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「祇園精舎の鐘の声~」から始まる平家物語ですが、つい先日アニメ平家物語にて「奢れる『ひと』も久しがらず」と語られていましたが、原作では「奢れる『もの』も久しがらず」だったような気がして調べましたところ、今でも弾き語りをなさっている方のほとんどが「もの」ではなく「ひと」と語っていました。一方書物では『もの』と表記されるものが多いようでした。この点に違いが出るのはなぜなのでしょうか?物語としての書物用と語り用の原作はまた少し変わってくるのですか?些細なことですが1度気になり出すと解決したい性分でして。文学知識のお詳しい方がいらっしゃれば教えていただきたく思います。

A 回答 (6件)

No.3です。


近代以前の文学は、人の手で書き写される「写本」の形で受け継がれていく、特に室町時代以前は作者直筆の原本が残っている作品というのはほぼありません。さらに平家物語は作者不詳で、平曲という語り物として受け継がれてきたものなので、写本の系統によって本文がかなり違います(章段レベルでごそっとなかったり)。
なので、近代的な「原作」という概念で本文の違いを云々することはできません。

ご質問への答えとしては、アニメの「おごれる人」というのは、古典文学の本文テキストとしては教科書などで一番メジャーな本文(高野本)に準拠したもの、ということになるでしょう。

学校の教科書で採用されている本文は高野本が底本で、本文は「おごれる人」であるにもかかわらず、多くの人が「おごれる者」で覚えているのはなぜか、と考えました。
ある時期以前の教科書の本文が高野本以外の「者は」本文の本文を採用していた、という可能性もありますが、確実に高野本の「おごれる人」の本文で育った世代でも「おごれる者」で覚えている人が多いようです。

一つは、現代の伝統芸能としてテレビや録音資料で視聴する「平曲」のテキストが「おごれる者」であった可能性。平曲もいろんな流派があって、流派ごとに本文が少しずつ違ったりもするでしょうが…。
No.4さんが引用してくれている映像も、平曲の演奏です。
↓こちらに掲載されている尾崎家本『平家正節』(平曲の一種の譜本)の本文も「おごれる者 久しからず」ですね。
https://heike-katari.com/3-1
学校でも、『平家物語』を学ぶときに録音や映像で「平曲」を聞くことがあると思います。このときの印象が強く、「おごれる者」のほうで記憶しているのではないかと。あるいは、平曲を文字に書き起こしたテキストを見て、そちらのほうで覚えているか。

もう一つは、「おごれる人は久しからず、……。猛き者も遂には滅びぬ、……。」と対句になっている「おごれる人」と「たけき者」との混同というか、上記の「平曲」の「おごれる者」の印象が強く、教科書のほうも「おごれる者」だったと覚えている、という可能性。
いかがでしょう。
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この回答へのお礼

大変詳細にわかり易くご回答くださったこの方をベストアンサーとさせていただきます!やっと謎が解けて気持ちがスッキリしました!一般的には「奢れる人」がメジャーだとは勉強になりました。皆様ありがとうございました!

お礼日時:2022/08/13 23:13

No4です。



No3のおっしゃるとおりなのかもしれません。
私は「奢れるもの、久しからず」しか記憶がありませんでした。

たしかに再度確認したところ「高野本」には「人」になっていますね。
お詫びして訂正します。
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No.1、t_fumiakiさんのおっしゃるとおりです。



平家物語はもともとは口伝でしたので様々な異本が存在します。しかし「奢れる『人』久しからず」などという本は私の知っている限り存在しません。

おそらくアニメ化をした際に「もの」ではわかりにくいので「ひと」にしたのでしょう。私は改悪だと思っています。

なおyoutubeで見る限り弾き語りでも「奢れるもの久しからず」としているものしか見つかりませんでした。下記の演奏は国立公文書館の主催イベントでの演奏です、

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『平家物語』には様々な系統の写本があります。

大きく二つに分けて「語り本系」と「読み本系」に分けられます。
現在、学校の教科書などに採用されているメジャーな系統は「高野本」いう、「覚一本」(語り本系)系統の本文です。日本古典文学大系(岩波)や日本古典文学全集(小学館)の底本も高野本です。
この高野本では「おごれる人は久しからず」となっています。なので、一般に知られている本文は「人は」の方です。

一方の「読み本系」の写本である百二十句本では「奢れる者も久しからず」とあります。百二十句本は国会図書館所蔵本などが知られており、新潮日本古典集成の底本です。

有名なフレーズなので、「おごれる人は久しからず」「奢れる者も久しからず」の他、「奢る平家は久しからず」というフレーズも一般に使われています。
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源氏物語は作者不詳で原本もないので。


琵琶法師は盲目ですから口伝なわけで、音で後世に伝わっているのですから、写本の当て字のよみより正確です。
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アニメだから、「者」が人間を表す事を知らない世代が多いからでは?



愚か者、者共、も、愚かびと、者びと、って言うのかなぁ?
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