例えば、次のような民事訴訟があったとします。
請求の趣旨
1. 被告は原告に100万円を支払え
請求の原因
1. H19年6月9日以前では、原告は被告に対して50万円の債権がある。
2. H19年6月10日は、原告は被告に50万円を貸した。
このとき、請求原因1の為に審理に時間が掛かかりそうなことに後から気付いて、
原告は原因2を取り下げて、別の訴訟で原因2だけを根拠として50万円請求し、それによって50万円の部分については、早く確定させたいと考え、
一方最初の訴訟では、原因2をやめた分、請求趣旨を50万円に減額することを考えたとします。
この原告の考えの通りに変更することは、現在の日本の裁判制度の下で可能でしょうか?(あくまで一般論で構いません。)
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>(1)はおかしい(請求原因の説明になっていない)
>から却下されるべきとしか主張していない場合
(1)はおかしい、ですか??
それとも(2)はおかしい、ですか??
でも、ご質問の前提は、やっぱり(1)ですよね?
単純に取下げるものについて考えれば良いと思います。
期日を何度か重ねている中でも、
被告が(2)について、答弁書を提出又は、
期日において答弁していなければ、
原告は(2)について取下げることはできます
(被告の同意を要することなく)。
ただし、期日を何回も重ねていて、
出頭する被告が(2)について
何も答弁しないままの状態は、
実際の裁判ではあまりないと思いますが。
(2)はおかしい(請求原因の説明になっていない)
から却下されるべきとしか主張していない場合
形式的に見て、「却下を求める」旨の答弁がなされているので、
(2)についての取下げについては、
被告の同意が必要だと思います。
もし、被告の単なる主観(請求原因の説明になっていない
という希望的)だけでなく、
訴状の実態としても、
請求原因の記載が不十分である場合(民訴法133条2項)、
訴え提起の直後に、裁判所から訴状の補正命令が出され、
相当期間内(通常2週間程度)に原告が訴状を補正しなければ、
被告に訴状が発送される前に、
訴えが却下されることになります(民訴法137条)。
> このようなときは、中間判決や中間確認の訴えで対処することもありえるでしょ
> うか?
ご存知のとおり、中間判決は、訴訟の進行中、
当事者間で争点となった訴訟法上又は実体法上の事項
につき、終局判決に先立って解決しておくための判決ですね。
そして、中間判決する事項は、
a独立した攻撃又は防御
bその他中間の争い
c請求の原因及び数額
のいずれかです(民訴法245条)。
したがって、質問者様が意図するところの、
(2)についての終局的な判決は、
abcのいずれにも該当しないのでないでしょうか。
(1)に先行して、先に(2)についての終局的な判決を求めるには、
(2)の事件の分離を求め、
裁判所が分離してくれた後の話になります。
なお、ご存知のとおり、
弁論の併合・分離については、法律上、
原告被告には申立権は認められていないので、
裁判所がした何らかの決定に対して、
不服申立権はないです。
おそらく、今回の事例では、
裁判所はよほどの事情ががない限り、
分離はしないのではないでしょうか。
連絡の方が遅れてすみませんでした。
>期日を何度か重ねている中でも、
>被告が(2)について、答弁書を提出又は、
>期日において答弁していなければ、
>被告の同意を要することなく、原告は(2)について取下げることはできます
大変参考になります。
>(2)はおかしい(請求原因の説明になっていない)
>から却下されるべきとしか主張していない場合
>形式的に見て、「却下を求める」旨の答弁がなされているので、
>(2)についての取下げについては、被告の同意が必要だと思います。
>もし、被告の単なる主観(請求原因の説明になっていない
>という希望的)だけでなく、訴状の実態としても、
>請求原因の記載が不十分である場合(民訴法133条2項)、
>訴え提起の直後に、裁判所から訴状の補正命令が出され、
>相当期間内(通常2週間程度)に原告が訴状を補正しなければ、
>被告に訴状が発送される前に、
>訴えが却下されることになります(民訴法137条)。
>>このようなときは、
>>中間判決や中間確認の訴えで対処することもありえるでしょうか?
>ご存知のとおり、中間判決は、訴訟の進行中、
>当事者間で争点となった訴訟法上又は実体法上の事項につき、
>終局判決に先立って解決しておくための判決ですね。
>そして、中間判決する事項は、
>a独立した攻撃又は防御
>bその他中間の争い
>c請求の原因及び数額
>のいずれかです(民訴法245条)。
>したがって、質問者様が意図するところの、
>(2)についての終局的な判決は、
>abcのいずれにも該当しないのでないでしょうか。
>(1)に先行して、先に(2)についての終局的な判決を求めるには、
>(2)の事件の分離を求め、
>裁判所が分離してくれた後の話になります。
>なお、ご存知のとおり、
>弁論の併合・分離については、法律上、
>原告被告には申立権は認められていないので、
>裁判所がした何らかの決定に対して、
>不服申立権はないです。
>おそらく、今回の事例では、
>裁判所はよほどの事情ががない限り、
>分離はしないのではないでしょうか。
やはり色々と難しい事情があるものと心得なければいけないと思いました。
本当にありがとうございました。これからも一生懸命頑張っていきます。
No.1
- 回答日時:
可能です。
ただし、被告の同意が必要条件です。>最初の訴訟では、原因2をやめた分、請求趣旨を50万円に減額することを考えたとします。
>この原告の考えの通りに変更することは、現在の日本の裁判制度の下で可能でしょうか?(あくまで一般論>で構いません。)
当初の訴えは、
(1)請求の原因1に基づく50万円及び
(2)請求の原因2に基づく50万円の
各請求であるところ、
審理の状況から、
原告が(2)のみを取り下げる(訴えの一部取下げ)ことは可能です。
ただし、被告が(2)について答弁書を提出又は、期日において答弁した後に、
原告が(2)について取下げするには、
被告の取下げに対する同意が必要になります。
被告の同意が得られない場合、
(2)についての取下げはできず、
(2)についても審理が続きます。
(ご存知のとおり、取下げができなければ、
二重起訴の禁止により、
別訴として(2)を提起することはできません。
ただ、(2)についての訴えの取下げは、
その後も幾度となくチャレンジできますが、
被告の同意が得られない限り、
取り下げることはできません。
(2)の取下げについて被告から同意が得られた場合、
後に原告は、別訴として(2)を提訴できます。
(ただし、別訴として(2)を提起した後に、
被告から、訴訟経済を理由に、
(1)と別訴の(2)を併合審理して欲しい旨の申し出がなされ、
裁判所が併合をする旨の決定をする可能性はありますが。)
なお、被告が、事前に、原告が、
>別の訴訟で原因2だけを根拠として50万円請求し、
>それによって50万円の部分については、早く確定させたいと考え、
と考えていることに気づいたら、
よほど、お人好しの被告でない限り、
(2)の取下げについて同意しないと思います。
もともと、(1)と(2)は別々の訴えを提起することも可能ですが、
手数料としての収入印紙や送達費用としての切手代、
準備書面や書証の提出、証拠調べの実施回数、
裁判所に足を運ぶ回数、弁護士費用等の
諸般の訴訟経済の点から、
1つの訴状で併合しての提起と思われますが、
今回の質問は、基本的にはこのような訴訟経済を
考慮しないという前提なのですよね。
ありがとうございます。
>>可能です。ただし、被告の同意が必要条件です。
>>最初の訴訟では、原因2をやめた分、
>>請求趣旨を50万円に減額することを考えたとします。
>>この原告の考えの通りに変更することは、
>>現在の日本の裁判制度の下で可能でしょうか?
>>(あくまで一般論で構いません。)
>当初の訴えは、
>(1)請求の原因1に基づく50万円及び
>(2)請求の原因2に基づく50万円の
>各請求であるところ、審理の状況から、
>原告が(2)のみを取り下げる(訴えの一部取下げ)ことは可能です。
>ただし、被告が(2)について答弁書を提出又は、
>期日において答弁した後に、原告が(2)について取下げするには、
>被告の取下げに対する同意が必要になります。
もし、被告が答弁書や準備書面、口頭弁論で(2)について、
何の回答もせず、(1)はおかしい(請求原因の説明になっていない)から却下されるべきとしか主張していない場合でも、(2)の取り下げに被告の同意が必要になるのでしょうか?
>被告の同意が得られない場合、
>(2)の取下げについて被告から同意が得られた場合、
>後に原告は、別訴として(2)を提訴できます。
>(ただし、別訴として(2)を提起した後に、
> 被告から、訴訟経済を理由に、
> (1)と別訴の(2)を併合審理して欲しい旨の申し出がなされ、
> 裁判所が併合をする旨の決定をする可能性はありますが。)
>なお、被告が、事前に、原告が、
>別の訴訟で原因2だけを根拠として50万円請求し、
>それによって50万円の部分については、早く確定させたいと考え、
>と考えていることに気づいたら、
>よほど、お人好しの被告でない限り、
>(2)の取下げについて同意しないと思います。
このようなときは、中間判決や中間確認の訴えで対処することもありえるでしょうか?
>もともと、(1)と(2)は別々の訴えを提起することも可能ですが、
>手数料としての収入印紙や送達費用としての切手代、
>準備書面や書証の提出、証拠調べの実施回数、
>裁判所に足を運ぶ回数、弁護士費用等の諸般の訴訟経済の点から、
>1つの訴状で併合しての提起と思われますが、
>今回の質問は、基本的にはこのような訴訟経済を
>考慮しないという前提なのですよね
はい、まずは話を分りやすくしたいので
訴訟経済の問題は気にしないで考えております。
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