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判例は、強制処分とは、(1)相手方の意思を制圧して、(2)権利を制約する場合であるとしています。(最決S51.3.16参照)
同じ判例において、任意捜査は、必要性・緊急性・相当性の範囲で認められるとしています。

ここで、疑問なのですが、例えば、任意取調において、程度を超えた取調べと思われる場合(5日間連続取調べ等)に、(1)個人の黙示の意思に反して、実質逮捕(強制処分)であるとしたものがある一方で、(2)相当性を欠いて、任意捜査として違法である(あるいは、相当性があるとした任意捜査として合法)としたものがあります。

捜査の適法性を考える手順として、(1)強制処分であるかどうか、(2)任意捜査であるとして、相当性があるかどうか(必要性・緊急性も)を順に検討するものであると思いますが、上記の判例を見ると、同じような程度を超えた捜査について、その判断方法の段階を分けているように思います。

実質的に考えても、任意捜査として、相当性を欠くような行為は、実際は、相手方の意思に反して、重要な権利を制約するものとして、強制処分にあたるように思います。

強制処分に該当するか否かの判断と、任意捜査として相当性を欠くかの判断は、どのように異なるのでしょうか?

また、強制処分として、法令・令状を欠き、違法である場合と相当性を欠き、任意捜査として、違法である場合は、実際に、その効果に差異が生じるのでしょうか?

ご回答よろしくお願い致します。

A 回答 (1件)

任意処分と強制処分との区別は、非常に基礎的でいて正確な理解の大変困難な論点だろうと思います。


それだけに判例も多く、見解にも色々あるわけですしね。
かく云う私も、十分な理解ができているのか心もとないのですが、ともに考えてみたいと思います。

ます、
>判例は、強制処分とは、(1)相手方の意思を制圧して、(2)権利を制約する場合であるとしています。(最決S51.3.16参照)
この定義は、強制処分一般を指すのではないと言われています。
当該判例は、有形力の行使が問題となった事例であって、その射程がどこまでなのかについては議論があることはご存知の通りです。

>捜査の適法性を考える手順として、(1)強制処分であるかどうか、(2)任意捜査であるとして、相当性があるかどうか(必要性・緊急性も)を順に検討するものであると思います
これについても、そのような考え方もあるということだろうと思います(予備校本なのでは、そう指導しているようですね)。
しかし、ご指摘の通り、そのような手順を踏んで検討している判例ばかりではありません。
たとえば、
適法な任意同行→適法な任意取り調べ→それが次第に宿泊を伴うなどの長時間の取り調べへ
のような場合、任意捜査が積み重なって積み重なって、限度を超えて、ここからは強制(実質的逮捕)と言える場合はあると思います。
となると、必ずしも強制か任意かの峻別は第一歩でないと言えます。

この点、刑事訴訟法の大変有名な先生とお話ししたときにした、私なりの理解では、
・「どの部分を切り取って考えるか」が影響するのだと思います。
上記の例でいえば、一連の流れをとらえて、任意から強制へ移行するという風にとらえるのか、富山地裁昭和54年判決のように、ある1時点をとらえて、ここからは強制ととらえるのか。

では、なぜ、【一連の流れで判断する】判例と【ある1時点で判断する】判例があるか。
それは、勾留の可否に関わるか否かです。
上記富山判決は、勾留請求却下に対する検察官準抗告に答えたモノですので、まさに取り調べ(の為の身体拘束状態)が実質的逮捕にあたり違法かどうかの判断が必要ですが、最高裁まで争われる事案の多くは、取り調べ中にとられた供述の証拠能力を問題としているので、ある1時点ということにそれほど重きを置いていないのだと思います。

>実質的に考えても、任意捜査として、相当性を欠くような行為は、実際は、相手方の意思に反して、重要な権利を制約するものとして、強制処分にあたるように思います。
>強制処分に該当するか否かの判断と、任意捜査として相当性を欠くかの判断は、どのように異なるのでしょうか?
(判例を離れて)一般的には、強制処分は、重要な権利利益の侵害があるか否かで判断すると言われています。
とすれば、強制とはそのような侵害があり、任意とはそのような侵害が無いこととなります。
ただ、判例の判断は、そうは思えないということですよね。
私もそう思います(笑)。
では、なぜそのような判断を判例はしているのか。
正確には不明ですが、少なくとも捜査に重大な違法があれば、そこでとられた証拠の証拠能力は否定されますから、犯罪の重要性や被告人(被疑者)の対応、嫌疑の強さ、等々を考慮したうえで判断しているからではないかと思います(私見です、少々表現を濁しました)。
本音を申し上げると…。
質問者さんのお立場にもよりますが、学生さんでしたら、余りこの点を深く追及すると妥当な結論を見失いがちになりますから、そこそこの理解があればいいのではないかなと思います。

>強制処分として、法令・令状を欠き、違法である場合と相当性を欠き、任意捜査として、違法である場合は、実際に、その効果に差異が生じるのでしょうか?
そこで得られた証拠の証拠能力に影響します。
【令状主義の精神を没却するか否か】が判断の一要素ですから、実質的逮捕などはまさにこれに該当します。
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