No.1
- 回答日時:
どういう回答を期待されているのか、今ひとつ把握できないのですが。
。。>彼は科学者と呼ばれるべきなのでしょうか?
言語学が科学である限りにおいて、すべての言語学者は科学者です。
チョムスキーの場合は、言語学を自然科学にしようとがんばってきたと言えますが、現在のところまだそのレベルには達していませんので(彼自身、言語学にガリレオ革命はまだ起きていない、と言っています)、自然科学者とは言えないでしょう。
>それとも哲学者なのでしょうか?
チョムスキーは言語に関する哲学的な論考もたくさん発表していますから、哲学者の側面も持っていると言えます。ただし、基本的には言語学者の立場から、言語を哲学的に考察するというスタンスですから、本業は言語学、副業で哲学と言えるかもしれません。
ただ、本音を言えば、そんなレッテルには何の意味もありません。政治学者であり、言語学者であり、哲学者であり、認知科学者でもあります。またその影響は脳科学や進化論にも及びます。
たとえ言語学に話を絞ったとしても、そんな単純でスケールの小さい人物ではないということです。
生成文法自体は50年後、100年後には言語学史の教科書にしか出てこない理論になるかもしれませんが、プラトンの問題をはじめとするチョムスキーの提起した諸問題は言語学のみならず、哲学、生物学、認知科学にとって変わらぬテーマであることでしょう。
この回答へのお礼
お礼日時:2005/06/02 12:39
ありがとうございます。本業は言語学、副業で哲学というのはとてもわかりやすいです。まだまだチョムスキーの研究を始めたばかりなので更に彼の全体像を捉えていきます。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
これは読まれる方によっては、回答どころか混乱以外の何物でもないかも知れません。
とは思いつつも重要な点ではないかと思うので、言葉の足らないのを悔やみつつも書いてみます。引き続き考えつづけていますので、ご感想などいただけると幸いです。言語学と哲学はどこにその境があるのでしょう。本来哲学とは、人とは何か、人を含めて世界はいかに動いているのか、そしてその中で人はいかに生くべきかを体系立てて考えようとする試みなのではないでしょうか。
古くはソクラテス(いえ、もしかするとそれ以前)から延々と営まれているこの人類の営みは、近代になって物事を分類し、それぞれの分野に分けて別個に考えを進めていくいわゆる近代科学の発達をみることになります。
この近代科学は、人間の周りの自然を見るときに大きな威力を発揮したため、科学といえば主に自然科学をさすようになったのも無理もないことです。
ガリレオが地球が回ると言って、キリスト教会権力に圧力をかけられ、「それでも地球は回る」とつぶやいたというのは有名は逸話ですが、脳を含めて人間のからだのあらゆる「部分品」を人工的なもので置き換えてほぼ永遠に生きることができるなどというアメリカなどの大学で進められている研究を耳にすると違和感を覚える方は現在でも少なくないことでしょう。
こうした分析に頼る科学の発達が、総合的に人間のあり方を考える本来の学びのありかた-哲学を不在にして、経済のための戦争やテロ、自然破壊といった取り返しのつかない事態を招きつつあります。
チョムスキーは、こういった今の社会に生き、できることに取組んでいるのではないでしょうか? それを、言語学か哲学かと考えてもあまり実りのないことのような気がいたします。
いかがですか?
No.3
- 回答日時:
Milancom さんへ。
元質問者の Muchox2 の趣旨からは大きくはずれるかもしれませんが、若干のコメントをお許しください。
>本来哲学とは、人とは何か、人を含めて世界はいかに動いているのか、そしてその中で人はいかに生くべきかを体系立てて考えようとする試みなのではないでしょうか。
確かに、元来はそうでした。その意味ではあらゆる学問は哲学の一部です。すなわち、言語学であれ何であれ、学問はすべて哲学の下位分類です。したがって、
>言語学と哲学はどこにその境があるのでしょう。
という問いにはあまり意味がありません。哲学は言語学の上位概念です。「バラと花はどこにその境があるのか」というようなものですから。
>「それでも地球は回る」とつぶやいたというのは有名は逸話です
ああ、これは有名なガセビアです。
これを言うと嘘つきになりますのでご注意ください。
>こうした分析に頼る科学の発達が、総合的に人間のあり方を考える本来の学びのありかた-哲学を不在にして、経済のための戦争やテロ、自然破壊といった取り返しのつかない事態を招きつつあります。
むしろ、ネオコンや宗教といった排他的・原理主義的(イスラム教のことではありませんよ)哲学こそが元凶ではないでしょうか? 資本主義もエコロジーも哲学ですしね。
チョムスキーはアメリカの官僚主義、帝国主義に厳しい批判を加える政治学者でもあります。しかしそのことと言語研究には直接は関係ないでしょう。本人も全く次元の異なる活動と考えているようです。
最後に一言。
言語学者は具体的な文に基づいて言語の本質に迫ろうとします。たとえば、なぜ
"John thinks Mary loves himself."
は言えないのに、
「太郎は花子が自分のことを好いていると思っている」
は言えるのか、というようなことを考えます。
それに対していわゆる狭義の哲学者は全く別の視点から言語を考察します。今のところ、言語学に詳しいごく少数の哲学者は別として、両者の対話は無意味です。
No.4
- 回答日時:
これは、Nsuikaさんのご教示を頂いたあとでの補足です。
Muchox2さんのご質問からさらに遠ざかったらごめんなさい。哲学と言語学の関係が、花とバラの関係だというのはよくわかります。そして、哲学が人間と自然(いえ、本来人間も自然の一部なのですが)の調和をさぐるものであるにもかかわらず、資本主義や原理主義といった哲学がそれを否定していることも。でもそれがなぜなのかわからないのが、素人の悲しさです。
哲学者と言語学者の間の対話が無意味というのも初めて知りました。素人考えで失礼があればお許しください。しかし、もしかすると、物事がよくわかっていない哲学者と物事がよくわかっていない言語学者の間のことではないでしょうか?
もちろん、この世界にはわからないことの方が圧倒的に多いと思います。どんな分野のすばらしい学者が集まったところでわからないことはやはりわからないことでしょう。でも、真摯な態度で真理を求める人同士であれば、対話はいつも意味があるように思えてならないのです。
素人の浅はかさでしょうか?
No.5
- 回答日時:
Muchox2 さんには失礼ですが、この場をお借りして少しだけ、Milancom さんに回答と言うよりは返信をお許しいただければ幸いです。
>哲学者と言語学者の間の対話が無意味というのも初めて知りました。物事がよくわかっていない哲学者と物事がよくわかっていない言語学者の間のことではないでしょうか?
対話をするには、そしてそれが実りのある対話であるためには、共通の土台が必要です。せめて共通の目的が。世界平和であれ、宇宙の成り立ちであれ、ホームランの打ち方であれ、朝顔の咲かせ方であれ。
人間は主体的に行動すべきであるという主張と、人間は生まれながらにして文法を持っているという主張を交互にしたところで、それは対話とは言えません。そもそもの目的が違います。
私が無意味だという前につけた留保(「言語学に詳しいごく少数の哲学者は別として」)というのは、ごく一部の哲学者は言語について、言語学者と共通の土俵にたとうとしてくれるからです。
チョムスキーも言語学の立場から哲学的なことを言っているのは言語に関心のある哲学者向けという要素もあるでしょう。
それでもなかなか言葉が通じないのが現状ですが、それは物事が分かっていないとか、頭が固いという理由ではなく、もともとの関心が違うと言うだけのことです。
No.6
- 回答日時:
決して揚げ足取りではありませんが「何者?」という問いそのものが罠になる可能性が有ります。
物事を厳密にカテゴライズして行くのが西欧的な知のあり方ですが人間の活動をこの方法で分析しても必ず「余り」が出てしまいます。
そんな余りも含めて人間の活動をダイナミックに捉える(分析や解析でなく)必要があると多くの西欧知識人が考える様になって来ています。
近代言語学の創始者F・ソシュールから、R・ヤコブソンやレビ・ストロース、もしくはジャック・ラカンにいたる系譜をたどったり、サイードやデリダとの比較を行えばチョムスキーの位置を有る程度計測できるとは思いますが、「何者か?」という問いに対する答えになるとは思えません。
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