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イギリス人の友人から禅に関する質問を受けました。私は禅に関する知識がほとんどなく、その上現在海外駐在中のため、日本語の文献が手近になく困っております。

以下、『正法眼蔵』の禅問答の一つだそうです:
Zen master Daowu visited the assembly of master Shitou.
Daowu asked, "What is the fundamental meaning of Buddha-dharma?"
Shitou said, "Not to attain, not to know".
Daowu said, "Is there some turning point in going beyond, or not?
Shitou said, "The vast sky does not hinder the white clouds from flying”

友人が知りたがっているのは、最終行の"The vast sky does not hinder the white clouds from flying" の日本語です。(もし、漢文でもわかればそちらもご教示頂きたいです。)

私自身の知識不足のため、上記内容にもおかしな箇所があるかも知れませんが、どうぞお許し下さい。

ご存じの方、どうかよろしくお願い申し上げます。

A 回答 (2件)

どこまでのことを書けばいいのかわかりませんので、簡単に書いておきます。



これは、石頭希遷(せきとうきせん)と天皇道悟(てんのうどうご)両禅師の間の、わりと知られた問答です。

道悟「如何なるかこれ仏法の大意」
石頭「不得不知」
道悟「向上さらに転処あるやなしや」
石頭「長空白雲の飛ぶを礙えず」

最後は「長空不礙飛白雲」。
「不礙」は「さまたげず」と読んでもよいのですが、「さえず」と読む方が一般的でしょう。とりあえず、文字通りの意味は読んだままです。

少し気になったのは、ご質問中の道悟の「向上さらに…」という部分の訳が、「転処」に引っかかってしまって、あたかもturning pointの有無を問うているかのようになっている点です。この部分で大事なのは「向上」であって、「転処」ではありません。「転」もよく使われるのですが、それは方向を変えるというニュアンスではなくて、逆に(こちらこそが正しい方角だ、というような)方向性を感じさせずに「変わる」ということを意味する言葉です。

問いとそれに対する答えがあったところで、更に問者が「向上」と求める。こういうパターンは禅の問答に頻出します。要するに最初の答えが不十分であったり、さらに境地を確認したいと思った時に、「その先を言ってみよ」とさらに一句を求めるわけです。

ここでは「不~、不~」という回答、仏教では「平等相」ともいいますが、こういう表現自体、ある種万能で何かしら真実に触れているように感じられるけれども、しかしその便利な言葉にとどまってしまっては、逆に真実を表現できないことになってしまいかねません。
真実を表現しようとする言葉を用いるときには、それを発する者の側に常に、その言葉自体が真実を限定する檻になりかねない、という危険性が踏まえられていないといけないわけです。禅宗は早くからそのところに非常に神経を払ってきたのです。

禅には「悟りとはこれだ、というような言葉にとらわれると、杭につながれたロバみたいになってしまう」という言葉があります。「絶対」というものにとらわれることを嫌う感覚がよく表れていると多います。ともかく、問者である道悟はそのところを十分承知したうえで、(それはわかったから)その先はあるのかね、と踏み込んで問い質したのです。そうしないと何も問うたことにならないわけです。

ついでに言うと、この問答を道元さんが引用しているのは正法眼蔵のなかの「仏向上事」という章ですから、名前の通り力点は「向上」ということにあります。つまり、ある境涯を絶対なものとして安住してしまう危険性とその克服がテーマになっているわけです。

デザインに使う程度ならあまり詳しく書く必要もないかもしれませんが、必要ならまたコメントさせてもらいます。
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この回答へのお礼

早速に詳細なご説明を誠に有難うございます。
「長空不礙飛白雲」となるのですね。

友人が大変気に入っている一節だそうなので、とても喜ぶと思います。
意味を英語で説明するのはなかなか難しそうですが、頑張って説明
したいと思います。(イギリス人である友人の方が、よく分かって
いるかも知れませんが・・・。)

今回のことは、「Zen」から「禅」を学ぶきっかけになりそうです。

neil_2112様、mmky様、ご親切にご回答頂きまして、重ねて御礼申し上げます。

お礼日時:2010/04/27 13:59

最終行の"The vast sky does not hinder the white clouds from flying" の日本語です.



日本語?何を意図しての質問かがよくわかりませんが、日本語は、「空は雲の動き(流れること)を妨げない。」ですね。
同じような使われ方のものであれば「水は魚の動き(泳ぐこと)を妨げない。」「空は鳥の動き(飛ぶこと)を妨げない。」ですね。
「空」、「水」、「月」など何でもいいんですね。『正法眼蔵』ではそれを『悟り」と置き換えているだけですね。
「月」の場合がありますね。
「人が悟りを得るのは、ちょうど水に月が宿るようなものである。月は濡れず、水は破れない。広く大きな光ではあるが、寸尺の水にも宿る。月全体が草の露にも宿り、一滴の水にも宿る。悟りが人を破らないのは、月が水に穴をあけないようなものである。人が悟りを妨げないのは、一滴の露が天の月を妨げないようなものである。一滴の水の深さは、天の月の深さを宿している。月影が宿る時の長短にかかわらず、それが大水にも小水にも宿ることを学び、天の月の大きさを知りなさい。」
この場合、大小の水が修行者、月が悟りですね。水が月に気付くかどうかなんですね。
さて、難しすぎたかな。

この回答への補足

早速のご回答を誠に有難うございます。現代日本語訳と、その意味がわかりとても勉強になりました。

もしご存じでしたら、"The vast sky does not hinder the white clouds from flying"が、『正法眼蔵』の原文(漢文でしょうか)でどう表記されているのかについても、ご教示頂けますでしょうか。

ご承知のように、漢字を「クール」だと思うヨーロッパの人も少なくなく、その友人はこのフレーズを
何かのデザインとして使いたいそうです。

最初の質問内容が説明不足で大変失礼致しました。

よろしくお願い申し上げます。

補足日時:2010/04/27 09:12
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