![「離婚慰謝料の増額オプション」について弁護士に聞いた話をまとめてみた](http://oshiete.xgoo.jp/_/bucket/oshietegoo/images/watchmain/d/542301348_5d3028fdaa85f/ORG.jpg)
「教えて!goo」でも「不倫→離婚 慰謝料1000万なんてありえますか?」という質問が寄せられている。質問者は端的に慰謝料がどのように決まるのかと問うている。
■慰謝料はありとあらゆる条件を考慮し決定する。考慮されない条件などない。
慰謝料にもいくつかあるが、今回は離婚の慰謝料に限って、富士見坂法律事務所の井上義行弁護士に話を聞き、慰謝料がどのように決められるのか、またどのような条件を満たすと慰謝料が高くなるかについてまとめてみた。
「慰謝料額の決定にあたって裁判所が斟酌すべき諸般の事情についてはなんら制限がない、というのが判例です。慰謝料額は、どのような法益が侵害されたのか、侵害行為の態様、加害者の動機、被害者と加害者双方の年齢・社会的地位・職業・資産、など非常にさまざまな事情を裁判官が斟酌して決定されます」(井上義之弁護士)
慰謝料の決定において、優先して考慮されるいくつかの事情があるにはあるようだが、それが全てではなく、ありとあらゆる事情を考慮するという。つまり考慮されない事情などないということだ。
■ 慰謝料増額オプションのまとめ
全ての事情が考慮されると言うが、特に慰謝料増額にダイレクトに影響する条件は何があるのだろうか。
「離婚に伴う慰謝料は、相手方配偶者の有責な行為や離婚がもたらす精神的苦痛を償うものですので、有責な行為(不貞行為、悪意の遺棄、DV等)の内容が中心的な考慮要素となります。もっとも、夫婦を取り巻くそれ以外のさまざまな事情も考慮されます。不貞行為を例に慰謝料の増額事由をもう少し具体的に説明すると、以下のようなものがあります」(井上義之弁護士)
・積極的に不貞行為を働いたか否か
・不貞行為の内容・回数・期間
・元々の夫婦関係(円満なほうが高くなる傾向)
・従前の経緯(例えば過去に不貞行為を働き、もうしないと告げていたような場合は高くなる傾向)
・婚姻関係が破綻し離婚に至ったのか否か(結果が生じたほうが高くなる傾向)
・婚姻期間(長いほど慰謝料額が高くなる傾向)
・当事者の年齢・資力・社会的地位(有責配偶者に資産があるほうが高くなる傾向)
・未成年子の有無(未成年子がいるほうが高くなる傾向)
・問題発覚後の態度(悪いほど高くなる傾向)
今まさに離婚を検討し、慰謝料を請求しようとしている方はいくつ満たしているか確認してみるのもいいかもしれない。
■ 過去の判例と慰謝料額
最後に具体的な慰謝料額と判例について聞いてみた。
「離婚に伴う慰謝料の金額は事案によってかなりばらつきがありますが、いくつか裁判例を以下に挙げてみます」(井上義之弁護士)
・夫の不貞行為で500万円の慰謝料を認めたもの
・夫の暴力で400万円の慰謝料を認めたもの
・夫の一連の言動が婚姻関係破綻の主要因になったとして500万円の慰謝料を認めたもの
・夫の不貞行為と悪意の遺棄で1500万円の慰謝料を認めたもの(同居12年・別居36年で妻が高齢となっていたことも考慮されたようです。)
先日離婚を発表し、慰謝料が話題となったビートたけしさん。具体的な慰謝料額は明らかになっていないが、報道では100億や200億などといった数字が勝手に踊った。一方、国外ではAmazonの創業者ジェフ・ベゾス氏は離婚慰謝料に、日本円にして少なくとも約4兆円相当の株式を譲渡したという。金額としては史上最高額だったとのこと。
老後の生活費が2000万円不足するだなんだと話題になっているが、これだけの高額慰謝料と比較してしまうと、持ってる人は持っているのだなと感心するばかりである。
●専門家プロフィール:弁護士 井上義之 公式 ブログ
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