、計算がおぼつかないうちの利用は難しいもの。小さいうちは、目に見える現金で、お金を使うと減ってしまうことを実感させることが大切です」(あんびるさん)
現金でないとついつい使い過ぎてしまうということは、大人でさえよくある話だ。小さな子どもならなおさらだろう。
「小学校高学年以上になったら、こうしたモバイル決済を教えてもよいでしょう。使った記録をきちんと確認し、無駄な使い方をしていないか振り返る習慣をつけさせるようにします。また必要以上にチャージしないなど具体的な防止策を教えておくようにしましょう」(あんびるさん)
チャージしている額を保護者がきちんと把握しておくのも大切なことだ。
「中・高校生になると、QRコード決済を含むスマホ決済サービスを利用していることも珍しくありません。割り勘、送金といったサービスも含まれるため、友達同士のお金のやりとりも懸念されます。こうした子どものお金の動きは、現金以上に親には見えないもの。小さいうちから『お金はトラブルの元』であることを、日常生活の中で教えるようにしておくことが大切です」(あんびるさん)
子どもが成長するに従い、親からは子どもの生活がますます見えづらくなってくる。子どもが大きくなってから慌ててQRコード決済等のリスクについて教えるのではなく、小さい頃から家庭でお金について教育をする必要があるのだ。
そのようなリスクは存在するが、QRコード決済は非常に便利な方法であり、今後普及していくことが確実な支払い方法であることも事実。今回紹介した対策方法などを参考に、上手に利用していきたい。
●専門家プロフィール:あんびる えつこ
生活経済ジャーナリスト。文部科学省消費者教育アドバイザー・「子供のお金教育を考える会」代表等を務める。「カレー作りゲーム」の考案者であり、全国で講演、ワークショップを行う。一男一女の母