■屋内で目にする虫の正体
まずは単刀直入に、ユーザー投稿にあった「家で見かける小さな虫」の正体を聞いてみた。
「家屋内でみられる『小さい黒い虫』の正体は、ゴキブリの幼齢虫、ゴミムシダマシ類、カツオブシムシ類などが考えられます。ゴキブリは国内に約40種生息し、その多くが屋外性です」(株式会社グラックス)
なんと、屋外にも多くのゴキブリの種が生息している。屋内にいる種にはどのようなものがあるだろう。
「屋内性の代表種として関東以南を中心にみられる大型種のクロゴキブリ、小型種の代表種としてチャバネゴキブリがあります。現在では、気候の温暖化や、家屋の暖房効率の上昇などを受け、ほぼ全国的に生息が確認されています。クロゴキブリ、チャバネゴキブリ共に幼齢虫(子供)の段階では羽がなく、皆さんが想像するゴキブリとは形が違うでしょう。クロゴキブリの体色は、若幼齢虫の段階では黒、老幼齢中の段階では赤褐色、成虫になり再度黒色へと変化していきます」(株式会社グラックス)
正体不明の小さな虫だが、ゴキブリの幼虫である可能性が高いという。そうなると一刻も早く駆除したいところだが、そうでない場合には駆除にも注意が必要だとか。
「ゴキブリの幼齢虫には羽がありませんが、ゴミムシダマシ、カツオブシムシには羽があります。カブトムシの雌のような形態の甲虫を想像してください。ゴミムシダマシ、カツオブシムシ共に穀物の害虫として知られています」(株式会社グラックス)
ゴミムシダマシやカツオブシムシの場合は殺虫剤を使用せず、発生源であろう穀物などを破棄するとよいとのこと。
■建造物や家具に寄生する虫
他にも「小さい茶色い虫」としてキクイムシ、シバンムシ、トコジラミなども発見されることが多いという。
「キクイムシは、読んで字のごとく木を食害する虫です。ラワンやナラ等の広葉樹の木材を食害し、窓枠などの床材への被害が発生します。シバンムシも乾材や畳床を食害し、この2種はシロアリとともに建造物の代表的な害虫としても知られています」(株式会社グラックス)
屋内に現れる虫の中には、放置しておくと人体に影響が出る種類もあるらしい。
「トコジラミは昼間に壁のすき間やベッドの隙間に潜み、夜間に首筋や手といった露出部分を吸血します。刺されたときはあまり痛みやかゆみを感じませんが、後でひどくかゆくなっていきます。羽がなく扁平、楕円形で赤褐色という特徴があり、昨今は都心部において被害が続出しています。これらの害虫は、一般の方での駆除が困難であるため、信頼のおける専門業者に調査依頼されることをお勧めします」(株式会社グラックス)
他にも目にしそうな虫はいるだろうか。
「チャタテムシがいます。こちらはキッチンなどでの被害が多いです。最近では建材やダンボールに付着したものが定着し、新築時のマンションや戸建での被害報告が増えてきています」(株式会社グラックス)
株式会社グラックスによると、今回紹介してもらった害虫の多くは高温多湿で不衛生な環境を好むという。まずは衛生的な環境を保つため、室内の換気や清掃をこまめに行うことが一番の予防対策といえそうだ。
●専門家プロフィール:株式会社グラックス
1999年開業。「建設業許可」「消毒業許可」「建築物ねずみ昆虫等防除業の知事登録」など取得しており、あらゆる害虫・害鳥・害獣防除を行う。
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