■トイレは安全な場所ではない…?
もし、トイレにゴキブリが侵入する場合、侵入経路はどこなのか。トイレに手洗い場がついている場合、そこを頻繁に使っていないとなると、そこの排水溝から……?
窓がある場合は外部からの侵入経路が考えられるだろうか。はたまた換気扇から……?
害虫防除を専門で行っている、株式会社テオリアハウスクリニックの代表取締役である南山和也さんに聞いてみた。
「トイレにゴキブリが侵入する原因は複数あります。たとえば“下水管から上がってくる”、“窓を開けたときの隙間から”、“換気扇から”、“トイレのドア下の隙間から”などです」(南山さん)
いろいろな侵入経路が考えられるようだ。下水管から上がってくる可能性は、やはり便器の中の水が空っぽの状態が続いていたことが大きいのだろうか?
「長年使っていないトイレの場合、便器内の水たまりが干上がり、下水管とトイレ内が繋がってしまいます。水たまりは“下水管の臭気”や“害虫”が上がって来ないようにする役割があります。トイレ内に下水の臭いがするなら下水管が繋がっている証拠です。その場合、ゴキブリも下水管を伝って上がってきます。完全に水が干上がっていなくても下水の臭気がするなら要注意です。こまめに水を流して適正な水位に保っておくことが重要です」(南山さん)
なるほど。水が空っぽの状態だけではなく、下水の臭いがする場合も注意したほうがよさそうだ。
■手洗い場、窓の隙間も油断できない…?
「トイレの手洗い場がタンクとは別に設置されている場合は、排水管内にトラップという水たまりがトイレと同様にありますので、こちらも干上がらないように定期的に水を流しておかないとゴキブリの侵入経路になります」(南山さん)
トイレに手洗い場がついている場合、例えばそこを頻繁に使っていないとなると、そこの排水溝からも考えられるとのこと。ちなみに“窓を開けたときの隙間”、というのはどういうことだろうか?
「窓を開けるときも隙間が出来ないように開けることが大切です。特に引違い窓の場合は中途半端に窓を開けると、網戸と窓の間に隙間が生じるためゴキブリが入ってくることがあります」(南山さん)
自宅の窓を確認してみると、わかりやすいかもしれない。窓を少し開けた状態だと、窓と窓の間に薄い隙間ができてしまう。全部窓を開けている状態であれば、もう一つの窓とのサッシがちょうど重なり、隙間を生みづらい。
一見気づかないこんなところも、ゴキブリの侵入経路になってしまうのだ。たとえ便器内の水たまりが保たれていても、これらの侵入経路があるかぎり、トイレ内でゴキブリと遭遇する可能性は無くならない。
■トイレにゴキブリが生息している兆候
最後に、ゴキブリが生息している兆候はあるだろうか。たとえばトイレの床に埃がやたら多いとか。黒い小さな粒々、つまりは糞が複数落ちているとか。考えられる可能性を引き続き南山さんに教えてもらった。
「ゴキブリが生息しているかは、糞が複数落ちていることでわかります。1mmから2.5mmほどの黒くて丸っこい粒状のものがゴキブリの糞です。それ以外での兆候はあまり無いと思われますが、粘着トラップを設置しておけば、ゴキブリがいればトラップに掛かりますので、そのトイレに定着しているか確認することができます」(南山さん)
なるほど。もしトイレに黒くて丸い粒状のものが落ちていたら、かなりの要注意というわけだ。ちなみに、トイレでゴキブリを見ないためにしておくとよい対策はあるだろうか?
「これといった決定打はありませんが、まずはこまめな掃除です。ゴキブリは雑食性で、あらゆるモノをエサとします。髪の毛やダニの死骸、ホコリなどもゴキブリからしたらエサです。ですから、日頃からこまめな掃除をすることが大切です。あとは、トイレ以外も清潔にすることです。トイレにゴキブリが居なくても、他の部屋が汚れているとゴキブリが発生する原因になります。ゴキブリは水分を求めてトイレなどの水回りを徘徊しますので、根本的には家全体を清潔にしておくことがとても重要です」(南山さん)
以上、ゴキブリのトイレへの侵入経路と、生息兆候を専門家の見解のもとにご紹介したが、いかがだっただろうか。普段、心安らぐ場所のトイレも安全な場所とは言い難い。ゴキブリに侵入されないためには、こうした知識も押さえておく必要があるだろう。