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私は1995年度に地方の公立高校を卒業しましたが、1990年代前半の義務教育や高校教育では、経済について殆ど触れていなかったように記憶しています。
私の記憶では、戦前の昭和恐慌、戦後の朝鮮特需や高度成長、オイルショックがあったという話、世界史でヨーロッパの重農主義と重商主義、南米銀による銀相場の混乱とインフレ、アダム・スミスと神の見えざる手、マルクス主義の台頭、大恐慌後のニューディール政策とケインズ主義くらいしか覚えておりませんが、それらについても理論的な説明は殆どなく、用語や人名を覚えるくらいだったように記憶しています。
ですが、最近の格差社会論や世界同時不況の状況をみて、あらためて基礎から経済を勉強しようと思い、学部レベルの経済学の教科書を買い読み始めることにしました。

で、読んでいてふと思ったのですが、この教科書(東洋経済新報社のクルーグマン・マクロ経済学)のうち、どのくらいが高校までに学ぶ内容なのだろうと思ったのです。
例えば、財政政策と金融政策、名目GDPと実質GDP、インフレーションとデフレーションの概念、失業とインフレの関係(フィリップス曲線)、ケインズ前とケインズ後の経済論の違いなど、高校までではどのくらいのことが教えられているのでしょうか。

私自身、高校教育では全然経済を勉強しなかったなあという思いがあるので、現代は私の時代に比べて教育内容が随分と変わっているでしょうし、どのような事が教えられているのだろうと興味を持った次第です。
何卒宜しくお願いします。

A 回答 (2件)

一番簡単なのは本屋で高校用の参考書をご覧になることだと思いますが、それはさておき。



高校社会は選択制なので、何を選択したかによって履修内容には相当の開きがあると思います。倫理社会などの科目もあるぐらいですから、思想についても当然学ぶ機会はあります。少数派保護というならばなおのこと、思想を学ぶことはきわめて重要なことです。

さて、手元に山川出版社『詳説政治・経済研究』がありますので、改めて確認しましたが、内容は相当広範です。

経済史:封建社会、産業革命、資本主義の成立と発展、現代の資本主義への流れ
思想史:重商主義、重農主義、古典派、歴史学派、マルクス経済学、近代経済学など
が扱われています。近代経済学では、当然ながら、ケインズ経済学とその後のマネタリストなどの展開のほかに、限界革命も紹介されています。

理論的な話では、
経済循環と国民所得(昔やった三面等価がなぜか載っていない)
インフレーション、デフレーション
通貨の機能と種類、金融市場、信用創造、金融政策
財政政策とその機能(ビルトインスタビライザーなど)、租税、公債
需給均衡
比較生産費説
などが扱われています。このほか、簡単に触れる程度ですが、市場の失敗、外部性、独占、情報の非対称性、非価格競争についても言及があります。

また、経済知識や経済事情というべきものですが、日本経済についての話題、すなわち、
企業の種類と形態、株式市場、ガバナンスやCSRなど最近の話題、
独禁政策、企業組織、産業構造、中小企業、農業・食糧問題、資源・エネルギー問題、l少子高齢化など人口問題、労働、社会保障と社会福祉、公害・環境問題、消費者問題

などが扱われています。

国際経済に関しても同様に、
世界貿易の構造、日本の貿易構造とその歴史、外国為替、国際通貨制度と貿易体制、経済統合、南北問題
などが扱われています。

このように多岐にわたるため、すべてを完全に履修することはないかもしれませんが、89年に卒業した私の記憶では、この8割から9割は授業で扱われていましたので、今でも上記の大体は授業するのではないかと思います。

高校の経済分野は大学と比較すると、
・理論を体系的に学ぶというより、事項をまず知ることに重点がある
・広範な内容をカバーするため、概略的な紹介になりがち
という印象があります。
しかし、その内容はきちんと学べば一般教養としては十分すぎるほどの水準がありますし、さらなる学びの糸口としてもとてもよい教材であると思います。
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この回答へのお礼

大変詳しいご回答を頂きありがとうございます。
ご回答から考えますと、現在の経済問題を理解する上で必要十分な量であるように思われますね。
ただ、現実にはそれが十分に理解されていないようです。

例えばGDPは政府支出、民間消費、投資、純輸出(=輸出―輸入)といった構成であり、更に分配面でGDPを見たときに雇用者報酬が大きな割合を占めるために、不況下で政府支出を絞れば雇用者報酬の減少に繋がる(=収入源、失業など)といったことが十分に周知されておらず、どうもちぐはぐを感じます。また、ネット上の経済問題の議論を見ても、インフレの害(ハイパーインフレ、狂乱物価)は主張されるのに、デフレに関しては耐え忍ぶしかないといった話になってしまうのを見ても、経済にとってはインフレよりデフレの方が危険という話は周知されていないようですね。

>高校の経済分野は大学と比較すると、
>・理論を体系的に学ぶというより、事項をまず知ることに重点がある
>・広範な内容をカバーするため、概略的な紹介になりがち
>という印象があります。

おっしゃるとおり、大学レベルの経済学の教科書(マンキュー、スティグリッツ、クルーグマンなどの)であれば、現実の経済を経済学でどのように分析するのかという形で書かれておりますけど、高校レベルでは血や肉になる学問ということではないようです。

お礼日時:2009/12/29 11:16

変わらないです。

そもそも先生がかわらないので。

ただ職業教育、社会教育は盛んであり
小中高共に、
悪名高い?「総合的な時間」などを使って
有名学者やジャーナリストを呼んで講演したり、自治体によっては
自治体版「キッザニア」を作って子どもに学ばせたりしています。

そもそも日本は思想に関わることは教えないことが多いです(少数派の保護の視点から)。よってケインズは左派的だとして教えないし、新自由主義もやはり右寄りとして教えないのです。

この回答への補足

変わらないのですか?それは驚きました。

ケインズも左派なのですねえ。ケインズ自身は経済学者をして、腕の良い歯医者であるべきと言っておりまして、経済問題に適切な対応が取れればそれでいいという考えだったようですが。

とすると、高校を卒業した程度では、経済問題を理解するために必要な知識を殆ど持てないということになりますね。

補足日時:2009/10/04 06:36
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