A 回答 (7件)
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No.1
- 回答日時:
交通事故の被害者として裁判をやりました。
正確に覚えているわけではありませんが、判決には「事故の日より支払い完了までの損害金」というようになっていたと記憶しておりますし、遅延損害金の額もそれなりの金額でしたので、起算日は「不法行為発生日」です。訴状送達日ではありません。
ありがとうございました。
確認ですが、それは「債務不履行」が「競合」した訴訟だったのですね?
「不法行為」のみの交通事故はご回答の通りであることは理解しております。
法律現場ではどのようになっているのか、
難しい法律論ではないと思いますが、複数人の弁護士に相談したところ、
明確に回答できる弁護士はいませんでした。
No.2
- 回答日時:
実務でお話しします。
競合の場合、請求の趣旨は合計を請求しますが、遅延損害金は別々に請求します。
例えば、債務不履行に基づく損害賠償請求で100万円を、不法行為に基づく損害賠償請求を50万円だとすれば、「請求の趣旨」は、
「被告は原告に対し150万円及び、その内、100万円につき平成年月日から支払い済みまで年○%の割合で、50万円につき平成年月日から支払い済みまで年○%の割合で、各支払いをせよ。との判決を求める。」
とします。
100万円は不履行があった翌日から、不法行為は不法行為のあった日から、それぞれ請求します。
ありがとうございました。
質問が不適切で申し訳ありません。
損害について債務不履行、不法行為と分けることができません。
双方の要件を満たしているとして請求する場合です。
主位的、予備的主張のかたちは現在はなじまないと聞きました。
素人考えでは、仮に不法行為が証明できなくても、
遅延損害金の起算日は不法行為発生日で請求し、
あとは裁判所の判断に任せると考えます。
再度ご回答賜れれば幸甚でございます。
No.3
- 回答日時:
医療過誤や金融商品取引による損害賠償請求については、同一の事実関係を基に、債務不履行による損害賠償請求も、不法行為による損害賠償請求も、ともに成り立つことがあります。
というか、むしろその方が当たり前という状況でもあります。そのほかの取引行為に伴う損害賠償請求についても、両者がともに成り立つことは多数あると思われます。
ところで、そのような場合に、訴訟を起こすとすると、原告は、その請求が、債務不履行によるものか、不法行為によるものかを特定する必要があります。これを「訴訟物の選択」といいますが、これは原告の責任においてなすべきことです。
この場合には、いずれか一方での請求をすることもできますが、両方をともに請求することもできます。ただ、両方は一方が満たされれば、他方も満たされる関係にあるので、両方を加算して請求することができないのは当然のことです。
その場合には、選択的請求(債務不履行か不法行為のどちらかが認められればよく、優先順位はつけない)、主位的・予備的請求(どちらかを先に審理することを求め、そちらが成り立たない場合に別の方の真理を求める)という方法があります。
このことは、訴訟において、昔も今も変わらない原理原則です。
これによって、債務不履行による損害賠償が認められれば、遅延損害金の起算日は、請求の日の翌日(必ずしも訴状送達の翌日ではありません。訴状送達の翌日というのは、訴状送達による「請求」の日の翌日という意味であって、それ以前に内容証明郵便による請求をしていたりすれば、それが到達した日の翌日を選択することもできます。
他方、不法行為による損害賠償請求が認められれば、遅延損害金の起算日は、不法行為の終了日となります。
別のところで、「主位的、予備的主張のかたちは現在はなじまないと聞きました。」とのことですが、確かに、特に医療過誤訴訟について、学説的にそのような議論がなされており、現実問題として、医療過誤訴訟において、訴訟物として、債務不履行と不法行為のいずれを選択したとしても、主張立証の内容に変わりがないことから、そのような議論がなされることとなったもので、もっぱら、訴訟における主張立証を意識した議論です。
実際にも、最近の医療過誤訴訟では、債務不履行か不法行為かを意識しないで、訴訟を提起しているケースも多いようです。
しかし、その訴訟を審理する裁判所は、いずれの損害賠償請求を認めるかは、常に意識しているもので、その訴訟で請求されていない損害賠償請求権を認めることはしません。この辺は、当事者の意識と、裁判官の意識が、違っているといえば違っているところです。
ということで、質問に対する答えは、あなたが、債務不履行による損害賠償をもっぱら請求したいのであれば、訴状送達の日の翌日を起算日として請求すればよく、不法行為による損害賠償をもっぱら請求したいのであれば、不法行為の終了した日を起算日として請求すればよい、それはあなたが決めることだ、ということになります。
詳しいご回答ありがとうございます。
注意義務違反のため債務が履行できなくなった場合の損害賠償を請求する場合、
債務不履行が満たされた場合、不法行為も満たされるということでしょうか。
だとすると、不法行為の終了した日が起算日ということになるのでしょうか。
それとも、あくまでも債務不履行が満たされたのだから、不法行為については判断せず、訴状送達の翌日が起算日になるのでしょうか。
だとすると、不法行為を判断してもらうためにはどのようにすればよいのでしょうか。順位をつけるのでしょうか。
また、この場合の請求は法律上両立しえない請求になるのでしょうか、
それとも両立しえるのでしょうか。
両立しえるのならば、主位的、予備的主張は成り立たないとの理解でよろしいでしょうか。
それとも、そもそも「債務不履行に基づく損害賠償請求および不法行為に基づく損害賠償請求訴訟」自体、あり得ないことでしょうか。
再度ご回答賜れば幸甚でございます。
No.4
- 回答日時:
>損害について債務不履行、不法行為と分けることができません。
何故ですか ?
債務不履行と言うのは、契約がないと発生しません。
一方、不法行為と言うのは、契約がなく法律違反の場合のことです。
だから「分けることができない。」や「双方の要件を満たしている」とは、あり得ないことではありませんか ?
なお「仮に不法行為が証明できなくても、遅延損害金の起算日は不法行為発生日で請求し、あとは裁判所の判断に任せると考えます」
と言いますが、不法行為があったとすれば、証明できると思います。
それが証明できないとすれば、不法行為はなかったことです。
また、遅延損害金の起算日は、契約によって明らかと思われます。
明らかでなければ、契約がなかったことです。
尤も、弁済期等定めがない契約もありますが、その場合は民法412条に従えば遅延損害金の起算日は明らかとなります。
重ねてのご回答に感謝いたします。
適切に質問できず申し訳ありません。
注意義務違反のため債務が履行できなくなった場合の損害賠償を請求する場合、
契約があるので不法行為は成り立たないとの理解でよろしいでしょうか。
つまり、「債務不履行に基づく損害賠償請求および不法行為に基づく損害賠償請求訴訟」はあり得ないとの理解でよろしいでしょうか。
不法行為が存在することと、立証できるか否かは別問題との認識でしたが、
立証できなければ、不法行為が認められないだけではなく、存在しないものと決定されるのでしょうか。
不法行為の立証ができなかった時のことを危惧して質問しております。
今一度ご回答賜れれば幸甚でございます。
No.5
- 回答日時:
>「債務不履行に基づく損害賠償請求および不法行為に基づく損害賠償請求訴訟」はあり得ないとの理解でよろしいでしょうか。
そうですが、一つの案件では、債務不履行ならば債務不履行、不法行為なら不法行為であって、一つの案件で、この2つは競合しないと考えています。
2つは競合する場合は、案件が2つある場合です。
なお「注意義務違反のため債務が履行できなくなった場合の損害賠償を請求する場合」とのことですが、
これを実務のうえでするならば、「注意義務違反のため」と言う理由は、請求原因とはしないです。
単に「・・・との契約であったが、被告は履行しない、よって、請求の趣旨記載の判決を求める。」とします。
原告から見れば、被告が注意を怠ったか否かは関係ないことです。
被告が履行しなかった原因まで、原告が主張や立証は必要ないです。
原告とすれば、債務を履行しなかったことが請求原因です。
度々のご回答、ありがとうございます。衷心より感謝いたします。
「注意義務違反(不法行為)のため(損害が生じ、また、そのために)債務が履行できなくなった(ので債務を履行しなくなった)場合の損害賠償を請求する」場合は、競合ではないと認識いたしました。
注意義務違反(不法行為)が立証できれば、不法行為の損害賠償が得られ(不法行為発生日を起算日とする遅延損害金、および弁護士費用)、立証できなくても、債務の不完全履行による損害賠償は得られるとの認識で損害賠償請求訴訟を提起すればよいとの認識でした。
ご回答者さまには以前、民事執行法についてご助言を賜りました。
益々のご活躍を祈念いたします。
ありがとうございました。
No.6
- 回答日時:
債務不履行が満たされた場合、不法行為も満たされたといえるか
必ずしもそうはいえません。両者は別の請求権と考えることが適当です。
ただし、不法行為における注意義務が、契約上の債務とほぼ等しい場合は、現実問題として、
債務不履行による損害賠償請求が認められる場合には、不法行為による損害賠償請求も認められる
という関係にあります。
その典型例が、医療過誤訴訟のような場合です。
そこで、私の回答の主眼点は、その場合に、債務不履行で請求するか、不法行為で請求するかは、あなたが自分で決める問題であって、どちらかに決まっている問題ではないということです。
あなたが債務不履行で請求しようと決めれば、遅延損害金の起算日は、請求の日の翌日になります。
あなたが不法行為で請求しようと決めれば、遅延損害金の起算日は、不法行為の終了日になります。
ただし、この両者は、経済的にみて、一方の損害賠償金が支払われれば、他方の損害賠償請求権も満足される関係にあるので、両方を加算して請求することはできず、何らかの形で、いずれか一方を裁判所に判断してもらうことになります。
その方法が、単独請求=いずれか一方に決め打ちする
選択的請求=いずれか一方を判断してもらえればいい
主位的・予備的請求=最初に一方を判断してもらい、それがダメなら他方を判断してもらう
の3とおりがあるということです。どれを選ぶかは、あなたが決めることです。
単独請求なら、裁判所は、その請求だけを判断します。その場合、不法行為による請求なら、不法行為の終了の日から遅延損害金をつけますし、債務不履行による請求なら、請求の趣旨で不法行為の終了の日からの賃損害金を請求していても、請求の日の翌日からの遅延損害金しか認めません。
選択的請求なら、裁判所は、原告に有利な方を判断して、他方については判断しません。
主位的・予備的請求なら、裁判所は、その順番で判断します。
それだけのことです。
この両者の請求は両立します。両立します。そのことは、医療過誤訴訟を例に挙げて説明したとおりです。ただし、この両者の請求は、経済的には、一方が満たされれば、他方は必要がないことになります。だから、裁判所は、両方を判断することはしないということなのです。
両立するが経済的に共通している、だからこそ、原告には、その両者を主位的・予備的請求とする選択肢がある、それは原告自身が決めることだ、ということです。
再度のご回答に感謝いたします。
また、このような詳しいご回答は大変参考になります。
複数名の弁護士に相談しましたが、このような回答は得られませんでした。
確認ですが、
(1)選択的請求はどちらか一方を選択して請求するのではなく、両者を同時に請求すれば、裁判所は原告に有利な方を判断するとの理解でよろしいでしょうか。
(2)この場合、両者が認められるのならば、不法行為が遅延損害金の起算日の点で有利であるから、裁判所はそのように判断するとの理解でよろしいでしょうか。
(3)不法行為が認めらる事件だけれども、裁判所は債務不履行の判断しかせず不法行為の判断はしない、ということはないとの認識でよろしいでしょうか。
だとすると、
(4)遅延損害金の起算日は不法行為の終了の日として請求してよろしいでしょうか。遅延損害金は債務不履行が満たされても不法行為が満たされなければ、金額が大きく減少します。
(5)それとも、遅延損害金の起算日は、債務不履行、不法行為と分けて請求するのでしょうか。
また、
(6)仮に医療過誤だとして、法律上両立している請求だけれども主位的、予備的請求は可能との理解でよろしいでしょうか。
(7)それとも、遅延損害金の起算日が異なるのだから、法律上両立しない請求ということになるのでしょうか
以上の7点について、確認させていただければ幸甚でございます。
No.7
- 回答日時:
(1)(2)(3)について
理屈上はそういうことです。ただ、ここでいう「有利な方を判断する」というのは、裁判官の行為規範で、裁判官の主観にかかっていますので、必ずしも金額的に有利な方とは決まっていません。形式論理的には、債務不履行の方が原告の主張立証責任が軽い(主張立証すべき事項が少ない)とされていますので、多くの主張立証を待ってから判断するのではなく、先に主張立証が揃って判決ができるようになったことが原告に有利だから、主張立証がまだ足りていない不法行為の判断は止めて、債務不履行でさっさと原告勝訴の判決をするということもありうることです。
また、債務不履行で判決をすれば手堅い判決ができる。不法行為の場合には、自分としては勝訴判決ができると思うが、控訴されて更に立証が追加されれば危ないこともありそうだ、ということで、手堅い債務不履行を選ぶことが原告に有利だという判断になることもあり得ます。
原告に有利というのは、金額の多い少ないだけではなく、時間的に速いということや、最終のゴールがどうなるかという予想、その他の事情も含まれるということです。
(4)(5)について
理屈上正しいのは、請求の趣旨を請求する権利ごとに分けて、
選択的請求の場合には、
100万円とこれに対する不法行為終了日からの遅延損害金
又は
100万円とこれに対する請求の日の翌日からの遅延損害金
との判決を求める。
主位的・予備的請求の場合には、
(主位的)
100万円とこれに対する不法行為終了日からの遅延損害金
(予備的)
100万円とこれに対する請求の日の翌日からの遅延損害金
との判決を求める。
とすることになりますが、慣習的・実務的に、請求の趣旨は1つで足りるとされています。
(6)(7)について
主位的・予備的請求と構成することが可能なことは、繰り返し指摘しているとおりです。
遅延損害金の起算日が異なるから、両立しない請求ということはありません。どっちでも好きに選択できるし、どっちも請求することができるから、両立しているのです。ただ、一方での勝訴判決があれば、お金の計算上足りているでしょう、という話です。
これと、売買契約に基づいて目的物を引き渡せ、という請求と、売買契約を解除したから支払済みの代金を返せ、という請求とが違うことは分かりますね。この場合には、選択的請求(どっちでもいいから判断してくれ)は、明らかに成り立ちません。原告にとって、事実はどっちか一方であって、どっちでもいいということはならないからです。
ありがとうございます。再度の、さらに詳しいご回答に衷心より感謝いたします。
不法行為で認容できそうであっても、遅延損害金の有利さより債務不履行で判決することもあると理解しました。
医療過誤の場合、債務不履行に基づく損害賠償請求と不法行為に基づく損害賠償請求では、
主張立証すべき事実がほとんど変わらないので弁護士費用が損害として認められるとの最高裁判決があることと、
債務不履行より不法行為で認容される割合が高いので意外です。
原告の金額的有利さではなく、被告よりも原告に有利になるように判決することもあると理解しました。
被告よりも原告に有利になるように判決することもあることも意外です。
遅延損害金の起算日については、「不法行為終了日」のみではなく、「不法行為終了日」と「請求の日の翌日」とを併記して請求するべきと理解しました。
法律上両立している請求だけれども主位的、予備的請求は可能と理解しました。
売買契約云々については、法学部時代に客観的予備的併合の基本として学んだ記憶があります。
実務上、法律現場ではどのようになっているか知りたく、質問いたしました。
このたびはお世話になりました。
重ねて御礼申します。
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