■特定の社員のみ特別な呼び方はアリ?
男性の上司が、特定の女性の部下だけ下の名前(さん付け、ちゃん付け、呼び捨て)や、あだ名で呼ぶことに何か問題はあるのだろうか?
「特定の女性のことを、さん付け、ちゃん付け、あだ名で呼ぶことに故意や悪意がなければ、セクハラ、パワハラ、差別にはなりませんが、特定の女性だけ呼び方が違うことは、他の社員が不公平感を抱く原因になりかねません」(タカミさん)
ちなみに女性の部下が特定の男性上司に対して、「太郎さん」などと下の名前(さん付け、ちゃん付け、呼び捨て)もしくは、あだ名で呼ぶ場合も、他の社員が不公平感を抱く原因になりかねないという。
「先のケース同様、性別や役職に限らず何気ない名前の呼び方ひとつが、呼ばれた本人だけでなく周りで見ている同僚にも、不快、不愉快、疎外感などの複雑な負の感情を持つ人がいることに注意が必要でしょう」(タカミさん)
たかが呼び方、されど……といったところのようだ。
■波風を立てない呼び方
では、 職場で波風が立たない、無難な名前の呼び方はないのか。
「なかには『役職者には役職で呼び、それ以外には“さん”付けで呼ぶ』など、呼び方を細かく規定している会社などもありますが、一番波風が立たないのは、全員を“さん”付けで統一することでしょう。特に、役職者や管理職が部下を呼ぶとき、呼び方を統一しておくことは、全社員が気持ちよく働く環境を整えるための基本的なことです」(タカミさん)
仕事以外のことで職場の雰囲気を乱しては本末転倒だ。特に、上に立つ役職者ほど配慮が必要なのかもしれない。やはり、全員「さん」付けで統一するのが、一番無難といえそうだ。
「例えば、“さん”付けが馴染まない社風、雰囲気であれば、入社時などに“呼ばれたいあだ名”を自分で決めてもらい、あだ名で呼びあうルールを設けるのもよいかもしれませんね」(タカミさん)
なるほど。誰かをあだ名で呼ぶなら、全社員あだ名で呼びあうべき……つまり「統一」することが「平等」に繋がり、大切なのだとわかった。それが、性別も年齢も役職も異なる社員が一定時間を共に過ごす職場において、波風を立てず良好なコミュニケーションを築くための“キホンのキ”なのかもしれない。
●専門家プロフィール:タカミ タカシ
キャリアカウンセラー、キャリアコーチ。2008年に日本キャリア・コーチングをスタート。個人支援を専門に1,000名以上をコーチ。自己分析・キャリアデザイン・転職・昇進昇格・パワハラ改善が得意な実務家として、成果・自立につながる具体的なアドバイスと丁寧なサポートが強み。