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熱力学第二法則およびエントロピー増大の法則において、
「○○のような変化は起こりえない」
「可逆変化だとエントロピーは変化せず、不可逆変化だとエントロピーは増大する」
のように、エントロピーという概念に基づいて不可逆的な変化の過程というものが特徴づけられています。
1つわからないのは、この不可逆変化という概念と、自発的な変化という概念との関連性です。確かに熱力学第二法則では低温物体から高温物体へ自発的に熱が移動する変化などは起こりえないということは原理として定められていますが、逆の変化が(外部からの介入なしに)自発的に起こりうる、ということに関してはどこにも述べられていません。もちろん、直感的・経験的にはそのような変化が自然に起こるのは明らかですが、科学理論の体系としては、 ある反応が起こらない、ということだけではなく、その逆の反応が自発的に起こる、ということも原理または定理の形で明言する必要があると思います。
上記の熱伝導や断熱自由膨張のような、エントロピーが増大する変化が「自発的に」起こる、ということは、熱化学においてどの原理に含意されるあるいはどの原理から導出される結論なのでしょうか。

A 回答 (2件)

投稿からだいぶ時期がたっていますが、熱の伝導と第二法則の絡みについて回答させていただきます。



高温物質から低温物質へ熱が自発的に伝わるという現象について。これはいってみれば熱という概念の出自ゆえの法則でしょう。
何の障壁もなく二つの系を接触させておくと、二つの系は十分長い時間の後それ以上変化しない状態になることが経験的に知られており、その状態を(二つの系の間の相互)平衡状態と表現します。そしてこのとき相互平衡がなりたつ各々の系の間で等しい値を取る物理量として「温度」という概念が導入されました。そしてこの「温度」という尺度を作った時点で、感覚的に「熱い」ものに高い「温度」を対応させるようにめもりが振られました。温度が高い方から低い方へ何かが伝わっていくイメージを持ったとき、それを「熱heat」と呼んだと考えるのが妥当ではないかと思います。

以上が熱が高温物体から低温物体に自発的に伝わるという現象の整理です。「熱がこう伝わる」というより「こう伝わるものとして熱を考案した」という感じ?第二法則周辺の話を少しすると、確かにClausiusの法則、Kelvin(Thomson)の法則を考察するにあたって「熱が自発的に温度の低い方へ伝わるサイクルは禁止されない」「仕事を完全に熱に変えるサイクルは禁止されない」などの経験則が暗躍しています。第二法則で禁止されていること以外は原理的には不可能でないという理解の仕方でいいのではないでしょうか。

あと老婆心ながら、エントロピー増大則は正確には「"断熱変化において"エントロピーは減少しない。ただし"断熱"可逆変化においてのみエントロピー変化は0である」です。たとえば熱をえんえん奪えば(それ自体は不可逆変化ですが)系のエントロピーはさがりますよ。
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>可逆変化だとエントロピーは変化せず



そんなことはありません.熱力学的エントロピー変化の定義式を考えてみるように.

>この不可逆変化という概念と、自発的な変化という概念との関連性です。

可逆変化は逆向きにも変化がおこりうるという意味ではありませんし,不可逆も逆方向に変化がおこらないということではありません.平衡状態を保ったまま変化させることができれば可逆変化,平衡状態からのずれがおこっていれば不可逆変化です.当然,平衡熱力学では不可逆過程を一般的に取り扱うことはできません.
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