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動機の錯誤と表示行為の錯誤の違いがよく分かりません。

錯誤が動機の錯誤と表示行為の錯誤に分類されるとあったのですが、具体的に例を挙げるとするとどのようなものなのでしょうか?

表示行為の錯誤は、言い間違いとか表示間違いですよね?

ではいったい動機の錯誤とはどういった場合のことなのか・・・


どなたかご教授お願いいたします。

A 回答 (2件)

私が習ったとおりの例を挙げますと…。


「アンパンが欲しい」と思っていたのに、なぜか「ウグイスパンを下さい」と言ってしまうのが「表示行為の錯誤」です。
それに対して、最初から「アンパン=ウグイスパン」と勘違いしていて、それに基づいて「ウグイスパンを下さい」と言ってしまうのが「動機の錯誤」です。
「表示行為の錯誤」においては「アンパンが欲しい」という動機は間違っていないのに対し、「動機の錯誤」では、錯誤に基づいたものにせよ最初から確定的に「ウグイスパンが欲しい」と思ってしまっている点に違いがあります。
錯誤無効を主張する場合、表示行為の錯誤であれば条件はないのに対し(無効主張前に現れた第三者との関係はとりあえず措いておいて)、動機の錯誤では「明示または黙示に動機を表意していた場合」という条件がつくのは、多分ご存知かと思います。
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この回答へのお礼

分かりやすい例えです。ありがとうございました。
動機の錯誤は、最初から勘違いしてた点で、表示行為の錯誤とは異なるんですね?
ありがとうございました。

お礼日時:2007/10/30 02:52

法律行為をする動機に誤りがある場合の、よくある解説。


新幹線が通るので地価が上昇するという風評を信じて(=動機)、その土地を買おうと思い(=効果意思)、その土地を買いたいと申し出た (=表示行為)。しかし、新幹線が通るので地価が上昇するという風評は真実ではなかった。このように「動機に思い違い」がある場合が、動機に錯誤があったケースです。

実際の適用判決
〔土佐犬の売買契約が動機の錯誤により無効とされた事例〕
事件番号 :平成13年(レ)第55号
事件名 :小切手債務不存在確認等請求控訴
裁判年月日 :H14. 5.24
裁判所名 :神戸地方裁判所
原審 :西宮簡易裁判所 平成13年(ハ)第209号

事件の概要
土佐犬の売買契約の民法第95条錯誤無効(動機の錯誤)によるその代金の支払いについての小切手債務の不存在の確認及び、民法第709条不法行為に基づき前記小切手債務の原因関係たる売買契約の契約締結上の過失による損害の賠償及び、同契約目的物たる土佐犬全国第20代横綱闘犬についての事務管理に基づく有益費用の償還を求めた事案。
原審を不服として被告が控訴していたもの。

判決主文
1 控訴人の被控訴人A会社に対する控訴を棄却する。
2 原判決中,被控訴人Bに関する部分(原判決主文第2項)を次のとおり変更する。
(1) 控訴人は,被控訴人Bに対し,金16万4847円及びこれに対する平成13年5月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被控訴人Bのその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,第1,2審とも控訴人の負担とする。
4 この判決の第2項の(1)は仮に執行することができる。

判決理由(判決文抜粋)
(1)錯誤無効と小切手債務の不存在につき
本件売買契約締結時,嵐号がフィラリア症に罹患しており,激しい運動ができる状態ではなかったにもかかわらず,被控訴人Bは,嵐号が全国横綱としての実績を有し,即時試合出場可能な闘犬であるものと誤信してこれを購入したことが認められ,被控訴人Bの売買の法律行為に錯誤があったと認めることができる。

もっとも,これは動機の錯誤に当たるから,錯誤による無効が認められるためには,相手方(控訴人)への動機の表示が必要であるところ,上記認定の控訴人と被控訴人Bの間の交渉経緯に照らせば,被控訴人Bは控訴人に対し,即戦力のある闘犬として嵐号を購入する旨売買の動機を表示していたものと認めることができる。

また,被控訴人Bが即戦力で闘犬の試合に即時出場可能である闘犬であると信じたからこそ嵐号を購入したものであることも上記認定したところから明らかであり,上記動機は,本件売買契約の重要な部分であったと認められるから,その錯誤は法律行為の要素の錯誤にあたるということができる。

以上の次第で,本件売買契約は要素の錯誤により無効であると認められる。

そうすると,被控訴人A会社は,その原因関係である本件売買契約が上記のとおり無効であることから,控訴人に対し,本件小切手金を支払う義務はないものと認められる。

したがって,被控訴人A会社の控訴人に対する本件小切手債務不存在確認請求は理由があるから,これを認容した原判決は相当である。


(2)売買契約の契約締結上の過失による損害の賠償につき
控訴人は,土佐犬を闘犬として飼育・訓練し,それを販売することを業としていたものと認められる。そうすると,控訴人には,犬の健康管理を行うとともに,犬を売買するに際しては,その犬が健康であるかどうかを確認の上で販売すべき信義則上の義務があると解すべきである。
ところが,証拠(控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,飼い犬を定期的に獣医に診せることもせず,フィラリア症の予防注射もまったくしないまま飼育し,フィラリア症に罹患したかどうかについては,餌の食べ具合や,闘犬の大会における戦いぶりなどから判断していたに過ぎないこと,その結果,本件売買契約当時,嵐号がフィラリア症に罹患していたにもかかわらずこれを見過ごし,被控訴人Bに売却したこと,その結果,上記1で認定のとおり,本件売買契約は錯誤による無効な契約であったことが認められる。

そうすると,控訴人には,売り主としての上記義務を尽くさなかった過失が認められ,これは契約締結上の過失にあたるから,民法709条により,被控訴人Bが契約締結に関して支出した費用を賠償する責任があるというべきである。

(3)事務管理に基づく有益費用の償還につき
本件売買契約は錯誤により無効と認められるから,嵐号は本件売買契約後も控訴人の所有に属し,その結果,被控訴人Bは,控訴人のために,事務管理として,控訴人所有の嵐号に上記治療を受けさせたと認めることができる。
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この回答へのお礼

判例までご丁寧にありがとうございました。
大変興味深く読ませていただきました。
奥深い・・・

お礼日時:2007/10/30 02:50

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