以前から報道に違和感を抱いていたのですが、サブプライムローンの債権を証券化して、他の証券化商品と組み合わせたものが大量に出回り、それによって、世界中の金融機関などが被害をこうむっている。なぜなら、サブプライムローンのローン対象であった住宅価格が下落しているから、と言われています。
疑問なのは、次の二点です。
1.サブプライムローン以外の証券化商品は、価値が下がっていないわけで、いくらサブプライムローンと組み合わさっても、一定の価値をもっていると思うのですが、報道では「紙切れ同然」と言う表現がされています。実際にサブプライム組み込み証券と言うのでしょうか、そう言った債権(証券)は、どうやって価値を判断するのでしょうか?
2.サブプライムローン自体についてです。住宅自体がなくなったわけではないので、値下がりしてもそれなりに値段がついていて、当然、その住宅を対象にした債権もそれなりの価値を持つはずです。これらの価値については、どう評価されているのでしょうか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
>もし、100個の内50個は毒が入っているが、その50個はちゃんと印がついているからどければいい、となれば
残念ながら印がついていませんでした。サブプライムローン証券が他証券と組み合わされて、それがさらに他の仕組み商品組成に使われて・・・となっていたので、どこに何があるのかわからない状態でした。ですから損失額が見積もれないという騒ぎになったのです。規制当局が各金融機関や機関投資家に損失を計算しろと意見したくらいです。
最近ではリーマンのCDS清算で同じことが発生しましたよね。推計では4000億ドルでプロテクションの売り手は3500億ドルの支払いになるか・・・という話でしたが実際は52億ドルにとどまりました。
サブプライムローンを組み込んだ複雑な仕組み際もCDSも、金融商品が高度で複雑化したがゆえに最終的な商品がいくら発行されていて何が組み込まれているかわからなくなっているのです。
結局、サブプライムローンも組み込まれているAAA証券で、サブプライムローンの割合は1%か10%か20%かわからないというような商品が出回っていたのです。機関投資家といわれる人たちでもその過去の実績利回りや格付けで購入するという愚かな行為をしていました。
>その会社は証券の投売りを仕掛けることになり、その結果、ある程度値下がりはするでしょうが、
>それが、紙切れ同然と判断されるのはかなり行き過ぎであるのではないでしょうか?
これが時価会計の怖さです。上で書いたような不信感から大量に売りが出ると買い手がいません。サブプライム証券を売りたい人が1万人いて、買い手が2人しかいないような状態です。そうなると買い手は立場上強いですよね。少し前では考えられないような強気な態度で安い値段を掲示できます。「えっ、これ1000億円だったの。でも今は買い手がいないよね。俺だったら50億円で買うよ。嫌ならいいんだよ。どうせ他に買う人いないんだから。売れなきゃ君は破綻するんだよね。少しでも現金にできたほうがいいんじゃない?」なんて交渉です。
別にここで「実際の裏づけ不動産の価値は800億円くらいはあるはずだから800億円で買う」と言ってもいいのですが、安く買い叩けるのにそんな馬鹿な値段を掲示するはずもありません。競い合うほどには買い手がいませんでした。
それほどまでに市場から買い手が枯渇したということです。
証券全体の裏づけになっている資産が安いというわけではありません。でも、その瞬間の市場の需給バランス異常によって一時的にでも買い手がいなくなればその資産の価値はその瞬間の時価で評価されるのが時価会計です。
商店街で売り子が「りんご1個50円」と叫んで、その瞬間に買い手がつかなければ50円の価値は無いという判断です。30分後にそのりんごが売れてもそれはその時に50円の価値になったというだけで、30分前は50円の価値が無かったということです。
だから、「時価会計を一部凍結して、妥当とされる資産価値で見積もってもいい」というルールを作ろうという動きがあります。
ありがとうございます。
かなり理解が進みました。
>結局、サブプライムローンも組み込まれているAAA証券で、サブプライムローンの割合は1%か10%か20%かわからないというような商品が出回っていたのです。機関投資家といわれる人たちでもその過去の実績利回りや格付けで購入するという愚かな行為をしていました。
と言うことが世界中で起きていたと言うことですね。どうも、変額保険の件が話題になってから、銀行を始めとしたマネーを扱う業界に違和感を感じていましたが、少なくともディーラーは、実際の仕組みをほとんど理解していないまま売り買いをしているのが現実のようですね。
>証券全体の裏づけになっている資産が安いというわけではありません。でも、その瞬間の市場の需給バランス異常によって一時的にでも買い手がいなくなればその資産の価値はその瞬間の時価で評価されるのが時価会計です。
やっと分かってきました。つまり、自己資本比率の縛りとか時価会計がどんな意味を持っているのかが。結局、これらの仕組みは、投機を世界規模でやりやすくするためのものだったわけですね。
ryuken_decさんの他のご回答を幾つか読ませていただきました。非常に的確な回答で、自分も勉強になりました。
もう一つ疑問があるのですが、答えていただけるでしょうか?
もし、サブプライムローン関連で損害をこうむった企業があるとして、その企業の体力がある程度あり、債券の償還時まで持っていたら、大きな損害をまのがれるということでいいのでしょうか。
No.3
- 回答日時:
Q:サブプライムローン関連で損害をこうむった企業があるとして、債券の償還時まで持っていたら、大きな損害をまのがれるか?
その可能性が高いと思いますが、これはその証券次第だと思います。
最終的に保有している証券がサブプライムローン証券を組み込んでいたとして、他の構成次第かもしれません。ノックイン債のようになっていたりすれば何かの形で損失が確定したり、オプションによって損失が拡大したり・・・
最終的にどういう債券になっているかでしょう。
回答をありがとうございました。御礼が遅くなり申し訳ありませんでした。
>最終的に保有している証券がサブプライムローン証券を組み込んでいたとして、他の構成次第かもしれません。ノックイン債のようになっていたりすれば何かの形で損失が確定したり、オプションによって損失が拡大したり・・・
ご回答を頂いてからいろいろ考えました。結局、今の銀行システムが、利子を認めることによって資本の独占と言うか、金のある人たちにますます金が集まる仕組みを作っているのと同じように、証券化というシステムも、一部の人たちに合法的に有利な状況を作り出すためのものだったようですね。
プラザ合意とか、株の含み益の自己資本組入れが日本にのみ認められたこと、銀行の自己資本比率の縛りと時価会計基準と言う国際会計基準の世界中への普及など、みんな、そう言ったシステムのための道具立てだったような感覚を憶えます。少なくとも、今の状況なら、そう見ることができるように思います。日本だけではなくて、世界中の人たちがそう言った強欲な人たちの考えたからくりの中に組み込まれていたのですね。
しかし、本当に、ある意味感心してしまいます。ここまで巧妙に仕組みが作られているとは。でも、このようなことを続けていたら、こういった体制、つまり、資本主義と言うもの自体がそのうちに否定されるようになるのではないかなと感じます。
重ねてありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
1.本来なら仰るとおり「いくらサブプライムローンと組み合わさっても、一定の価値をもっている」のです。
しかし、どんな毒が混ざっているかも分からないものに投資家は手を出しません。「1000個のうちに何個か毒入り饅頭が入っている。でもほとんどは安全だからいいよね」とはなりません。皆そういうものは敬遠します。毒が一切入っていないものとわずかに入っているもので人気が全く異なるのです。
その結果、サブプライムローン証券が組み入れられた証券が人気がガタ落ちとなり、誰も買い手がつかなくなります。しかも皆が皆自分自身がサブプライムローン組み入れ証券を売りたがっているのですから、他人のモノを買っているわけにはいきません。
また、借金の支払いにおわれている人で持っている資産が買い叩かれても即現金化しなければいけない人がいますよね?それと同じで、本来ならもっと高い価値があるにもかかわらず、決算やレバレッジ用借入金の返済のために至急現金を確保しなくてはいけないと迫られています。この支払いが遅れれば倒産です。そうなると、どんなに安く買い叩かれようと現金を作らなくてはいけないので、どんなに安くても売ってしまいます。
何が何でも現金化したい売り手多数で買い手不在。
こうなると市場取引価格は「紙切れ同然」となります。
2.市場が冷静になれば、それなりの価値を持つと思います。ただし、上でも書きましたようにレバレッジの解消においての証券手放しですので、しばらくは紙切れ同然で出回り続けると思います。
で、今回の問題の本質は過剰なレバレッジによるリスクテイキングでしょう。
本来なら住宅価格が5%下がれば5%のマイナスで終わるはずです。しかし、証券会社などはレバレッジを利かせて運用していました。(アメリカの証券会社の平均レバレッジは30倍前後だったかな?)
自己資本100億円で3000億円分のサブプライム証券を買うようなことをしていたわけです。
そうすると、住宅価格が5%下がると本来の自己資本の150%が吹き飛びます。一般人の感覚からすると「たった5%住宅価格が下がっただけじゃん。5000万円が4750万円だろ。大したことないよね。」かもしれませんが、30倍のレバレッジをきかせていたら5000万のうち7500万円が吹っ飛んだわけで死活問題です。
ありがとうございます。
でも、正直申し上げて、よく理解できません。
>「1000個のうちに何個か毒入り饅頭が入っている。でもほとんどは安全だからいいよね」とはなりません。
そうなのでしょうか?もし、100個の内50個は毒が入っているが、その50個はちゃんと印がついているからどければいい、となれば、値段次第で買うのではないでしょうか?少なくとも、毒入りでない他の50個の価値はちゃんとあるのですから。つまり、
>「1000個のうちに何個か毒入り饅頭が入っている。でもほとんどは安全だからいいよね」とはなりません。
というのは、どこに毒があるのか分からないから手が出せないだけです。サブプライム証券は、一定の比率で組み込まれているのでしょうから、それ以外の部分は証券として十分に価値があり、サブプライムの分だけ割り引いて価値を計算すれば済むのではないのでしょうか?
>自己資本100億円で3000億円分のサブプライム証券を買うようなことをしていたわけです。
>そうすると、住宅価格が5%下がると本来の自己資本の150%が吹き飛びます。一般人の感覚からすると「たった5%住宅価格が下がっただけじゃん。 5000万円が4750万円だろ。大したことないよね。」かもしれませんが、30倍のレバレッジをきかせていたら5000万のうち7500万円が吹っ飛んだわけで死活問題です。
こちらもよく分かりません。自己資本の何倍もの取引をやっても、それは、その会社が痛むだけで、サブプライム証券自体は5%の価値の減衰しかないはずではないのですか?確かに、その会社は証券の投売りを仕掛けることになり、その結果、ある程度値下がりはするでしょうが、それが、紙切れ同然と判断されるのはかなり行き過ぎであるのではないでしょうか?
と言うか、もし、そう言った判断がされるのなら、一種の詐欺行為であるように感じます。違うでしょうか?
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