■隣人とのトラブル別で相談先を選ぶ
そこで今回は富士見坂法律事務所の井上義之弁護士に隣人トラブルについて話を伺った。まずはトラブル別で弁護士と管理会社、警察のどこに相談するべきかを聞いてみた。
【騒音・ごみ問題等】
「戸建て住宅に住んでいる場合は自治体や地域の自治会、マンション居住者は管理会社に相談するのが良いと思います。事態の収拾に動いてくれる場合があります。事態が重大な場合には、早めに弁護士にも相談するのがよいでしょう」(井上義之弁護士)
【土地の境界問題】
「法律的な問題なので、弁護士への相談をお勧めします」(井上義之弁護士)
【その他の嫌がらせ等】
「犯罪に発展するおそれがある場合は警察の相談専用電話(#9110)に相談すべきです。また、法的な解決については弁護士への相談をお勧めします」(井上義之弁護士)
救急相談センターの#7119はなじみがあったが、#9110は初耳だった。覚えておいて損はないだろう。
■弁護士が介入する場合の解決までの手順
ケースバイケースではあるだろうが、全てのトラブルで選択肢となりえる弁護士。では弁護士に相談をした場合、解決までどのような手順をたどるのだろうか。
「弁護士は、相手に対し書面や電話で連絡をとり、問題解決に向けて交渉を行います。近隣者同士のトラブルでは、法的な帰結(裁判だとどうなるか)を念頭に置きつつも、できる限り円満な解決を目指して交渉していくことが多いです。また、弁護士が自治体や警察に対して問題解決に役立つ対応をとるように働きかけを行うこともあります。そうした手段でも問題解決に至らない場合は調停や訴訟を通じて解決を目指すことになります」(井上義之弁護士)
顔も見たくないというほどにトラブルが深刻化している場合なら、依頼した時点で相手との交渉を弁護士がしてくれるのは非常にありがたいだろう。
■弁護士が介入するべきかどうかの基準や成功例、失敗例
最後に弁護士が介入して成功したケース、介入したほうが良いケースを聞いてみた。
「土地の境界問題については、法的な問題であり放置した場合の影響も大きいので、弁護士が介入したほうが良いです。騒音・悪臭等で深刻な問題が生じ、既に受忍限度を超えたといえる場合、あるいは超えるおそれがある場合も、弁護士が代理人として介入したほうが良いでしょう。なお、そこまで事態が深刻ではない段階でも、弁護士に早期に相談し、助言を受けて自ら対応策をとるなどして円満解決を模索することが期待できます」(井上義之弁護士)
では弁護士が介入しても失敗する可能性があるケースはどうだろうか。
「弁護士の介入が奏功しない可能性が高いケースとしては、相手が開き直り、賠償金の支払義務を負っても支払能力がないような場合が挙げられます。運悪くそういう相手が近所にいた場合、引っ越しも視野に入れて対策を検討する必要が生じるでしょう」(井上義之弁護士)
ここまでトラブル後の対応について触れてきたが、理想はトラブルの事前回避、つまり大家さんや管理会社に隣人について尋ねることだ。個人情報の兼ね合いで得られる情報は限られるだろうが、聞かずに後々後悔するよりもずっとマシなはずだ。新年度はただでさえ慌ただしい。引っ越したばかりでまた引っ越すなんてことだけはないように気をつけていただきたい。
●専門家プロフィール:弁護士 井上義之 事務所HP ブログ
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