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この時期になると、「○×大学の入試で出題ミス、○人を追加合格」というニュースを耳にすることがありますが、ここ数年増加しているのではないかと感じます。
実際にこういった事例が増えているのでしょうか?それとも、以前はメディアがあまりとりあげなかっただけなのでしょうか?
日本の教育に直接影響が出るとは思いませんが、何となく気になります。

A 回答 (3件)

ああ,そうそう。

No.2の回答で思い出しましたが,いわゆる「教養部解体」にも触れないといけませんね。
以前(80年代まで)の大学には,一般教養の授業を担当する教員が所属する「教養部」というのがありました。
一般教養とはなにかというと,たとえば工学部電子工学科に入学した学生なら,専門の授業(つまり電子工学に関係する授業)だけでなく,人文科学・社会科学・自然科学・語学なども一定の単位数を取得しないと卒業できないというシステムです。
(国立大ですと,「卒業できない」のかわりに「3年生に上がれない」の場合もあります。つまり,一般教養は2年までにとり終えないといけない。)
ところが,80年代の終わり頃から,文部省は「一般教養は無駄だ」として「教養部の解体」を推進しました。
今きちんと大学の組織として「教養部」というのがあるのは,東大とか京大などごくわずかになってしまいました。
その結果,高校の教育課程や大学新入生の学力を知っている先生方がばらばらになってしまったり,専門的な授業を担当している先生がほとんど趣味で出題してもチェックが甘くなったりして,難問奇問が出やすくなった,という話です。
(No.2で紹介されている本に詳しく出ていたと思います。)

さらに,出題ミスの背景につながると思われる事情を2つ指摘しておきましょう。

1つめは,高校の指導要領の変化。
1992年に高校に入学した学年から,新しいカリキュラムになりました。
これの特徴は,科目の選択肢が増えたということです。(現在はそのもう一つ後のものになっていますが,基本的には同じです。)
たとえば,数学を例にとると,数学I・数学II・数学III・数学A・数学B・数学Cと分かれ,さらに後半の3つは,例えば数学Aの内容は大きく分けて4つありますが,学校ごとの判断で,それぞれ最低2つやればいい,ということになっています。
(その前の課程のときならば,入試の科目も,たとえば文系なら数学Iまで,あるいはそれと基礎解析・代数幾何のどちらかぐらい,理系ならさらに微分積分・確率統計,といったあたりが目安でしょうか。しかも,科目の半分だけやればよいなんて措置はありませんでした。)
こういったさまざまな学習のしかたに対応した入試問題を作ろうとすると,出題側は,高校のカリキュラムをきちんと把握しておかないといけないし,また問題の数も,選択が増えるのでたくさん作らないといけません。

もう1つは,入試の多様化。
これもここ10年ぐらいですが,「入試の機会は多いほうがよい」「あまり一つの尺度で受験生を判断しないほうがよい」ということで,試験の回数を増やしたり,科目の組合せをいろいろ選べるようにしたり,推薦入学のやりかたをいろいろ増やしたり,さまざまな入試のやりかたが登場しています。
センター試験の点数を私立でも使うのはあたりまえのようになってきました。

というわけで,高校生の学んでいる科目やその内容が多様化し,入試のやり方も多様化しています。
ところが,教養部を解体してしまった大学は,組織としてこういった複雑な入試事情に対応しきれない,という部分があるのではないかと思います。
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この回答へのお礼

度々の回答ありがとうございます。
非常に詳しい解説をありがとうございました。報道だけでは出題者側の一方的な間違いのように受け止めてしまいがちですが、複雑な背景が影響していることが良くわかりました。勉強になりました。

お礼日時:2003/03/02 01:03

 国公立大学、私立大学ともに、いろいろな事情で大学入試のシステムが複雑化し、それがもとで出題ミスや採点・合否判定の事務的ミスが増加したのでしょう。


 丹羽健夫著「悪問だらけの大学入試」(集英社新書 2001年)という本が参考になると思います。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。今度その本を読んでみたいと思います。

お礼日時:2003/03/02 00:54

>実際にこういった事例が増えているのでしょうか?


これはちょっとわかりませんが,

>それとも、以前はメディアがあまりとりあげなかっただけなのでしょうか?
これはあるような気がします。

数年前,ある国立大学で,受験生のセンター試験の点数から必要な科目を抜き出して合否を計算するプログラムにミスがあり,相当数の追加合格を出すというケースがありました。
しかも,それが判明したのがもう新年度に入っていて,不合格者はすでに他大学に入学したり予備校に通ったりしはじめていました。
それらの学生に対しては,追加合格とするのはもちろん,それまでに済んでしまった部分の授業の補講も行うなどの措置をとりましたが,中にはすでに別の大学になじんでしまったからと入学しない人もいました。
また,この年はこの大学のケースがメディアで大きく取りあげられたため,それに引きずられるような感じで,他大学のちょっとしたミスでも報道されやすかったように思います。
それ以前も出題ミスが判明するとちょくちょく報道されていましたが(特に共通一次~センター試験は受験生が多いこともあって,出題直後でも「予備校からの指摘でミスが判明」などと報じられることがありました),それ以降は増えたような印象があります。
(きちんと数えているわけではないので,あくまでも印象ですが。)

ここからは推測ですが,それ以降,おそらく各大学とも,出題内容や採点の仕方などについて,いっそう綿密にチェックするようになったであろうと思われます。
それでは,試験を作る段階できちんとチェックすればそれでよいという感じだったのかもしれませんが,試験が終わってからも念のため内容をチェックするようになったかもしれません。(以前から事後のチェックもしていたかもしれませんが。)
また,情報公開は世の流れですし,特に国立大学の試験の成績は国の機関が持っている個人情報だと考えられるようになってきましたので,大学側の情報発信が積極的になってきたということも考えられます。
つまり,それまでなら仮に追加合格があっても,人数が少ない場合は個人的に通知すればいいだろう,いちいち出題ミスのためなどと理由を明かさなくてもいいだろう,で澄ましていたようなケースでも,あえてマスコミに出題ミスをマスコミに発表するようになってきているのではないでしょうか。
しばらくたってから予備校の指摘でミスが判明,というのではあまりかっこよくないですし。
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