No.8ベストアンサー
- 回答日時:
NO.3です。
補足の質問があったようなので・・・トルコは1952年に、共産主義のソ連の脅威に対抗する為、NATO(北大西洋条約機構)に加盟しています。
NATO自体もソ連の脅威に対抗する為に作られた軍事同盟であり、アメリカはその中心的な存在です。トルコとアメリカの軍事的な関係は、その頃からです。トルコ軍はアメリカの兵器等も購入し装備しています。
ただ、トルコとアメリカの関係は、必ずしも良い状態が続いてきた訳ではありません。
1991年の湾岸戦争や2001年のアフガン戦争では、トルコはアメリカに協力しましたが、2003年のイラク戦争ではアメリカへの協力を拒否しています。
イラク戦争開始前にアメリカから協力の要請を受けた時、トルコ政府は協力する代償として数々の条件を付けました。クルド人によるイラク北部の油田の支配は認めない事とか、クルド人によるモスル、キルクークの二都市の支配は認めない事とか、アメリカはクルド人に最新鋭の高性能兵器は渡さない事等、他にもまだありますが、主にクルド人の力が強くならないよう、勢力が大きくならないように色々と条件を出したのです。
アメリカにとって条件が厳しすぎた為、交渉が長引き、まとまりませんでした。その結果、イラクを北から攻撃する為に、トルコに派遣されたアメリカ軍第4師団の受け入れをトルコ政府は拒否します。仕方なく第4師団は急遽、クウェートに派遣され、そこからイラクに入りますが、その時はもう4月12日で、バグダットは陥落した後でした。肝心な時に間に合わなかったのです。
こうした事についてアメリカ国内からトルコに対してかなりの反発がありました。中には、トルコの協力が無かったからアメリカ軍兵士の死傷者が増えたという批判もあります。
その後、アメリカとトルコの関係は、ある程度、修復され、トルコ領内を通って、イラクにいるアメリカ軍に補給が届けられるようになりました。
そして現在、アルメニア人問題で、またごたごたし始め、トルコ国内は反米の風が強い状態です。
アメリカがトルコ南部で使用しているインジルリク基地は、イラクにいるアメリカ軍への補給を主任務としています。イラクに空輸されている軍需物資のうち、70%がこの基地を経由して送られています。イラクに対しての脅威というより、現在はイラクにいるアメリカ軍の為の後方支援の基地という存在です。
ちなみに現在、イラクにいるアメリカ軍兵士は14万人以上です。ついでにいうとトルコにいるアメリカ軍兵士は約4000人です。
No.7
- 回答日時:
NO.3です。
補足の質問があったようなので・・・トルコにクルド人への攻撃を止めさせる為に、アルメニア人虐殺問題を持ち出したわけではありません。
アルメニア系アメリカ人有権者の要望と、その支持をこれからも得る為に、民主党が問題を持ち出したのであり、簡単に言えば民主党の選挙対策です。
アルメニア人虐殺事件は、第一次世界大戦時、オスマン帝国内において独立運動を起こしたアルメニア人を、オスマン帝国が虐殺したと言われる事件です。殺害された人数は100万人とも150万人とも言われ、正確な人数は未だはっきりしません。
このオスマン帝国の虐殺から多くのアルメニア人が故郷を離れ、外国に逃れました。そうした中にはアメリカに移住した者もおり、現在、アメリカには140万人のアルメ二ア系の人々がいると言われています。
このアルメニア人虐殺事件について、トルコ政府は事件はあくまで内戦であり、トルコ人もアルメニア人に大勢殺されており、虐殺事件ではないと否定し、アルメニア人に対し謝罪も行っていません。
その事に対し、各国にいるアルメニア系の人々は反発しています。アメリカにいるアルメニア系の人々も同様で、その為、民主党を支持するかわりに非難決議を出すよう要望していたのです。
民主党としては来年は選挙もあり、140万人のアルメニア系の人々の票と、彼らの提供する政治資金が是非とも必要です。
そうした事から民主党が大勢を占める下院外交委員会で可決されました。
ただ、共和党はこの決議案に反対票を投じています。従軍慰安婦問題で
は共和党からも決議案に賛成する者が出て、39対2という圧倒的な票差で可決されましたが、このアルメニア人虐殺事件については、トルコとの外交が悪化する事を憂慮した議員も多く、27対21という票数になりました。また、民主党からも反対票を投じた者もおり、同じく民主党のマーサ議員などは決議案が提出された頃から反対しています。下院軍事委員会で委員長を務める民主党のスケルトン議員も決議案に反対する表明をしており、民主党内部も完全な一枚岩という訳ではありません。
トルコ政府としては、PKKの攻撃に手を焼きつつも、アメリカの意向を尊重して軍部の求める越境作戦を押さえ、イラク駐留アメリカ軍の為に国内の基地を提供し補給物資を提供してきたにも関わらず、トルコが認めていないアルメニア人虐殺の非難決議を可決した事について強い反発をしています。また、アメリカは、PKK対策について口約束だけで何もしてくれないという不満も鬱積していました。
そうした反発の現れの一つがクルド自治区に対する越境作戦なのです。
10日の外交委員会での非難決議可決後、14日に民主党のペロシ下院議長が、今度は下院本会議でも採決する意向を示しました。
こうした動きにトルコ政府は完全に反発し、15日にトルコ国会に越境作戦を認める法案を提出したのです。そして17日にトルコ国会はそ法案を承認しました。これによりトルコ政府は今後1年間、いつでもクルド自治区に対し越境作戦を行う事ができます。
また、それだけでなく、トルコはアメリカ軍によるトルコ国内の基地使用の禁止、燃料・食料等の提供の打ち切りも検討しています。
こうしたトルコの反発に対し、アメリカのブッシュ政権は、これ以上、事態を悪化させないようトルコ政府を宥めるのに必死になっており、下院本会議でアルメニア人虐殺事件の非難決議が採択されないよう動いています。
つまり、民主党がアルメニア系の人々から票と政治資金を得る為に、アルメニア人虐殺問題を持ち出し、その結果、反発したトルコは、アメリカのPKK対策について不満もあった事からクルド自治区への越境攻撃と、アメリカ軍への援助の停止を言い出し、そのトルコを宥め止める為にブッシュ政権は、下院本会議での非難決議採択を阻止しようとやっきになっているのが現状です。
この回答への補足
ありがとうございます。とても解りました。私はこのような政治に関して、というより世界に関して大変興味があるのですが、なかなか新聞を読んだだけでも追いつくことが出来ません。
今回のアルメニアの問題にしても背景がわからなかったですしね・・・。回答者さんはどのように勉強されていますか?
すいません余談はこのくらいにして、補足をまたまたお願いします。
トルコにアメリカの米軍基地があると書かれていましたが、これはイラクに対する脅威としておいているのでしょうか?
なぜアメリカとトルコはこんなにも良い関係が続いているのでしょうか?いつからですか?
簡単にお願いします。
No.6
- 回答日時:
No.4です。
No.5の回答について。
決議案提出の経緯については、全くその通りです。
議会の政治性についてのポイントは、
<<アダム・シフ議員のアルメニア人虐殺非難決議案の提出は、韓国・中国系コミュニティーの意を受け、マイケル・ホンダ議員が日本に対する従軍慰安婦非難決議案を提出した(日系人コミュニティは、アジア系最有力のコミュニティで、アメリカのアジア系人種差別にたいして中国・韓国系と共同歩調を取る場合も多い。)人権問題のと同じ構図です。>>
マイケル・ホンダ議員は、過去に5回も従軍慰安婦非難決議案を提出していますが、そのたびに廃案となり今回は6回目です。今回も安倍前首相が河野談話を継承する旨を訪米時に表明、採決されない流れが出来ていた(安倍首相の親米路線はアメリカの国益になるから、安倍氏に慰安婦問題で要求を突きつけないほうが良いとの判断。)のに対し、日本の国会議員多数を含む『有志』が、ワシントン・ポストに従軍慰安婦問題はないとの全面広告を出したために、議決の流れが出来てしまいました。
今回も、アルメニア人虐殺非難の決議案が提出されたことが問題なのではなく、決議されたことが問題なのです。
一議員の意向が、何故議会の意向となったかと言う点がポイントです。
No.5
- 回答日時:
NO.3です。
アルメニア人虐殺問題についてちょっと補足を・・・アメリカ下院外交委員会で可決されたアルメニア人虐殺非難決議案は、今回のトルコの越境攻撃の可能性に関連して提出されたという訳ではありません。
この決議案が提出されたのは、今年の1月末であり、かなり前です。
そして、決議案を提出したアダム・シフ議員の選挙区には7万人のアルメニア系の有権者がおり、彼らの要望を受けアダム・シフ議員は決議案を提出しました。
アルメニア系有権者が、そうした要望を出したのは、今年の1月中旬にトルコで、アルメニア人虐殺問題を告発していたアルメニア系ジャーナリストのフラント・ディンク氏が、アルメニア人虐殺を否定する極右のトルコ人青年に殺害された事が一つの要因だと言われています。この事件は日本ではあまり取り上げられていませんが、そもそもフラント・ディンク氏の活動はアルメニア系コミュニティーでは知られたものであり、この殺害事件はアルメニア人コミュニティーでは大きな事件でした。
また去年の10月に、フランスでアルメニア人虐殺を否定すれば犯罪となる法案が可決された事も、アメリカのアルメニア人コミュ二ティーを動かす一つの要因となったと言われています。
つまりアダム・シフ議員のアルメニア人虐殺非難決議案の提出は、韓国・中国系コミュニティーの意を受け、マイケル・ホンダ議員が日本に対する従軍慰安婦非難決議案を提出したのと同じ構図です。
この回答への補足
ありがとうございます。しかしなかなか理解できないです。
議員や法案の名前はさておき、もう少し子供に説明する感じでアルメニア虐殺を教えて頂きけますか?
トルコとイラクの越境問題の記事にアルメニア虐殺がなぜ関連してきているのでしょうか??ようはトルコにクルド人への攻撃を(イラクに影響する可能性の為??)止めさせるために、アルメニア問題を持ち出して、立場を弱くするということでしょうか??
宜しくお願いします。
No.4
- 回答日時:
話のメインは、No.1・No.2の方が説明しておられるクルド人の問題です。
これについては、正しい解釈と思います。ではなぜ、アメリカ下院議会のオスマン=トルコ時代のアルメニア人虐殺問題の非難決議という、時代錯誤の議決がされたのか、意味を読まなければなりません。
現在のアメリカ下院議会は、約1年前の中間選挙で民主党が勝利し、共和党のブッシュ大統領の政府とねじれ現象を起こしており、来年の大統領選挙では民主党出身の大統領が誕生する可能性がやや高くなってきています。
このようなアメリカの国内政治の流れの中で、民主党は共和党ブッシュ政権のイラク政策を批判しています。
ですから、今回のトルコ政府のクルド人に対する攻撃を否定し、ブッシュ政権の失敗だと追及したいのです。
しかし、トルコはイスラム圏では珍しく民主主義の定着した国で、アメリカがヨーロッパ諸国と共同で運営しているNATO軍ノメンバーでもあり、中東のアメリカの国益を守る上で是非とも友好関係を継続していきたい相手なので、あまり強い否定メッセージを送るのも避けたいのです。
そこで、下院で多数派を占める民主党の大統領が2009年1月に誕生した時、クルド人問題でどのような対応でもとれるように、クルド人に対する攻撃をしないようにと言う直接的な表現をせずに、100年前のオスマン=トルコ時代のアルメニア問題を非難する決議という、当事者以外には良くわからないことをやったわけです。
私自身の個人的感想ですが、トルコ側では、そのような回りくどいやり方も含めて、反発があるようで、アメリカ下院の民主党側は、婉曲にやわらかくしたつもりだったのが、トルコの大使召還などの対応に予想外に強く捉えられたと困惑気味のように思います。
この回答への補足
補足です。
<今回のトルコ政府のクルド人に対する攻撃を否定し、ブッシュ政権の失敗だと追及したいのですというのは、なぜトルコ政府の攻撃がブッシュの責任になるのでしょうか?ごめんなさいまったく解りません。
根本から説明をしていただかないと・・・。
すいませんが宜しくお願いします・
No.3
- 回答日時:
トルコにおいて独立を求めるクルド人の反政府武装組織「PKK(クルド労働者党)」は、以前からイラク北部のクルド人自治区に拠点を築き、そこからトルコ国内に出撃し攻撃を仕掛けています。
トルコ政府は、再三に渡り、このPKKのゲリラ活動を抑制するようアメリカとイラク政府に求めていますが、今まで満足な結果は得られておらず、PKKの活動は激しくなる一方です。
その為、トルコ軍による越境攻撃の案が浮上してきました。
ただ、これは最近になって急浮上したという訳ではありません。
去年の春から既に越境攻撃の案は出ていました。しかし、その時は、アメリカが「イラクをテロリストの基地として使用できなくする為の取り組みの一環として、トルコ・イラク国境を可能な限り安定させる必要がある」という事を表明・約束した為、越境攻撃は見送られました。その後、トルコ政府はイラク政府とPKKの活動の抑制について約束を取り付けています。
トルコはアメリカやイラク政府による越境攻撃の反対と、ゲリラ活動を抑制するという約束を信じ自制してきました。
しかし、現在に至るまで、アメリカとイラク政府はその約束を守ったとは言えない状況であり、トルコ政府はアメリカは「何もしていない」と批判しています。
こうした事についてアメリカとイラク政府は、現在、クルド自治区以外の地域において、治安対策に手一杯であり余裕が無い事と、イラクで比較的、治安の安定しているクルド自治区に手を出して、状況を混乱させたくない為、薮蛇にならない為に、PKKへの対策が後回し、もしくは黙認をしていると言われています。
トルコ政府も我慢の限界が来たのでしょう。
なお、トルコ政府は以前に、イラクのクルド自治区に対し越境攻撃をした歴史的事実があります。
1995年、今と同じようにPKKの活動に手を焼いていたトルコ政府は3月20日に3万5000人の兵力で、国境の4ヶ所を突破。PKKが拠点としていたカントス山地を包囲、攻撃しました。目的はPKKの基地とそこに集積されている武器、弾薬、食料の破壊です。
この越境攻撃は国際的批判を浴びましたが、トルコ政府は当初の目的を達成したら、軍を引き上げると発表し、作戦を続行しています。そして5月に目的を達成したとして全軍を撤退させています。
だから今回の越境攻撃も絶対無いとは言い切れないと思います。現に、エルドアン首相は12日に「越境攻撃した場合に予想される国際社会からの批判について、いかなる代償も計算済み」と記者に語っています。
事は国家の安全保障に関わる問題です。現在、トルコ南東部には25万人以上の兵力が展開し、治安維持活動を行っており、PKKと戦っているのです。トルコ政府も国家の安全を保つ為に必死です。
アルメニア人の虐殺問題は、第一次世界大戦中、オスマン帝国が、国内で独立運動を行ったアルメニア人を鎮圧する為に、組織的に虐殺を行ったという事件です。
No.2
- 回答日時:
毎年のようにトルコを旅行し、アルメニアにも行ってきた者です。
トルコとイラクの間に、国境線をめぐる争いがあるわけではありません。ただ、国家を持たない最大の民族と言われるクルド人の独立志向にトルコが警戒を深め、イラクの中では比較的治安が良いとされ今でも観光客がいる北部クルド人地域について、越境して攻撃を加えてしまおうという意見が国会を通っただけです。それを実際に行うかは不明だし、やれば露骨なイラクへの主権侵害ですから、国内向けのポーズだけである可能性のほうが高いでしょう。トルコ共和国の「トルコにはトルコ人以外はいない」という建前の中、多くのクルド人を初め、ユダヤ人、ギリシャ人、アルメニア人などの少数民族がいます。
アルメニア人の虐殺自体は、オスマントルコ時代のものですが、新生トルコ共和国が独立を守るため、周囲との激しい戦争を続けていた文脈の中では、現在のトルコ共和国にも、アルメニア人虐殺の責任はあります。トルコ共和国の建国の父ケマル・パシャがあまりにも神格化されすぎており、彼のアルメニア問題に対する立場に批判を加えるのは、国内ではタブーに近く、発言に勇気のいることだと思います。
オスマントルコという国は、もともと勢力が衰えつつあったのですが、第1次世界大戦でドイツ側にたって参戦するとい国家としての大博打をうち、これが完全に裏目にでたのです。結果、支配下にしていたエジプトやシリアは独立し、西海岸にはコンスタンチノープル奪還を目指すギリシャ軍が上陸、東方でもトラブゾンを中心にギリシャ人共和国が一時的に誕生したほか、ロシア・アルメニア連合軍による侵攻にも苦しみました。このままでは、トルコという国が地図から消えるのは時間の問題とまで思われました。
近代トルコ建国の父として尊敬されるケマル・パシャは、突如として頭角を現した軍人で、ギリシャ軍との戦いを勝利に導く一方、ギリシャとトルコの間で国境線を画定し、相互住民交換を行うということで、状況の安定化に成功しました。彼は、現トルコ領ではなくギリシャ領の生まれです。ギリシャとの関係は、キプロス帰属問題を除いて、解消されました。
他方、アルメニア問題については、彼にも責任の一端はあると思います。トルコ共和国がアナトリアを領土とする国家として安定するまでの間、東北部を中心に、非トルコ系国家との戦闘を続けたからです。当時、東アナトリアのあちこちにはトルコ人による独自政府が乱立していて、ケマル・パシャは東方行脚をしながら現地の指導者を激励し、統一国家としてのトルコ共和国を作り上げていったのです。トルコ人であることは幸せだ、というスローガンを作ってしまったのも、彼です。
オスマントルコによるアルメニア人虐殺後、アルメニア人がいなくなった地域には、後からクルド人が移住してきたため、話がますますややこしくなってしましました。それでもトルコは、東アナトリアを新生共和国の領土として確保しました。それが、アルメニア人虐殺問題と、クルド人問題の直接の関連です。
アルメニア人が特に狙われた理由は、アルメニアがロシアの手先だと思われていたことです。現に、現在、旧ソ連の国々のほとんどがロシア離れと西欧への接近を示している中、アルメニアだけが、ロシアとの関係を重視するという政策を続けています。トルコとロシアの間には、コーカサス3国があり、これは、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンです。
グルジアは独自路線で西欧に接近し、ロシアからさまざまないやがらせを受けています。アゼルバイジャンはトルコ系民族の国で、言葉もほとんど一緒です(アゼルバイジャン語は早口であることを除けば、標準トルコ語より簡単そうに見えます。トルコ語みたいに外来語で単語数が異常に増えるということがなく、本来のトルコ系の単語を使うからです)。アルメニアだけがこ状況でロシアとの緊密な関係を維持しています。敵国であるトルコ・アゼルバイジャンに挟まれ、隣国のグルジアは、いまひとつ信頼できず、ロシアにたよるしかないという状態におかれているのです。
ソ連邦はスターリンの支配政策一貫として、わざと国境線をややこしくひき、民族どうしが争って、ソ連にたてつけない状況を作ってきました。ソ連崩壊後、一気に重しがはずれ、始まったのがアルメニアとアゼルバイジャンの戦争で、いわゆるナゴルノカラバフ紛争と言われています。アゼルバイジャン人はナゴルノカラバフから追い出されアゼルバイジャンに難民として避難、他方、ナゴルノカラバフはアルメニア系国家としてナゴルノカラバフ共和国を名乗っているのですが、これを国家として承認しているのはアルメニアだけという、完全な傀儡国家です。
これに対しトルコは、アゼルバイジャン支持をいち早く打ち出し、アルメニアを東西から経済封鎖しました。これによりナゴルノカラバフ紛争は、アルメニアとアゼルバイジャンの戦争であるだけでなく、トルコとロシアの代理戦争になってしまったのです。紛争は軍事力にまさるアルメニアの勝利に終わりましたが、トルコはアルメニアに対して、いまだに国境を閉鎖したままです。
トルコとアルメニアの紛争は、現在進行形の事実です。ケマル・パシャに対する評価の見直しを行い(無論、彼が軍人としてだけでなく政治家としても超一級の人物であったのは間違いないのですが)、アルメニア人はアルメニア人として自分たちの起こしたナゴルノカラバフ紛争を反省し、ロシアとトルコとアゼルバイジャンを含めた総合的な問題解決の場を作る必要があるでしょう。
私はアルメニアに旅行に行ったことがあるのですが、グルジア領内のアルメニア大使館でビザをもらおうとしたら、外交官が「自分にはビザを発行する権利がない。国境で軍人からビザをもらえ」と言われて、驚いたものです。外交官より軍人が威張っている国では、和平協議にもなかなか応じないでしょう。また、国境の待合室の中には、アルメニアの旧都(今は無人でトルコ領)の写真が堂々と張っており、おったまげたものです。
さらにややこしいことに、アゼルバイジャン人はイランにも住んでいて、「南アゼルバイジャン」と呼ばれることもあります。アゼルバイジャン政府の方針は、イランの主権を尊重し、この問題を刺激しないことにありますが、これもいつ、爆発するか分かったものではありません。
No.1
- 回答日時:
トルコ東部には、クルド人が多数居住しています。
一部のクルド人は、以前からトルコからの分離独立をさけんでテロ活動などを行っていました。
トルコでは、クルド人の存在を認めず、東部トルコ人であるとの認識のうえ、テロ活動を弾圧してきました。
そのテロ弾圧の時に、アフガニスタンやイラクでの米軍と同じくテロリストではない一般のクルド人をも巻き込む事も多くありました。
トルコのEU加盟の条件として、トルコ国内での人権問題が問題となり、トルコは、クルド人に対して融和策を打ち出し、一時クルド人のテロ活動は減少します。
ところが、アメリカのイラク攻撃によりイラク国内にクルド人自治区が成立すると、自信を強めたクルド人がトルコより分離独立をかかげテロ行為が再度活発化します。
そのテロ活動を行うクルド人の基地となり、テロ活動家に武器などを与えているのが、クルド自治区なのです。
そのためトルコは、クルド人テロリストへの支援を止めるように要請します。
当初クルド人自治政府は、自治区を安定化させるために、支援の禁止などを打ち出しますが、自信を強めた住民の意志には逆らえず、支援を続ける事になります。
また、今年になってトルコ国内でも政権が交代し、トルコ民族主義をかかげる政党が政権を握ります。
そのため、トルコのEU加盟よりも、国内対策を重視するようになり、クルド人のテロに対して強圧的に望むようになり、その一環としてイラク国内のクルド人自治区への侵攻攻撃の話になってきています。
同じ問題は、イランでもあり、トルコの侵攻にイランが支援する可能性もでてきています。
アルメニア人虐殺問題は、オスマン・トルコの時代のものですので、今回のクルド人問題とは直接の関係はありません。
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