父(65歳)が肺がんから手術,抗がん剤,放射線と一式試みた末,本人と母の話し合いで在宅ターミナルを選択しました。脳と腰椎(脊髄?)に転移があり,手足に徐々に麻痺が出始めています。在宅でみとってくれる開業医の先生も近くに見つかり,介護認定も受けて今結果待ちです。あとは家族として何ができるか,という問題なのですが,九州と東京という遠距離介護で帰省も思うに任せません。父と母が最もよいかたちで別れを迎えるために,手伝えることを探しています。参考になりそうなHPや経験など教えていただければありがたいです。
No.1
- 回答日時:
時代の流れでもあり、『尊厳死』という考え方の一環でもあり、自宅で最後を迎えようとされる方が増えています。
社会の整備はまだ十分とはいえませんが、介護保険を使うことができ、往診を引き受けていただける医師がいるのでしたら、必要な条件はそろったものと考えていいと思います。しかしながら、お母さんが病気のお父さんを一人で面倒を見るということは『老老介護』の側面もあり、過大な肉体的な負担とならないように注意しなければなりません。病状が進めば、行政に相談するまもなく、いっそうの介護が必要となる事を考えれば、ある程度の投資は必要と考えるべきだと思います。
遠隔地におられる場合、実際に力になれることはそれほどありませんが、できることを2・3あげます。
■経済的な援助
介護保険は病気のことを考えると決して十分とはいえません。介護に合わせて、日常のことができなくなることを考えて、お母様の家事負担を減らすような方向で支援されるといいと思います。
■親戚への根回し
病状がつのれば、お母様の負担も増え、見るからにお父様も苦しくなります。事情がわからぬ親戚は、自宅での療養に理解を示してくれなくなる可能性があります。こうした外野の声は、ただでさえストレスの多い介護生活を苦しくします。これを抑えるように理解して頂いてください。
■お母様の相談相手
介護に付きっ切りになれば、外への露出も少なくなります。当然、お喋りしたりなどのストレスの発散もなくなります。聞き役に徹してお母様のよき相談相手になってあげてください。
■重要な説明事項の代理聴取
電話でも主治医からの容態の説明を聞くことは可能です。お母様では難しいと思われる場合は、あらかじめ聞いておいた主治医の連絡先に連絡を取ってください。もちろん、主治医は他に診療を行っているわけですから、医師の都合も優先してあげてください。とりあえずはあなたの連絡先を伝えておき、必要があれば連絡してもらう形でよいと思います。
最後に参考図書をあげます。必要な情報がわかりやすくまとめられていると思います。
「退院後の癌患者支援ガイド」 日本ホスピス在宅ケア研究会 編集 プリメド社
以上、いち医師として回答。
丁寧なアドバイスありがとうございます。
幸い経済的な問題と親戚との関係はクリアできているようです。
電話するたび母の緊張が伝わってきてつらいものはありますが,
それなりに今の状況に慣れてきてもいるようです。
ご紹介いただいた本,さっそく取り寄せて読み,母のところに送りました。
本当にありがとうございました。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
在宅でのターミナルケアにも携わってます、訪問看護に従事する者です。
まず、おうちに帰って来られて良かったですね。
お父様もほっとされている所だと思います。
ご家族の立場からは、今はただ辛く、悲しさが襲って来られる時期かと思いますが
別れという意味だけではなく、人生を締めくくる旅立ちの集大成の時期をご家族で一緒に過ごせることは、ある意味、実に幸せなことではないかと思うのです。
望んでも、それが叶わない多くの人もおられます。
どうか離れていても、お父様と、お母様を支えてあげてくださいね。
おうちでターミナルケアを支えるには、ケアの面からも幾つかポイントがあります。
○ケアをする人(この場合お母様ですね)の健康状態に気をつけてあげてください。
実際のことを申します。ターミナルケアは状態が変化すれば昼夜問わず、過酷な介護になります。病院では24時間を職員が交代で行っていたものを1人で行うことになり、また必要であれば医療処置をご家族の手で行うことになります。命と向き合ってる緊張の連続と過労で場合によっては体を壊す方もいらっしゃいます。また、主治医の方の「いついつまで・・・」という旅立ちの時期も、神さま、あるいは人の生命の力のみぞ知るものですから、これは本当にはっきりできないことです。
※おうちに帰られた場合、殆どの方は、主治医の方の見通しより長生きされます。いついつまででしょう・・・と言われて短い見通しならば精一杯看取ろうと退院された方が、数年の介護生活になってしまい疲れ果ててしまうことも珍しくありません。これは喜ばしいことでもあるのですが・・・・
できればちょっとした時に数時間でも代替してもらえる人がいた方が望ましいですが、サービスを利用しても休みをとることがままならない場合は、せっかく決めた在宅ですが、意固地にならず共倒れにならないためにも。一時入院の方法も考えておくと良いでしょう。そのためには療養されているお父様自身の協力も必要です。
○在宅ケアと決めても、限界が来たらそれをいつでも変更していいことを伝えてください。
先に書きました介護者の方の健康状態と、それとご本人の病状によっては(がんの痛みのコントロールができない、急性症状が強いなど)在宅では介護しきれなくなる場合も、あります。
ご本人が苦痛が少なく穏やかに向かっていければいいですが、そうでなくなる場合も「あり得る」ことをお母様に心得ておいてもらってください。
大事なご家族の一生の事ですから、とかく一度決めたら絶対病院には戻れないという義務感から無理な介護を続ける方もしばしばいらっしゃいます。しかしそのストレスからせっかく決めた在宅でもご本人にも介護者の方にとっても良い介護の継続が不可能になる場合もあります。
「この介護がいつまで続くかわからない」という緊張感は、家族とともに過ごし旅立ちを迎えたいという温かい気持ちやドラマ・本で伝える美しいだけの「ターミナルケア」像とは裏腹のものです。看取りのご経験がある場合は心配ありませんが、多くの方は人が旅立って行く所を間近で見たこともない中、オリエンテーションは受けたはずのご本人の病状の変化に戸惑い、不安を抱きます。今の時代、その重圧に耐えられない方もいて当然なのです。もしお母様からヘルプサインが出たら、それを汲み取ってあげるのはご家族の役割です。何気ない話にも耳を傾け、よい理解者でいてさしあげてください。
○ 訪問看護をどうぞご利用ください。
がんのターミナル期、末期という病名で主治医に指示書をいただければ、私共は必要に応じて、毎日訪問することができます。この場合は医療保険扱いですので、介護保険の予算より別に利用できます。24時間連絡体制を敷いているステーションもお近くにあるはずです。在宅の主治医、そして病院の主治医と連携して、毎日の医療処置、介護のご相談に応じます。必要があれば夜間、早朝の訪問もできるステーションをお選びください。
下記は 訪問看護振興財団のホームページです。トップから「相談」に行けます。
専門職だけでなく、ご家庭で介護されている方のご相談も受け付けておりますから、これ以外にも詳しいご質問にどうぞお役立てください。
現実的なことを書いてしまい、在宅に水を差すと思われないで下されば幸いです。
高齢者介護はかなり一般にもイメージが浸透しましたが、ターミナルケアについてはまだまだドラマのようなイメージをもたれている方が多く、それが実際に看取りをされる場合戸惑いを生じています。入院していた病院か、在宅の主治医、また訪問看護ステーションには在宅の看取りのためのパンフレットがありますから、それを頂いて、心配なことは何でも相談してみてください。
参考URL:http://www.jvnf.or.jp/top/index.htm
ご指摘のとおり,今私が悩んでおり,また母も悩んでいるだろうことが
「見通しのつかなさ」とのつきあい方です。
ふりだしが肺の小細胞がんという進行の速い病気だったので
この11月に急変があった時点で
本人も周囲も覚悟を決めた感があり,
私も短期決戦モードで仕事を休んで数日帰省したりしたのですが,
一応の安定(とはいえ点滴を抜いたりすることもあって目は離せない)を
みた今,次の帰省をいつにしたものか悩んでいます。
母は訪問看護は頼りにしているものの,人が家に始終出入りする状態が
落ち着かなくていやだといい,それ以上の家事援助などは,困っているけれど
頼みたくないようです。理屈ではわかるけど…という状態です。
それでも徐々に今の状態に慣れつつはあるようなので,せいぜい年末は
早めに帰省しておさんどんしようと思っています。
お礼と言うより愚痴になってしまいましたが,
親身なアドバイス本当にありがとうございました。
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