■1枚集中型はカード管理をシンプルにしたい人におすすめ
まず、1枚集中か複数分散か、どちらがよいのか聞いた。
「クレジットカードは、メインカードとサブカードで使い分けるのをおすすめします。ただ、その人のライフスタイルや性格によって、おすすめの方法が違ってくるというのも事実です。どんな人にどんな使い方がおすすめなのかを解説します」(菊谷さん)
一般的には、複数のカードを持った方がよいということだが、1枚に集中させる場合でも、相応のメリットがあるという。
「1枚集中でカードを利用すれば、カード利用履歴や支払い、ポイントや年会費の管理も含め一つの管理画面(または利用履歴書)で確認できます。面倒なことが嫌いで、シンプルなカード管理を求める人は1枚利用でもよいでしょう。また。ポイントが分散しないので、『利用できるポイントに達する前に有効期限切れで失効してしまった』などの損失の可能性も少ないです」(菊谷さん)
確かに管理がシンプルになるという点は、大きなメリットといえるだろう。では、どのようなカードがおすすめだろうか。
「この場合、ポイント還元率がなるべく高いものを選ぶのがおすすめです。100円で1円分のポイントが貯まる還元率1.0%以上のカードが高還元カードです。ただし、1枚持ちのデメリットとして、クレジットカードの決済ブランドによっては使えない店舗もあるので、注意しておきましょう」(菊谷さん)
どのブランドのカードを選ぶのか、よく考える必要がありそうだ。
■海外によく行く人、特典を最大化したい人には複数利用がおすすめ
では、複数のカードを持っていたほうがよい人とはどのような人なのだろう。
「海外旅行によく行く人には、2枚以上クレジットカードを持つことをおすすめします。決済ブランドを分散させることで、海外で『このカードは使えない』という事態を防ぐためです。『VISA』や『MasterCard』は、ほとんどのカード加盟店で利用できますが、『JCB』、『アメリカン・エキスプレス』、『ダイナースクラブ』は決済対応していないところもあります」 (菊谷さん)
海外で使えないのは旅行者にとっては死活問題。複数持って行くことはマストといえそうだ。さらに、複数持ちの場合には、次のようなメリットもあるという。
「ポイント収集の観点でも、複数持ちがお得な点があります。カードによっては『特定の店舗でポイントが2倍』など、ポイントを貯めやすいケースがあります。また、楽天では楽天カード、JAL航空券ではJALカードといったように、よく利用するサービスに関連したカードがあれば、専用に発行してもお得です。カードの枚数が増えると管理が大変ですが、『このお店ではこのカード』などとルールを決めておき、請求額と支払い日を毎月確認すればそこまで難しくありません」(菊谷さん)
適材適所でカードを使い分けることで、さらにお得になるという。
■おすすめはメインカード+サブカード2、3枚
最後に菊谷さんおすすめのカードの持ち方について教えてもらった。
「『メインカード+サブカード2、3枚』をおすすめします。メインカードを選ぶ基準は、ポイントを集約しやすい高還元カードであること、利用したらこまめに利用金額をチェックすると、お金の流れがわかります。サブカードは、メインカードと決済ブランドが違うこと、よく利用するお店やサービスで優待があること、年会費が無料または格安であることを基準に選びましょう。サブカードで貯めたポイントを、メインカードに集約することもできます。ポイントが失効しないように気をつければ、それぞれのカードのメリットを最大限に享受することができます」(菊谷さん)
さすがはクレジットカードのプロ菊谷さん。10枚のクレジットカードを使い分けるというプロフィールは伊達じゃなかった。筆者もこれを機会に、手持ちのカードを効率のよいものに見直していこうと思う。
●専門家プロフィール:菊谷 彩加
自分にぴったりの「クレジットカード」を見つけ出すことができるサイト「ナビナビクレジットカード」編集部員。クレジットカードを研究して12年。監修記事は300以上におよぶ。JALカードをメインに10枚のクレジットカードを使い分け、クレジットカードライフを満喫している。