抵当権と根抵当権の随伴性について下記のように書かれている文章を読みましたが、いまいちわかりません。
「根抵当権は、債権が根抵当権設定の後に発生するため、債権が第三者に移転しても根抵当件は移転しません。又、根抵当権が移転されると債権は移転されます。」
根抵当権は、元本が確定するまでは不特定多数の債権であるので、債権が根抵当権設定後に発生するということだと思うのですが、その後の文章からいまいちわかりませんでした。
具体的に例(金額・Aとか)をあげてもらって教えていただけないでしょうか?おそらく法律の単語があやふやでひっかかってるかもしれません。
この場をかりて色々教えていただいているので、ありがたく思っております。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
・根抵当を設定する場合
A社:(B銀行に出向いて)「事業資金を貸して下さい」
B銀:「そちらの自社ビルは土地も自社所有ですから、その土地に根抵当権を付けて頂いたら、それを担保にお貸ししますよ」
A社:(自社の土地に根抵当権を登記してから)「根抵当権を登記しました。これが登記簿の写しです。貸して下さい」
B銀:「はい。根抵当権が筆頭抵当になってるのを確認しました。じゃ、その根抵当権を担保に、こんだけお貸しします」
と言う訳で、抵当が設定された時点では融資が行われておらず、抵当設定の後に融資が行われるので「根抵当権は、債権が根抵当権設定の後に発生するため」と言う事になります。
・債権が移転する場合
B銀:「すいません。破綻しました。以後の業務と債権はC銀行さんに移ります」
A社:「じゃ、うちからの返済は?」
B銀:「C銀行さんに返済して下さい。それと、抵当が根抵当になってますから、債権がC銀さんに移っただけでは根抵当権はC銀さんに移りません。これが必要書類ですから、今すぐ、根抵当権をC銀さんに移す登記手続きをしましょう」
・債権が消滅した場合
A社:(B銀にお金を返しに行って)「借り入れ返済、今月で完済です。借用書の返却を」
B銀:「ありがとうございました。で、根抵当、どうします?設定したままであれば、今後も、この根抵当を担保にうちからご融資できますけど」
A社:「じゃあ、そうしましょうか。来年、設備投資の計画があるんで、また来年に借りに来ます」
B銀:「では来年、お待ちしてます」
・新たな債権が増える場合
A社:「すいません。追加融資をお願いしたいんですが」
B銀:「根抵当の付いた不動産を再査定させて頂いた所、評価が上がりました。根抵当の限度額を変更しましょう。そうすれば、この金額のご融資が可能です」
A社:「では、早速」
B銀:「根抵当の限度額がこれだけになったのを確認しました。ご融資の審査がこの額で下りたので、同じ根抵当を担保に、この額での追加ご融資って事で」
A社:「有難う御座います。これで設備投資出来ます」
これに反し、普通抵当だと、債権が発生するたびに抵当を設定する事になります。
A社:「急いでお金が要ります。追加で融資を」
B銀:「追加融資ですか?継続中のご融資の担保は1番抵当ですが残念ながら普通抵当ですよね。追加融資するとなると、新たな普通抵当の設定になりますが、もう他銀行さんで4番抵当まで入ってますよね。とすると追加融資は5番抵当になっちゃいます。この土地で5番抵当だと、多分、ご融資の審査に通らないと思います」
A社:「やるだけやってみて下さい。今すぐ要るんです」
B銀:「そう仰いましても、もううちでは…」
と言う事になります。
すごくわかりやすく説明していただき、ありがとうございます。
例を出してもらうと、具体的に考えれました。
自分でも例を考えていたのですが、経験したことがなくどうも・・・
No.3
- 回答日時:
根抵当権利用の実態については、NO1の方が説明されていますし、性質についてはNO2の方が説明されていますので、視点を買えて説明してみます。
図にかくことができれば、説明しやすいのですが・・根抵当権は、債権者基準(B銀行)債務者基準(A会社)債権の範囲基準(銀行取引)に適合する不特定の債権を極度額(2000万)にみつるまで担保します。
仮に、B銀行がA会社に1000万円(甲債権)と500万円(乙債権)貸していたとします。両債権は上記の根抵当権の被担保債権適合基準に合致しますから根抵当権によって担保されています。(NO2の方が書かれているとうり、根抵当権設定契約前に発生した債権でも担保されます)
B銀行がC銀行に甲債権を債権譲渡したとします。甲債権の債権者はC銀行になります。すると根抵当権の債権者基準(B銀行)に適合しなくなりますから根抵当権の被担保債権ではなくなります。甲債権だけ飛び出してしまったとイメージしてください。
もしも甲債権に根抵当権が随伴したらB銀行は乙債権が無担保債権になって困るし、A会社もB銀行から新規の借り入れをすることができなくなって困ります。ですから、根抵当権は取引が継続できるように随伴性が否定されているのです。
では、B銀行がもうA会社と取引を継続するつもりがなく、甲債権も乙債権もC銀行に債権譲渡したいとしましょう。このような場合は根抵当権をC銀行に全部譲渡し、債権も譲渡します。そうすると一見C銀行に移転された根抵当権で甲債権も乙債権も担保されそうです。債権者基準はC銀行、債務者基準はA会社、債権の範囲基準は銀行取引なのですから。でも、これが担保されないんですね。なぜかというと根抵当権で担保される債権は、根抵当権者と債務者との直接取引によるものでなければならないからです。(398条の2(2)項が原則(3)項は例外)甲乙債権はB銀行がC銀行に債権譲渡したものでC銀行が直接A会社に貸し付けたものではないから直接取引によるものではないんですね。
ではどうするか、特定債権であっても被特定債権(この場合はC銀行が将来A会社に貸し付ける貸付金)とともになら債権の範囲に含ませることができます。つまり、債権の範囲を銀行取引プラス譲り受け債権とする変更契約をするのです。
ですから、引用の文章は「又」から後も間違っています。
回答ありがとうございます。
根抵当権に随伴性がないのが、よくわかりました。
しかしみなさん本当に一般の方々なんですか?
よく知ってらっしゃるんで、感心してます。
また質問した際はよろしくお願い致します。
No.2
- 回答日時:
>抵当権と根抵当権の随伴性について下記のように書かれている文章を読みましたが、いまいちわかりません。
とありますが、わからないのも当然だと思います。その文章、誤っているか、あるいは正確ではないからです。転載されている文章の出自は確かなのでしょうか?
>根抵当権は、債権が根抵当権設定の後に発生するため、債権が第三者に移転しても根抵当件は移転しません。
確かに、債権が第三者に移転しても根抵当権は移転しません。ですが、その理由は「債権が根抵当権設定の後に発生するため」ではありません。根抵当権設定契約の前に既に発生している債権であっても、根抵当権の被担保債権の範囲に含まれていれば、担保されます。この既発生債権を譲渡したとしても、やはり根抵当権は移転しません。この点は、債権が後から発生した場合と同様です。ですから、債権発生と根抵当権の設定の前後は、関係ありません。
債権が第三者に移転しても根抵当権が移転しない理由は、それこそ、確定前の根抵当権には付従性・随伴性がないからということになります。わかりやすく言うと、債権と根抵当権が別物だからです。債権が移転しても根抵当権は移転しないし、根抵当権が移転しても債権まで移転するわけではありません。それは、根抵当権の性質によります。
そもそも根抵当権は、元本確定の時に、被担保債権の範囲に含まれる債権を担保するものです。ですから、根抵当権が本当の意味で担保する債権は、元本確定の時に決まります。確定する前は、債権がどうなろうと根抵当権には関係ないってことです。両者が別物なのですから、
>根抵当権が移転されると債権は移転されます
というのも誤っている、ということです。根抵当権を移転すれば根抵当権だけが移転します。さらに債権も移転したいのであれば、債権譲渡なり何なりが必要になります。
質問に答えて具体例を挙げることはできませんでしたが、前提となる知識に疑問があったので…。
どうしても引っかかっていた文章だったのですが、説明を読んですごく納得できました。
債権と根抵当権は別物なんですね。
ありがとうございます。
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