プロが教えるわが家の防犯対策術!

属地主義について質問です。

治外法権が適用されない他国の領域でたとえば強盗などを犯し、そのまま犯人が本国へ帰国した場合、属地主義の原則からはどの国の法が適用されるのでしょうか。属地主義というのが、犯罪を犯した時点で自分のいた場所という意味ならば他国の法が適用されるでしょうし、現に今いる場所という意味ならば本国の法が適用されることになるかと思いますが、実際はどっちなんでしょうか。この辺、国際法が絡んでくる話だと推測しますが、まったく無知なのでよろしくご教示ください。

2つめに、根本的な疑問ですが、属地/属人主義という概念は結局、国際法の概念なんでしょうか? 私の法学のテキストではそういう前提が示されずに属地/属人主義という言葉だけが文脈なし取り出されて用語説明がなされているのです。もしこの概念を一国内の法律概念と考えると、直ちに齟齬が生じます。例えば他国の領域で殺人をして、その国は属地主義だけれども、殺人者の本国は属人主義だった場合がそれです。この場合、両国から裁かれなきゃならなくなりますよね。つまり、一国の主義主張として「我が国は属地主義だ」とか「属人主義だ」と言っていても仕方なく、国際法のなかではじめて意味を持つものだと思ったので。

最後の質問ですが、ある法学のテキストで「対人主権」という言葉が出てきたのですが、これは内容を読む限り「属人主義」と同じような意味に思えて仕方ないのですが、そうでしょうか?

よろしくご教示ください。

A 回答 (2件)

>A国の領域で殺人をして、A国は属地主義で、犯人の本国Bも属地主義であり、なおかつ犯人がすでに本国Bに帰国している場合です。

この場合、犯人は属地主義に基づく本国Bでは裁かれず、なおかつA国は自国領域にいない犯人を裁けません。

その通りで、B国は裁くことができません。ただし、B国からA国に対し、犯罪人引渡条約によって、または、国外退去させるなどによって、犯人をA国に引き渡した上、A国が裁く可能性はあります。

例えば、フジモリ元ペルー大統領の場合、日本とペルーの間に犯罪人引渡し条約がありませんでしたから、彼が日本に居る限り、ペルー国民は泣き寝入りするしかなかったわけです。

ただ、犯罪人引渡条約は、刑事司法手続法の問題です。このような条約が存在したり、国外退去処分ができるからといって、実体法上、どの国が刑事処罰権を持つかという問題、つまり刑法上の属地主義・属人主義の概念が、影響を受けるわけではありません。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

なるほど、よくわかりました。丁寧な解説をありがとうございました。

お礼日時:2006/01/11 01:52

私の理解では「国際法」というのは、国家間の関係を規律する法、具体的には、国境の画定とか、紛争解決とか、戦争の規制とかをするものです。



どのような刑事犯を処罰するというのは、あくまでも国内法の問題であって、いわゆる「国際法」により直接的に規律されるものではないと思います。

おっしゃるように、属地主義/属人主義が混在すれば、同時に複数の国で処罰されるということがありえます。

しかし、それは、当然のことであり、日本においても、刑法5条のように、同一の行為について外国と日本と二重処罰することを念頭に置いた規定があります。

そもそも、誰を処罰するかは、その国内部の問題ですし、他国で処罰されたものをさらに処罰するかというのも、その国の内政問題ではないでしょうか?

例えば、レイプというは、日本ではせいぜい懲役刑の犯罪です。他方、一部のイスラム圏のA国では死刑に値する犯罪であり、A国ではレイプについて属人主義をとっていたとしましょう。

A国人が、日本でレイプ犯罪を犯した場合、日本政府がこれを処罰し、刑期が終われば強制送還することになります。

その後、この犯罪者を、A国が日本での懲役は生ぬるいとして、A国の価値判断に基づき、死刑にしたとしても、国によって行為に対する処罰の程度が異なるのですから、これを特に非難することができるとは思いません。(レイプは死刑に値しない犯罪であるというならともかくとして、日本で処罰されたからという理由で死刑にしてはいけないという理屈は成り立たないでしょう。)

質問についての直接的な解答にはなっていないと思いますが、ご参考までに。

この回答への補足

ご回答ありがとうございます。

>どのような刑事犯を処罰するというのは、あくまでも国内法の問題であって、いわゆる「国際法」により直接的に規律されるものではないと思います。

いえ、私が申し上げているのは、「どのような刑事犯を処罰するか」までも国際法で規定されているのかどうかという話ではなく、属地/属人主義という概念が国際法に依存せざるを得ない性質のものではないか、ということです。現に、国際法には「領土主権の優先的適用」という考え方があり、領土主権に優越性を与えています(特別の場合に限り対人主権が発動されます)。この領土/対人主権という概念を属地/属人主義とリンクして考えるなら、これはまさに国際法的な概念と考えられるのではないでしょうか。

>日本で処罰されたからという理由で死刑にしてはいけないという理屈は成り立たないでしょう。

これはおっしゃる通りだと思います。ではこんな場合はどう考えたらいいでしょうか。A国の領域で殺人をして、A国は属地主義で、犯人の本国Bも属地主義であり、なおかつ犯人がすでに本国Bに帰国している場合です。この場合、犯人は属地主義に基づく本国Bでは裁かれず、なおかつA国は自国領域にいない犯人を裁けません。A国の被害者は泣き寝入りするしかないのでしょうか。やはり国際法が絡んでこないとは思えませんが。

補足日時:2006/01/10 04:14
    • good
    • 0

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!