■エアコンのベストな設定
さっそく、電気代が節約できる使用条件や設定について聞いてみた。
「エアコンを使用する際のベストな設定は、『冷房』、『28℃』、『自動運転』です」(丸山さん)
設定温度「28℃」は、少し高めに感じるが……。
「同じ温度でも湿度が高いと暑く感じます。ですので、温度だけでなく湿度も下げるようにすると涼しさを感じやすいです。冷房運転は室内の熱を集め、冷やして飽和した水蒸気(湿気)を排出する『除湿機能』を兼ね備えています。そのため、28℃でも体感温度を下げることができるのです」(丸山さん)
湿度を下げるなら、「除湿」運転の方が効率的ではないだろうか。
「エアコンの『除湿』には、2種類あります。湿度を目標値まで下げるために微弱な冷房運転をする『弱冷房除湿』と、室温を下げないよう冷気を再熱してから送風する『再熱除湿』です。どちらも冷房より除湿量が少ないため、涼しさを感じにくいでしょう」(丸山さん)
意外なことに、「冷房」の方が除湿量は多いとのこと。設定によって、電気代にも違いがでるという。
「消費電力量が多いほど電気代が上がるため、『再熱除湿』が最も高いです。次に高いのは『冷房』で、最も安いのは『弱冷房除湿』です」(丸山さん)
涼しさと電気代の両面から考えると、「冷房」がベストな設定といえるようだ。
エアコンを「つけっぱなし」にすると節電になるという説についても確認してみた。
「あるメーカーでは、9時から18時は『つけっぱなし』にし、18時から23時はこまめにつけたり消したりした方が節電になるというデータを出しています」(丸山さん)
節電になるかどうかは、外気温により異なるということだ。
「外出する際は、9時から18時に35分以内、18時から23時に18分以内であれば、つけたままの方が節電になるそうです。つまり、どのような条件でも『つけっぱなし』を推奨しているわけではありません」(丸山さん)
機種によっても、節電の目安は異なる。メーカーが発信する情報を確認し、判断するとよいだろう。
■電気代を節約する工夫
エアコンが出した冷気を効率よく循環させ、電気代の節約に繋げたい。そのためにできる工夫はあるだろうか。
「運転中、停止後に関わらず、日中は窓から日光(熱)が入らないようカーテンを閉めるのがおすすめです。室外機が熱くなっていると設定温度まで冷やすのに電力を使うため、市販の日除けカバーなどをかけておくとよいです。運転中は、扇風機やサーキュレーターを使って冷気を循環させましょう。風が体に当たることで体感温度も下がりますよ」(丸山さん)
さらに、エアコン自体の日頃のメンテナンスが重要だそうだ。
「フィルターやエアコン内部にホコリがたまっていると、部屋を効率的に冷やすことができません。カビの原因にもなるため、2週間から1ヶ月毎の掃除を心がけましょう」(丸山さん)
古いエアコンを使用している場合は、節約のためにも買い替えを検討するとよいとか。
「多くのメーカーでは、安全上支障なく使用できる期間を10年と設定しています。14畳向けで15年前に発売されたエアコンを買い替えた場合、年間11,367円の節約になるというデータもあります。買い替えの目安にしてみてください」(丸山さん)
最後に丸山さんは、就寝時の工夫と注意点を教えてくれた。
「外気温が下がる就寝中は、扇風機や冷感シーツ、冷却まくらなどを併用すると体感温度が下がり節電できます。しかし高齢の方は暑さを感じづらく、就寝中にも熱中症を起こす危険性があります。エアコンを28℃以上に設定し、無理せず安眠できる程度に使用しましょう」(丸山さん)
今年の夏も、昼夜を問わず気温が高い日が続きそうだ。今回紹介した方法なら、暑さを回避しながら日々の電気代を節約できるだろう。賢くエアコンを使い、暑い夏を乗り切ろう。
●専門家プロフィール:丸山 晴美
節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。消費生活アドバイザー。ゆとりうむプロジェクト理事。年間100万円貯めることを目標としたオンラインコミュニティサロン「女性のための夢を叶える!お金の教室」を開設。著書出版、メディア掲載等、幅広く活動し、節約して上手にお金を貯める術などについてアドバイスしている。