■恵方巻きの恵方はどうやって決まる?
まず、恵方巻きを食べる方角は、毎年どのように決まるのだろうか。恵方巻きは、その年の恵方を向いて食べると、商売繁盛や無病息災になると聞く。
「今年の恵方巻きの方角は◯◯です!」というのはよく耳にするが、どのように決まるのか疑問を持つ人も多いのでは? ビジネスマナー講師の桜美月さんに聞いた。
「歳徳神がいる方角が恵方になります。歳徳神(としとくじん)とは、陰陽道でその年の福徳をつかさどる神様で歳徳、歳神とも呼ばれています。恵方は、その年の干支の十干(じっかん)によって決まります」(桜さん)
干支は皆さん、年賀状でお馴染みだろう。十干とは十二支と組み合わせて、年・日の表示などに用いるようだ。
十干は全部で10種類ある。甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)があり、それぞれ恵方が割り当てられているという。
「今年の十干がわかれば、恵方巻の方角がわかります。今年の西暦の下一桁目をみれば、今年の十干がわかります。例えば、2018年の場合、下一桁が8なので『丙』、『辛』、『戊』、『癸』に当てはまります。つまり、恵方は南南東となります」(桜さん)
具体的には、以下のような具合である。桜さんが、すべての恵方の決まり方を教えてくれたので、合わせてご紹介したい。
・西暦下一桁が4・9の場合は、十干は甲・乙、恵方は東北東となる
・西暦下一桁が0・5の場合は、十干は乙・庚、恵方は西南西となる
・西暦下一桁が1・6・3・8の場合は、十干は丙・辛・戊・癸、恵方は南南東となる
・西暦下一桁が2・7の場合は、十干は丁・壬、恵方は北北西となる
「ちなみに、毎年発行されている『新宮館開運歴』の方位吉凶図で示されている歳徳の方角が恵方に当たります」と桜さん。
こうした決まり方で、毎年恵方巻きを食べる方角が決まるのだ。恵方の決まり方がわかって、スッキリした人も多いのでは?
■恵方を向かずに食べてしまったら……?
恵方巻きにまつわる疑問はまだまだある。恵方巻きは恵方を向いて食べるのが良しとされているが、もし恵方の方角を向かずに食べた場合、やはり効果はないのだろうか?
「恵方巻きは、『七福神』に見立てて7つの具材(福)を巻き込むといわれていますので、方角を向かないということは、歳徳神のいる方角ではないので意味がありません」(桜さん)
では、途中で食べ切れなかった場合はどうだろうか?
「途中で食べきれない場合は、無理をすることはありません。食べきれないと思う時は、『細巻き』を選ばれるといいですね」(桜さん)
恵方巻きといえば、太く立派な巻き寿司の印象がある。恵方巻きは太ければ太いほど縁起がよく、長ければ長いほど縁起がいいのだろうか?
「太ければ太いほど縁起が良いわけでもなく、長ければ長い方が縁起がよいことはありません。恵方巻が長いのは、鬼の金棒を見立てて『邪気を祓う』という意味でもあるので、長くつくられています」(桜さん)
認知度が高まり、恵方巻きはポピュラーになりつつあるが、恵方巻きの食べ方までは、まだまだ把握できていない人も多いのではないか。
立春に恵方巻きを食べなかった人がいたなら、ぜひ立夏、立秋に備え、恵方巻きの食べ方を押さえておきたい。