プロが教えるわが家の防犯対策術!

台風27号から変化した低気圧が東京で風速40mを観測したというのになぜ台風と言わないのでしょう。教えてください。

A 回答 (5件)

5つに分けて書きます。



【1.台風とは何か】

これまでの回答にもありますが,台風とは,「中心付近の最大風速が17.2m/s以上に発達した熱帯低気圧」(のうち,北太平洋の東経180度より西にあるもの)です。
(ハリケーンもサイクロンも発達した熱帯低気圧ですが,海域が違います。)

【2.熱帯低気圧と温帯低気圧はどう違うか】

今回の台風27号は,12月4日15時に温帯低気圧に変わりました。

では,熱帯低気圧と温帯低気圧では何が違うのかというと,それは低気圧の構造です。

熱帯低気圧も温帯低気圧も,どちらも大きな空気の渦巻きですが,熱帯の方は渦全体が基本的にほぼ均一な気団(空気のかたまり)でできています。
つまり,暖かくて水蒸気を多く含んだ熱帯の気団だけからできている渦巻きです。

一方,温帯低気圧は,北側には冷たい気団(寒気),南側には暖かい気団(暖気),という2種類(もっと複雑なのもあるけれど単純化していえば2種類)の気団からできています。
(南半球に行くと南北が逆になりますので,ここでは日本を含む北半球の話とします)
天気図をみると,前線の記号が書かれていますが,これは何かというと,異なる気団の境目です。
したがって,温帯低気圧は,中心付近を前線が通っているのが特徴です。
もっとも,小さな温帯低気圧だと,2つの気団の境目の位置があまりはっきりしなかったりするので,前線が書かれていないこともありますが,基本的な構造は同じといっていいでしょう。

さて,台風がだんだん北上してくると,温暖な空気の渦巻きが,冷たい空気の領域に突入するわけですから(熱帯から見れば日本付近だってじゅうぶん冷たい),だんだん温帯低気圧の構造に近づいてきます。
そして,北側の冷たい気団が,台風の中心付近まで達したとき,「温帯低気圧になった」という言い方をします。
天気図の上では,台風の東側と西側にそれぞれ,短い前線が描かれ,これが徐々に中心に向かって長くなっていって,12月4日15時の天気図では前線が中心にまで届いて一つながりになりました。
(15時といっても,15時00分ジャストという意味ではなく,3時間ごとに天気図を描いてみたら,12時の時点ではまだ台風だったけれど,15時では温帯低気圧になっていた,ということです。)

>気象庁によると、一旦衰えた熱低でも、回復すれば(中心付近の最大風速が17.2m/s以上になれば)復活宣言をするそうですから、それはなかったのではないかと思います。
>(詳細は記録がないのでわかりません)

実際に熱帯低気圧から台風になった例もあります。ただしそのためには,風速の条件に加えて,上で述べたような(温暖湿潤な気団のみでできているという)構造になっている,という条件を満たしている必要があります。

【3.今回の暴風をもたらした低気圧は元台風27号か】

実は,ご質問の文章にある「台風27号から変化した低気圧」という言い方は正確ではないのです。

台風27号から変化した温帯低気圧は,その後どんどん小さくなっていきました。
4日18時には,まだ沖縄の西にかろうじて小さな渦がありますが,21日には完全に消えてしまいます。
そして,これとは別に,台風の北側の東シナ海で,4日の9時に温帯低気圧が発生しました。
こちらのほうがどんどん発達して,大きな渦巻きになっていき,もと台風の小さな渦をのみこんでしまったのです。
したがって,より正確には,「台風27号(の暖かくて湿った空気の渦)をとりこんで成長した温帯低気圧」による暴風で,東京では最大瞬間風速40.2m/sを観測した,という言い方になります。

【結論】

以上より,ご質問に対する答えとしては,
(1)そもそも渦巻きとしては別のものだから。
(2)仮に同じ渦巻きだったとしても,寒気が入ったために構造が変わってしまったから。
と答えることができます。

【補足.既出の回答について】

いくつか疑問点がありますので,それについて触れておきます。
(他の回答への批判や,回答者同士の議論はいけないそうですが,気象学的に誤った記述を含む回答をそのまま残しておいて,他者はそれに触れてはいけないとしたら,質問者を混乱させるばかりですし,ひいては「世界知識資産」づくりを目指すというこのサイトの理念にも反すると思いますので,訂正しておきたいと思います)

まず,「熱帯低気圧に変わり、観測は中止されています。」とありますが,上で述べたように,温帯低気圧です。
また,観測が中止されたという事実はありません。
気象庁の部内態勢は縮小されたかも知れませんが,温帯低気圧になっても,引き続き観測は行なわれています。
中心の位置(緯度・経度)や,中心付近の最大風速が発表されなくなった,ということをおっしゃりたいのかもしれませんが,たとえば温帯低気圧になった12月4日15時現在では,

位置:北緯23度,東経123度
進行:東北東 35km/h
中心気圧:1000hPa

のように,ちゃんと観測されています。

また,中心付近の風速が出なくなったのは,先ほど述べた別の低気圧のほうに,強風の中心が移ったからです。
実際,そちらの低気圧については,同じ15時現在で,

風速:低気圧の南側800カイリ,北側500カイリ以内では,30から50ノットの風
(メートル法に直すと,南側400km,北側250kmでは,15~25m/s)

のように観測されています。

ただ,台風でいる間は,気象庁から「台風第○○号に関する情報」が3時間ごと(日本に近づくと1時間ごと)に発表され,ニュースでも詳しく報じられるのに対して,温帯低気圧になって「低気圧に関する情報」などになると,マスコミは急に冷淡になる傾向があります。
そのため,観測されなくなった,と勘違いされたのかも知れません。
しかし,観測は続いていますし,また温帯低気圧になったからといって決して弱まったわけではなく,むしろかえって発達することもあるわけで,そのことは今回の暴風雨からもお分かりのことと思います。

また,台風21号に関して,中心から500km以上離れている地点での豪雨を台風の影響というのはおかしい,気象庁の勝手な解釈だ,という趣旨の指摘がありましたが,気象学的に見ると,台風の影響というのは妥当な解釈です。

なぜならば,当時の天気図(最も近い時刻である,9月29日の9時)を見ると,台風を形作っている同心円状の等圧線で最も外側の1012hPaの線が紀伊半島を通っており,また午前8時現在の気象衛星からの雲画像を見ると,台風に伴う雨雲の渦は,台風の東側~北側で大きく発達し,日本列島のほぼ全域を覆っているからです。

まあ,もしこの大雨が,この時刻に,北海道とか東北地方で起こっていたら,天気図上はオホーツク海の高気圧に一応覆われている地域ですので,「当時の気圧配置が主因」という言い方ができるかも知れません。
しかし,紀伊半島ですので,天気図を大局的に見た気圧配置を考えても,やはり台風の影響というしかありません。

ニュースでは「台風の中心」にやたらとこだわった報じ方をするため,中心から500kmも離れていて台風の影響というのはおかしい,と思われたのかも知れませんが,そもそも台風とは巨大な渦巻きである,ということを思い起こすべきでしょう。

では中心とは何かというと,もっとも気圧が低い地点である,また渦巻きの流れが向かっていく地点でもあります。(これは常に成り立っています)
一方,風の強さという点では,勢力のピークを迎えるまでは,中心付近に近づくほど風が強くなる(台風の目を除く)という傾向がわりとはっきり見られるのですが,それを過ぎるとかなり崩れてきて,周辺部でも強い風が吹いたりします。(今年の台風23号がそうでした)
まして雨の強さとなると,地形の影響や雲の帯の形なども大きく関わってきますので,中心付近から離れたところで大雨が降るのはごく普通のことです。

>台風が近づいたとき、かなり離れたところで異常気象が観測されることはよくあります。
という言い方をされていますが,そこは「台風の中心」からは確かにかなり離れているかも知れませんが,それでも「台風」という渦巻きの中であれば,台風の影響(というか,台風そのものによる現象)というべきでしょう。

次に,
>僕の認識では、1000hpa(ヘクトパスカル)以下が台風だと思っていたのですが、違ってたみたいです。
当たりです。
台風と弱い熱帯低気圧との区別は,あくまでも中心付近の最大風速であって,気圧ではありません。
したがって,ごくまれですが,1000hPaより高い中心気圧の台風もあります。

長くなってしまってすみません。参考にしていただければ幸いです。
    • good
    • 3

台風27号は、12/4 12:00 に、先島諸島(台湾の東)で、中心付近の最大風速 23m/s が


観測されていますが、その次の15:00には、熱帯低気圧に変わり、観測は中止されています。
(12/4 12:00 994hPa)
http://www.nogyo.tosa.net-kochi.gr.jp/kisyo/

関東で強風が吹いたのは、本日(12/5)の6:00と13:00ごろですから、このときから約15時間
経っています。
この熱低がそのまま時速35km/hで東に走ったとしても、東京からは1000km以上離れているはず
ですが、12/5 6:00 大手町気象台は、確かに976hPaの最低気圧を観測しています。
http://www.data.kishou.go.jp/maiji/data/47662.html

気象庁によると、一旦衰えた熱低でも、回復すれば(中心付近の最大風速が17.2m/s以上になれば)復活宣言をするそうですから、それはなかったのではないかと思います。
(詳細は記録がないのでわかりません)

台風が近づいたとき、かなり離れたところで異常気象が観測されることはよくあります。

今年の台風21号では、三重県の尾鷲市で1時間雨量130.5mmの豪雨を記録(9/29 8:00)
しましたが、このとき台風は、九州の串野木市に上陸したころで、三重県とは500km以上
離れていましたが、これも「台風の影響だ」、と言われています。

わたしは個人的には、これだけ離れているのに、これを「台風が原因」というのはおかしい
・・・それ以外の、例えば当時の気圧配置等を主因とする方が妥当ではないか・・・
と思うのですが、気象庁はそういうふうに解釈するようです。(^_^;)

下記URLから、左側の「台風情報」をクリック、出てきた画面の右下の「過去台風」をクリック
すると、一覧表が出てきますので、その中の27号をクリックして、時間を入れると、台風の
位置が追跡できます。

参考URL:http://www.nogyo.tosa.net-kochi.gr.jp/kisyo/
    • good
    • 0

僕の認識では、1000hpa(ヘクトパスカル)以下が台風だと思っていたのですが、違ってたみたいです。


気象庁のサイトを見たら次のように載っていました。
>熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼び
>このうち北西太平洋で発達して中心付近の最大風速がおよそ17m/s(風力8)以上になったものを「台風」と呼びます。
これ以上はわかりません。
専門家等の詳しい方の意見を待ちましょう。

参考URL:http://www.kishou.go.jp/know/typhoon/1-1.html
    • good
    • 0

台風というのは「風速17m/s以上の『熱帯性低気圧』」であって、


今の40m/sを記録した時点での低気圧は「温帯性低気圧」でした。

ですので「台風の条件に合わないから」です。
    • good
    • 1

 この規定に属さないからでしょう。



参考URL:http://www.tenki.jp/typ/typ1.html
    • good
    • 0

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!