Aは自己所有の土地上に家屋を建築することをBに請け負わせ、Bは家屋を建築したが、引渡はされていない。そこで、Bの債権者Cはその家屋を差し押さえた。
この場合、以下のうち適当なものはどれなんでしょうか?
A 判例によれば、建築の進捗状況に合わせて報酬を何回かに分けて支払う特約があるときには、Aは第三者異議の訴えを提起できる。
B 判例によれば、完成した家屋の所有権はAに帰属するから、報酬の支払いとは関係ないしに、Aは第三者異議の訴えを提起できる。
C 判例によれば、完成した家屋の所有権がAに帰属する旨の特約があるときにはこの家屋の所有権はAに帰属するが、Aは報酬を支払わなければ第三者異議の訴えを提起できない。
第三者異議についていまいちよく分からないのでそちらの解説もしていただければ嬉しいです;;
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
民事執行法
第三十八条 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
例えば、Bの債権者であるCが、Bの財産を差押えたつもりで、Bが保管していたに過ぎないAの財産を差押えてしまうことがあります。このとき、Aはそれは自分の財産だから、強制執行しないよう求める手続きのことを第三者異議の訴えといいます。
本質問は民事執行法の問題というよりも、単に民法上の請負契約における所有権の帰属、つまり家屋の所有権がいつAに移るのかという問題です。Aに所有権が属していれば、Aは第三者異議の訴えを提起できます。
引渡し前における所有権の帰属について、有名な判例を書いておくと、
1.注文者が材料の全部又は主要部分を供給した場合は、原始的に注文者に帰属(大判昭7.5.9)
2.請負人が供給した場合には、別段の意思表示が無い限り、いったん請負人に帰属した後に、引渡しによって注文者に所有権が移転(大判大3.12.26)
ただし、判例では明示又は黙示の合意を認定することにより、建物完成と同時に注文者に所有権を、認めさせるものが多くあり、
3.引渡し前に注文者に所有権を取得させる合意があればそれに従う(大判大5.12.13)
4.建物完成前に代金を完済しているときは、完成と同時に所有権を注文者に帰属させる暗黙の合意があったものと推認すべき(大判昭18.37.20)
5.注文者が工事の進行に応じて分割的に代金を支払い、完成時までに大半を支払済みであるときは、特段の事情の無い限り完成と同時に所有権は注文者に帰属する(最判昭44.9.12)
A
5の判例により所有権はAに属しているので、正しい
(ただし、正確には特約があっただけでなく、実際に金銭が支払われている必要がありますが、少ない文字数で問題文を書くという制約があったために、書いてないだけと勝手に解釈しました)
B
引渡しも代金の支払も無い以上、2の判例により所有権はBに属しているので正しくない
C
3の判例により、報酬の支払の有無とは無関係に所有権はAに属しているので正しくない
No.2
- 回答日時:
#1の回答者ですが、Bの回答について訂正です。
B
引渡しも代金の支払も無い以上、2の判例により所有権はBに属しているので正しくない
と書きましたが、正確には、
引渡しも代金の支払も無い以上、1及び2の判例により、必ずしもAに帰属しているわけではないので、正しくない(材料の全部又は主要部分をどちらが提供しているかによって、ABどちらに属するか変わる)
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