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NHKがTBSで過去に放送した寄席の音源を無断使用し、NHKの寄席番組が終了になった事件がありました。

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/200803 …

元々のTBSの放送時(1987年放送)の演者(実演家)は林家正蔵(8代目)です。演目は「大仏餅」です。この「大仏餅」は古典落語であり、創作者は初代三遊亭圓朝(1900年没)で「大仏餅」自体の著作権は創作者の死後50年を経過しているので、(狭義の意味での)著作権(初代三遊亭圓朝の権利)は侵害していないと思います。

問題は、このNHK事件で、誰がどのような侵害を受けたか気になり質問させていただきました。

・疑問1:1987年TBS放送時の林家正蔵(8代目)は実演家であり、彼の著作隣接権が侵害されていると考えております。具体的には、実演家に認められる著作隣接権のうち、放送権・有線放送権が侵害されていると考えればよいでしょうか。

・疑問2:TBSは放送事業者であり、TBSが製作・放送したコンテンツにも著作隣接権が認められると考えております。具体的には、放送事業者に認められる著作隣接権のうち再放送権・有線放送権侵害か、またはNHKがTBSの当時の放送を無断で複製して放送したので複製権侵害か、どちらかだと思います。どちらと考えればよろしいでしょうか。

・疑問3:上記侵害は、実演家および放送事業者とも侵害していると考えればよろしいでしょうか。

A 回答 (1件)

回答1


落語については、演者が異なれば表現も変わるのが普通でしょうから、オリジナルの「大仏餅」の著作権が消滅しているとしても、八代目林家正蔵版の「大仏餅」については、林家正蔵が著作者となり、新たな著作権が発生する可能性が高いです。ですから、まず、著作権としての放送権の侵害があります。

次に、演者としての権利ですが、持ち出したという録音物が、91条1項によって作成された録音物なのか、93条1項によって作成されたものなのかで異なってきます。

91条1項の録音は、一般的な録音で、CDなどを作成するための録音はこちらに含まれます。91条1項の許可を得て録音された録音物を放送する場合は実演家の許可は不要です。

93条1項は、放送事業者が、自分が放送すためだけに録音をする場合です。この場合、録音した放送事業者以外が放送の為に使用することは出来ません。他の放送事業者が放送する場合、改めて実演歌の許諾が必要となります。

今回のケースでは、TBSにあった録音物というのが、あくまでもTBSの放送のためのみで、91条1項の許諾までは受けていない録音物であったならば、林家正蔵の実演家としての著作隣接権を侵害します。

回答2
「TBSが製作・放送したコンテンツ」とありますが、製作行為と放送行為は区別する必要があります。製作行為があれば、著作隣接権ではなく著作権が発生します。しかし、落語の場合、TBSは録音しただけですので、製作者としての著作権は生じない可能性が高いです。もっとも、TBSと林家正蔵が共同で、放送用バージョンの「大仏餅」を製作したと考えれば、TBSも林家正蔵と共同著作権者となるかもしれません。

次に、放送事業者の著作隣接権の働く範囲というのは、放送を受信して複製するとか、さらに放送するといった行為です。今回の場合、TBSの放送を受信してそれを録音して放送したわけではないので、TBSの放送事業者としての著作隣接権を侵害することはありません。

回答3
以上の通り、NHKの行為は、著作権者であり実演家である八代目林家正蔵の権利を侵害する可能性と、TBSの著作権を侵害する可能性があります。
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