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自宅を担保にお金を借りる「リバースモーゲージ」は、高齢者の救世主となるのか?

自宅を担保にお金を借りる「リバースモーゲージ」は、高齢者の救世主となるのか?2019年に話題になった老後資金問題。老後の生活を考える上で重要なことのひとつに、「どこに住むか」がある。「教えて!goo」に寄せられた質問「妻は老後生活が心配と言うが。」では、住宅ローンの返済は終わっているが貯金ゼロという投稿者が「リバースモーゲージ」を利用しながら自宅に住み続けることを相談している。リバースモーゲージとは、一体どのような制度なのだろうか。

■生きている間は「自宅を売却しなくてよい」のが一番の利点


お話を伺ったのは、有限会社ライフステージの宅地建物取引士・杉山善昭さん。

「リバースモーゲージとは、今住んでいる物件を担保にお金を借り、死亡後にその物件を売却することで、借りたお金を一括返済するという方法です。東京スター銀行の『充実人生』がパイオニア的存在で、その後さまざまな金融機関で取り扱うようになりました。借りられる上限金額は土地や物件の価値によって決まり、必要な分だけを借りることもできます」(杉山さん)

よく似た制度に「リースバック」がある。こちらは不動産投資家に自宅を売却することでまとまったお金を得た上で、賃貸として家賃を支払いながら、引き続き自宅に住む方法だ。

「リバースモーゲージの場合、物件の所有権は本人にありますので、心理的抵抗はかなり減ると思われます」(杉山さん)
 
正真正銘の「自宅」で余生を過ごせるのが、一番のメリットといえる。

■注意すべき点は?


リバースモーゲージを利用する上で、注意点を聞いてみた。

「まず、年齢です。申し込みは高齢者に限定している金融機関がほとんどです。年金などの安定した収入が必須条件です。また、金融機関側にとっては最終的に貸したお金を回収しないといけませんから、換金性の高い物件であるかどうかは重要です。そのため、対象となる都市は限られています。マンションでも利用可能ですが、一戸建てに比べると評価は低くなります。ほかに、金融商品ごとに名義人の年収制限がついている場合もあるので確認しましょう」(杉山さん)

また、連帯保証人として、相続人がいるかどうかも重要だ。

「『本人が亡くなってから物件を売って、借りたお金を返す』のがリバースモーゲージですが、亡くなった人の名義から直接売却することはできません。この場合、一度相続してから、その相続人が売るというステップを踏むことになります。相続人がいない場合、弁護士などの相続財産管理人が代わりに売却するという選択肢もあり得ますが、リバースモーゲージに加入した段階ではまだ相続は発生していませんから、そもそも申し込めないのではないでしょうか」(杉山さん)

条件などは、申し込みたい金融商品を扱っている金融機関によく確認しよう。

■リバースモーゲージのデメリット


リバースモーゲージの一番の落とし穴は、いつまで生きるかわからないという点。長生きをすればするほど、最初に設定された融資限度額を超えてしまう可能性があるが、この場合はどうなるのだろうか。

「限度額以上のお金を借りることはできませんので、限度額を超える新規の借り入れは不可能になります。また、限度額は土地や物件の価値に応じて何年かに一度見直されるので、最初の査定よりも途中で金額が減ってしまうこともあります」(杉山さん)

ほかにも、金利変動リスクが加わることや、医療費がかかったときに返済が継続できるかなども十分考慮する必要があるとのこと。

「リバースモーゲージでは、月々の返済は利息のみ、元金の返済は売却後に行います。元金が減らないので、長い目で見ると返済総額は増えてしまいます。下手をすると『利息を払うためにお金を借りている』という状態が発生するため、おすすめはしません」(杉山さん)

では、どのような人なら利用するメリットがあるのだろうか。

「『余命宣告をされていて自宅で看取られたい』、『子どもが学校を卒業するまで』など、利用する期間が明確に決まっていて、自主的に売ることができるのであれば、デメリットはそれほどないでしょう。なんとなく将来が不安だから、で利用するのは大変危険です」(杉山さん)

必要なお金を計算し、返済計画を練った上で利用するとよいとのこと。最期まで長年住み慣れた場所で過ごしたいという願いはあるだろうが、安易に飛びつく前によく検討することが必要だ。

●専門家プロフィール:杉山善昭
有限会社ライフステージ代表取締役。宅地建物取引士のほか、建築士、公認不動産コンサルティングマスターなどの有資格者。不動産業界30年のキャリアを持ち、不動産専門誌掲載、FMラジオ出演多数。住宅ローン返済不能不動産の任意売却業務や高難易度の不動産売却業務を得意としている。著書に『不動産ワクチンがいまなぜ必要か?』。

(酒井理恵)
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