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営業保証金の問題で理解できないものがあります。

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、甲県内に本店と支店を設け、営業保証金として1,000万円の金銭と額面500万円の国債証券を供託し、営業している。この場合に関する次の記述のうち宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

択のひとつに、以下があります。
Aは、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合において、従前の営業保証金を取りもどすときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者に対し、一定期間内に申し出るべき旨の告知をしなければならない。

この択は誤りで、説明は次のようになっています。
二重供託を生じた場合(主たる事務所を移転したが、営業保証金を有価証券も含めて供託しているため、保管替えができず、新たに供託し直して二重供託が生じた場合)において、従来の営業保証金を取り戻すときは、「債権をお持ちのかたはお申し出ください」との告知は不要だ。

二重供託状態だと理解できるのは問題文のどの部分からでしょうか?
この択から私が理解できるのは、説明中にある「主たる事務所を移転したが、営業保証金を有価証券も含めて供託しているため保管替えができず」ここまでです。
「新たに供託し直して二重供託が生じている状態」とは択から読み取れません。
どのような知識がインプットされていないため、この択から二重供託だと読み取れないのでしょうか?

A 回答 (4件)

結論を一言で言えば【当然のことだから】です。



もう少し丁寧に言うならば、
供託した営業保証金が「金銭のみでない」場合に、主たる事務所の移転に伴い「もよりの供託所が変更」した
という問題文の設定であれば【二重供託になるのは明らかだから】です。そして、本問で取戻しができる理由は二重供託によって政令で定める額を超過するからです。

つまり、この問題を解くのに必要な知識は、
(1)主たる事務所の移転に伴いもよりの供託所が変更した場合において従前の供託が【金銭のみでないときには保管換えができず】、当該変更後のもより供託所に【「新たに」供託をしなければならない】。
(2)当該「新たに」した供託によって営業保証金が政令で定める額を超過するから、超過分について【従前の供託所に供託した営業保証金の取戻しができる】。
(3)(2)の取戻しにおいては公告は不要。
ということです。もしこの三つを知っていても解らなかったのであれば、覚えた知識が論理的に繋がっていなかったということです。

※条文上はあくまでも政令で定める額を超過するから取戻しができるのであって二重供託になるからではありません。二重供託になれば政令で定める額を超過するのは当たり前だというだけの話です。例えば主たる事務所の移転と同時にその他の事務所を廃止したなどという場合であれば、「新た」な営業保証金は額が減るので従前の営業保証金の一部のみが二重供託になります。しかし、政令で定める額を超過していることに変わりはないので全額取戻しはできます。そしてその場合、二重供託にならない部分について公告が必要になります。

―――――
以下ちゃんとした解説。

根拠条文は、業法の第29条第1項と第30条第1項後段です。

―――
第29条第1項 宅地建物取引業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもつて営業保証金を供託しているときは、法務省令・国土交通省令の定めるところにより、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求し、その他のときは、遅滞なく、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。

第30条第1項後段 宅地建物取引業者が一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金の額が第二十五条第二項の政令で定める額を超えることとなつたときは、その超過額について、宅地建物取引業者が前条第一項の規定により供託した場合においては、移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金についても、また同様(=供託した営業保証金を取り戻すことができる。筆者註)とする。
―――

(1)第29条第1項には、主たる営業所の移転に伴ってもよりの供託所が変更した場合、
・金銭のみをもって営業保証金を供託している場合は保管換えの請求をしろ。
・それ以外の場合には移転後のもよりの供託所に「新たに」供託しろ。
と書いてあります。
すると、本問の金銭及び国債証券による供託の場合には、保管換えの請求ができません。
そこで主たる営業所の移転によってもよりの供託所が変更すると、必ず「新たに」供託しなければなりません。
ここで、「新たに」供託する前に従前の供託所から営業保証金を取り戻すことはできません(それを認める規定がない。後で取り戻すことができる規定が第30条第1項後段)。
したがって、「新たに」した供託の額につき、【必ず】二重供託になります。

(2)供託した営業保証金の取戻しを認める第30条第1項後段には、
・一部の事務所を廃止したために供託した営業保証金が政令で定める額を超過した場合には超過分を取り戻せる。
※復習:営業保証金の額は主たる事務所につき1000万円、その他の事務所1か所につき500万円(業令第2条の4)。
・【主たる事務所の移転により第29条第1項に従って「新たに」営業保証金を供託したために】供託した営業保証金が政令で定める額を超過した場合も同様。
と書いてあります。
つまり、営業保証金が政令で定める額を超過すれば超過分を取り戻せるわけですが、なぜ営業保証金が政令で定める額を超過するのかと言えば、主たる事務所の移転に伴ってもよりの供託所が変更した場合に「新たに」供託すると従前の供託所に供託した分と合わせて二重供託になるからです。


以上が、営業保証金を金銭のみで供託していない場合において主たる事務所の移転に伴いもよりの供託所が変更したときは二重供託になって営業保証金の取戻しができる理由です。
そして、この場合の供託金の取戻しについて、公告が不要となる根拠は、第30条第2項本文かっこ書きです。
・前条第1項の規定(=主たる事務所の移転によりもよりの供託所が変更した場合の供託金の取戻しの規定)を除く
と書いてあります。公告を不要とする趣旨は、そもそも二重供託に掛かる営業保証金は、債権者保護のために法令上義務付けられているものではないので債権者保護の要請がないからです。

第30条第2項 前項の営業保証金の取りもどし(前条第一項の規定により供託した場合における移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金の取りもどしを除く。)は、当該営業保証金につき第二十七条第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。

―――――
まとめという名の繰り返し再確認。

というわけで、保管換え請求ができる場合を除いて、主たる事務所の移転に伴いもよりの供託所が変更した場合には、【当然に二重供託になる】んです。
【当然に二重供託になるから】供託した営業保証金の額が政令で定める額を超過して従前の供託所に供託した営業保証金が取戻し可能になるのです。
そして、政令で定める額を超過する営業保証金は本来ならば法令上供託する義務がないものですから、債権者の保護を考える必要がなく、公告を要せずに取戻し請求ができます。

以上
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この回答へのお礼

ありがとうございました
何回も読み直して理解できました

お礼日時:2018/10/16 21:37

ああもう一つありました。



>したがって、「新たに」した供託の額につき、【必ず】二重供託になります。

ならない場合がありますね。主たる事務所の移転と同時に新たに他の事務所を設けると、「新たに」する供託の額は従前の供託額より増えますが、この場合、従前の供託額の限度でしか二重供託になりません。
つまり、従前の供託と「新たに」した供託のそれぞれの額の【いずれか少ない方の額について】、必ず二重供託になるの間違いです。まあ通常は額は同じなんですけどね。

2回も訂正を入れるようでは校閲不足だな。
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すいません。

最後の一文が舌足らずですね。

>そして、【二重供託により】政令で定める額を超過する営業保証金は本来ならば法令上供託する義務がないものですから、債権者の保護を考える必要がなく、公告を要せずに取戻し請求ができます。

です。
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余談ですけど、「択」ではなくて「肢」ですね。

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