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債務不存在確認訴訟で棄却判決が出された場合、それだけでは直ちに債権債務の存在が既判力をもって確定されるわけではなく、債権債務の存在が既判力をもって確定されるには、理由中で債権債務の存在が認定されなければならない、との説明を受けました。

この説明が正しいとすると、以下の点が疑問です。
①債権債務が存在することは理由中の判断に過ぎないのに既判力が生じるのでしょうか。
②給付訴訟で棄却判決が出されれば、債権の「不存在」が既判力をもって確定されると思います。債務不存在確認訴訟は給付訴訟の反対形相だとして、これとパラレルに考えるならば、債務不存在確認訴訟の棄却判決によって、債権の「存在」が既判力をもって確定されると考える方が自然ではないでしょうか。

それとも、上の説明がそもそも間違っているのでしょうか。

よろしくお願いします。

質問者からの補足コメント

  • 先生の説明のところ、訂正させていただきます。

    「XのYに対する100万円の金銭債務が、30万を超えては存在しないことの確認を求める」(前訴)との請求を単純に棄却しただけでは、「XのYに対する100万円の金銭債務が、31万を超えては存在しないことの確認を求める」(後訴)との請求を既判力で排斥することはできない。
    なぜなら、この場合の前訴棄却判決によって、「XのYに対する債務が70万存在する」との事実が既判力をもって確定されるわけではないからである。
    上記のような後訴を排斥するには、前訴請求を単純に棄却するのではなく、判決理由中で「XのYに対する債務が70万存在する」ことを認定し、残債務額を確定しておかなければならない。

    No.2の回答に寄せられた補足コメントです。 補足日時:2015/06/02 23:12
  • お礼に書いた、先生の説明のところ、訂正させていただきます。

    「XのYに対する100万円の金銭債務が、30万を超えては存在しないことの確認を求める」(前訴)との請求を単純に棄却しただけでは、「XのYに対する100万円の金銭債務が、31万を超えては存在しないことの確認を求める」(後訴)との請求を既判力で排斥することはできない。
    なぜなら、この場合の前訴棄却判決によって、「XのYに対する債務が70万存在する」との事実が既判力をもって確定されるわけではないからである。
    上記のような後訴を排斥するには、前訴請求を単純に棄却するのではなく、判決理由中で「XのYに対する債務が70万存在する」ことを認定し、残債務額を確定しておかなければならない。

    No.1の回答に寄せられた補足コメントです。 補足日時:2015/06/02 23:14
  • 質問に至るより詳細な経緯を補足させていただきます。

    先生:「XのYに対する100万円の金銭債務が、30万を超えては存在しないことの確認を求める」(前訴)との請求を棄却したのでは、「XのYに対する100万円の金銭債務が、31万を超えては存在しないことの確認を求める」(後訴)との請求を既判力で排斥することはできない。このような後訴を排斥するには、前訴で、残債務の額を確定して一部認容判決をすべきである。

    私:この場合の前訴請求棄却判決によって、「XのYに対する債務が70万存在する」ことに既判力が生じるので、後訴は排斥されるのではないのですか?

    先生:この場合の前訴請求棄却判決によっては、「XのYに対する債務が70万存在する」ことに既判力は生じない。もし前訴請求棄却判決にそのような既判力を生じさせたいのであれば、判決理由中で
    「XのYに対する債務が70万存在する」ことを認定する必要がある。

      補足日時:2015/06/03 13:38
  • 質問に至るより詳細な経緯を補足させていただきます。

    先生:「XのYに対する100万円の金銭債務が、30万を超えては存在しないことの確認を求める」(前訴)との請求を棄却したのでは、「XのYに対する100万円の金銭債務が、31万を超えては存在しないことの確認を求める」(後訴)との請求を既判力で排斥することはできない。このような後訴を排斥するには、前訴で、残債務の額を確定して一部認容判決をすべきである。

    私:この場合の前訴請求棄却判決によって、「XのYに対する債務が70万存在する」ことに既判力が生じるので、後訴は排斥されるのではないのですか?

    先生:この場合の前訴請求棄却判決によっては、「XのYに対する債務が70万存在する」ことに既判力は生じない。もし前訴請求棄却判決にそのような既判力を生じさせたいのであれば、判決理由中で
    「XのYに対する債務が70万存在する」ことを認定する必要がある。

    No.3の回答に寄せられた補足コメントです。 補足日時:2015/06/03 13:40
  • 質問に至るより詳細な経緯を補足させていただきます。

    先生:「XのYに対する100万円の金銭債務が、30万を超えては存在しないことの確認を求める」(前訴)との請求を棄却したのでは、「XのYに対する100万円の金銭債務が、31万を超えては存在しないことの確認を求める」(後訴)との請求を既判力で排斥することはできない。このような後訴を排斥するには、前訴で、残債務の額を確定して一部認容判決をすべきである。

    私:この場合の前訴請求棄却判決によって、「XのYに対する債務が70万存在する」ことに既判力が生じるので、後訴は排斥されるのではないのですか?

    先生:この場合の前訴請求棄却判決によっては、「XのYに対する債務が70万存在する」ことに既判力は生じない。もし前訴請求棄却判決にそのような既判力を生じさせたいのであれば、判決理由中で
    「XのYに対する債務が70万存在する」ことを認定する必要がある。

    No.4の回答に寄せられた補足コメントです。 補足日時:2015/06/03 14:18

A 回答 (7件)

>私が、請求棄却判決を出すべきだと考えるのは、


「XのYに対する、○年×月△日に成立した金銭消費貸借契約に基づく100万円の債務は、100万を超えては存在しないことを確認する」
では、体裁としては一部認容判決なのに(「原告は請求を棄却する」ではない)のに、原告の請求は全く認容されていないわけですから、わけがわからないことになってしまうと考えたからです。
間違ってますかね、、、?

 いいと思います。
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急ぎ訂正のみ。



>なお、70万円を超えて存在しないという請求はもちろんできます。
できません。
70万円を超えて存在しないって認定なんですからそれ以上の額がないことに既判力は当然あります。何でこんなアホなこと書いてんだ?ってくらいデタラメです。

とんでもない寝言を書きました。お詫びして訂正します。

以上
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この回答へのお礼

あれれ、すみません。また別の質問になってしまうのですが、この場合、70万円を超えて存在しないという請求はできるのではないでしょうか???

「XのYに対する100万の債務が30万を超えては存在しないことの確認を求める」
という債務不存在確認請求に対し、裁判所が「自認額30万を含めた100万全額が存在する」との心証を抱いて、理由中で残債務70万の存在を認定して、請求棄却判決をした場合、自認額30万の部分は訴訟物から除かれており、その部分の存否は確定しないわけですから、

「XのYに対する100万の債務が70万を超えては存在しないことの確認を求める」との後訴を提起した場合、前訴の訴訟物から外れていた30万の存否については、前訴既判力とは関係なく、新たに判断することができるのではないでしょうか?


なお、No.3のお礼を書いた後で思ったのですが、先生は「XのYに対する100万の債務が30万を超えては存在しないことの確認を求める」との請求に対し、「裁判所が一部認容との心証を得た場合(=100万円全額は存在しないが、原告の自認額30万を超えては存在する)」を念頭に、「請求棄却では、債務の存在に既判力が及ぶが債務の数額には既判力が及ばない(だから債務の残額を主文で確定させた一部認容判決をすべき)」とおっしゃりたかったのかもしれません。
やはり、「裁判所が自認額30万を含めた100万円全額が存在するとの心証を得た場合」に請求棄却判決をするときには、「債務が70万存在すること」と数額を含めて既判力が生じるのかなと思います。

つまり、先生の

>もし前訴請求棄却判決に、「XのYに対する債務が70万存在する」との既判力を生じさせたいのであれば、判決理由中で「XのYに対する債務が70万存在する」ことを認定する必要がある。

というところは、「裁判所が自認額30万を含めた100万円全額が存在するとの心証を得た場合」に請求棄却する場合(理由中で残債務70万の認定がされるのが通常だと思います)には、「XのYに対する債務が70万存在する」ことに既判力が生じる、っていう意味だったのかもしれません。

いろいろとありがとうございました!非常に勉強になりました!!

お礼日時:2015/06/05 01:08

>①裁判所はどのような判決主文を出すのか、②その場合に既判力はどういう事実について生じるのか



なるほど、100万円全部の存在が認められる場合ですね。

請求棄却判決でいいと思います。

でも大事なのは、そう考える理由です。
質問者さんは、どのような理由で請求棄却判決を出すべきと考えるのでしょうか?

この場合は、100万円のうち、70万円の部分が訴訟物になっているわけですから、その訴訟物となった「70万円」の部分の「存在」について既判力が生ずると考えます。

既判力は判決の主文に包含するものに生ずる→主文は訴訟物に対する判断→既判力は訴訟物に生ずる

そうすると、主文だけでは、訴訟物が何かわからないケースは珍しくないですから、「判決理由中の判断をみなければ既判力の範囲がわからない」と「判決理由中の判断に既判力を認める」とはイコールではありません。

是非、どんどん反論して下さい。
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この回答へのお礼

ご回答、ありがとうございます。

やっぱり、100万円全額の存在が認められる場合は、請求棄却判決で、その場合の既判力は「70万円」の債権が「存在」すること、でいいんですね!

私が、請求棄却判決を出すべきだと考えるのは、
「XのYに対する、○年×月△日に成立した金銭消費貸借契約に基づく100万円の債務は、100万を超えては存在しないことを確認する」
では、体裁としては一部認容判決なのに(「原告は請求を棄却する」ではない)のに、原告の請求は全く認容されていないわけですから、わけがわからないことになってしまうと考えたからです。
間違ってますかね、、、?

お二人の回答者様のおかげで、やっとスッキリしたのですが、補足に書いた先生と私のやりとりの中で、おそらく先生は、「裁判所が一部認容との心証を得た場合(=100万円全額は存在しないが、原告の自認額30万を超えては存在する)」を念頭にお話されていたのに対して、私は、「裁判所が自認額30万を含めた100万円全額が存在するとの心証を得た場合」を念頭に考えていたから、混乱してしまったのかもしてません。

つまり、先生は、「裁判所が一部認容との心証を得た場合(=100万円全額は存在しないが、原告の自認額30万を超えては存在する)」というときは、請求棄却ではなくて、たとえば、「XのYに対する、○年×月△日に成立した金銭消費貸借契約に基づく100万円の債務は、50万を超えては存在しないことを確認する」のように、主文で残債務を確定させた一部認容判決をすべき、ということだけをおっしゃりたかったのかもしてません。先生の

>もし前訴請求棄却判決に、「XのYに対する債務が70万存在する」との既判力を生じさせたいのであれば、判決理由中で「XのYに対する債務が70万存在する」ことを認定する必要がある。

という部分は、「『裁判所が自認額30万を含めた100万円全額が存在するとの心証を得た場合』には請求棄却判決で、そのときには『70万』の『存在』に既判力が生じる」という意味で、「理由中の判断に既判力が生じる」という意味でなはいと理解すれば、スッキリしました!

本当にありがとうございました。

お礼日時:2015/06/05 00:39

論点としては、「訴訟物」と「一部認容判決」ですね。



設例に基づいて訴訟物を検討すると、100万円の金銭債務のうち「70万円」が訴訟物となります。

それで、裁判所は30万円の金銭債務の存在を認定した。

その場合、どのような判決をすべきか。

この場合、「原告認容判決」です。

後訴の「31万円を超えて」の訴訟は、そもそも「訴えの利益」がありません。

では、設例で裁判所は50万円の金銭債務の存在を認定した。

どのような判決をすべきか。

これが「一部認容判決」の問題です。

単純請求棄却判決を出すと、事案の終局的な紛争解決を図れない。

少なくとも原告の意思に反する。

その問題意識からいくつかの考え方があるでしょう。

通常は、一部認容判決ということで、「金銭債務は50万円を超えて存在しない」という判決を出すべきとされ、実務もそうなっています。ということで授業終了です。

きちんと訴訟物に対する判断になっていますし、原告の意思にも反しない。紛争の終局的解決も図れるからです。

ただし、授業では、単純請求棄却判決を出して、判決理由中の判断に既判力を認めるべきとされています。これが、教授の学説なのか、単なる試論なのかは、質問文からはわかりません。

問題は、質問者さんがどう考えるのか、その根拠は何かです。

ヒントは多分、争点効の考え方でしょう。

質問者さんが、司法試験を目指しているのであれば、自分の頭で考えてみて下さい。わからなければ、補足して下さい。
この回答への補足あり
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

詳細な経緯を記載しなかったのがいけなかったのですが、補足に記載させていただきました通り、先生も、債務不存在確認訴訟で請求に理由がない場合は、ただちに請求を棄却するのではなく、残債務の額を確定した上で一部認容判決をすべき、との立場を前提にされているようです。

ただ、そうだとしても、例えば「XのYに対する、○年×月△日に成立した金銭消費貸借契約に基づく100万円の債務が30万を超えては存在しないことの確認を求める」という場合のように、債務の上限を明示してする債務不存在確認訴訟で、裁判所が、「自認額30万を含めた100万円の債務全額が存在する」との心証を得た場合は、一部認容判決をする余地はなく、請求棄却判決をするしかないと思います。
その場合は、「債務が存在すること」にしか既判力は生じないのでしょうか、それとも、30万を超え100万に至るまでの部分、すなわち、「70万の債務」の「不存在」が否定される結果、「70万の債務が存在する」というように数額を含めた債務の存在に既判力が生じるのでしょうか。

はたまた、前記「XのYに対する、○年×月△日に成立した金銭消費貸借契約に基づく100万円の債務が30万を超えては存在しないことの確認を求める」との債務不存在確認訴訟で、裁判所が、「自認額30万を含めた100万円の債務全額が存在する」との心証を得た場合には、「XのYに対する、○年×月△日に成立した金銭消費貸借契約に基づく100万円の債務は、100万を超えては存在しないことを確認する」との判決主文が出されるのでしょうか。
そうすると、この場合、形式こそ「原告の請求を棄却する」との形にはなっていないですが、原告の請求がすべて否定されている点で、一部認容判決というより、実質的には請求棄却判決だと思うのですが、、、

前記「XのYに対する、○年×月△日に成立した金銭消費貸借契約に基づく100万円の債務が30万を超えては存在しないことの確認を求める」との債務不存在確認訴訟で、裁判所が、「自認額30万を含めた100万円の債務全額が存在する」との心証を得た場合、①裁判所はどのような判決主文を出すのか、②その場合に既判力はどういう事実について生じるのか、さらにお考えをお聞かせいただければ幸いです。

お礼日時:2015/06/03 14:14

ああ、これは解らんわけだ。


極々簡単に言えば、既判力が及ぶのが債権の存否だけで債権の数額には及ばないってことだと思います。存否に及ばないと言ったらそれは間違いですよ。でもそんなことは言っていないのです。

詳しい話には立ち入りません。すげー面倒くさそうなので。

恐らく実務的には、このような判決は出ないでしょう。最判昭和40年9月17日以降、このような場合には単純に請求を棄却せずに債権額の上限を明らかにして一部認容判決をすることになっていますので。つまり、 理 由 中 の 判 断 で は な く 主 文 に 「~を超えては存在しないことを確認する」という判決を書くってことです。


まず、債務不存在確認訴訟において請求を棄却した場合には 債 権 が 存 在 す る と い う 点 に は 既 判 力 は 間 違 い な く あ り ま す。本件はそこが問題なのではありません。そこを問題にしたから意味が解らないんです。
問題なのは、存在する債権の数額はどうなるかという話です。単純に請求を棄却しただけでは、あくまでも 債 権 が 存 在 す る と い う 点 に つ い て し か 既 判 力 はありません。その債権額が「一体幾らなのか」という債権の数額については既判力がありません。つまり、既判力が及ぶのは債権の存否についてのみであり、存在する債権の数額ではないということです。言い換えれば、「ある一定の数額の債権の存在」については既判力が及ばないだけです。「数額を特定しない債権の存否そのもの」には既判力が及ぶことは間違いありません。

例えば、原告が被告に対して負担する債務は30万円を超えて存在しないという請求が棄却されたとしましょう。
この棄却の理由は、被告が50万円を貸し付けたという利息付金銭消費貸借契約の存在を証明し、かつ、原告が20万円の弁済しか証明できなかったためだったとします。ところが、本件訴訟において利息を含めた債務残額が幾らであるか裁判所が認定せずに債権額は30万円を超えていることは間違いないので「30万円を超えて存在しない」として請求を棄却したとします。すると「30万円を超えて債権が存在する」ということには既判力があります。
ですから、もし仮に(基準時後の事情が何もなく)後訴を提起して、再び「30万円を超えて存在しない」という請求を立てると、この 「 3 0 万 円 を 超 え て 存 在 し な い と い う 」 後 訴 請 求 は 既 判 力 に 抵 触 し ま す。
しかし、30万円を超えた債権が実際にいくらであるのかは判断していません。すると、30万円を超えて債権が存在するという判断には既判力がありますが「30万円を超えて存在する債権」の具体的な額が幾らなのかは一切判りません。もしかしたら30万1円かも知れませんし100万円かも知れません。
すると、もし仮に(基準時後の事情が何もなく)後訴を提起して、「30万1円を超えて存在しない」という請求を立てると、この「 3 0 万 1 円 を 超 え て 存 在 し な い と い う 」 後 訴 請 求 は 既 判 力 に 抵 触 し ま せ ん。
あくまでも既判力があるのは「30万円を超えて存在する」ということであって「30万1円を超えて存在する」ではないからです。

ですから、
30万円を超えて存在しないという前訴請求が棄却された。
30万1円を超えて存在しないという後訴請求は認容された。
ということは起こり得ることになります。
この二つの判決は矛盾していますか?していませんね。前訴では30万円を超えた債権の存在について既判力が及びます。しかし後訴では30万1円を超えては存在しないと言っているだけで、30万円を超えて30万1円を超えない範囲での債権の存否については何も言っていないからです(この例だと結局のところ、30万1円の債務の存在を認定したのと同じ結果になります。)。

これを原告の立場で考えると、債権額を確定せずに「30万円を超えては存在しない」という請求を棄却しただけの場合に、「30万円を超えて存在する」という点に既判力があるのは良いとしてもだからと言って1億円の債権が存在するなどと言われたらたまったものじゃないでしょう?1億円だって「30万円を超えた債権」であることは確かですが、それは前訴において認定していない事実であって、1億円の債権の存在については既判力が及ばないのです。

そこで、単純に「30万円を超えて存在しない」という請求を棄却してしまった場合、理由中の判断から「30万円を超えて存在する債務」が具体的にいくらであるのかという判断ができれば、理論的には「理由中の判断から判る数額の債務」が訴訟物であり、それに対して既判力が及ぶと考えることはできます。
だから、30万を超えて存在する債権が例えば70万円であるということを理由中で認定してあれば70万円の債権の存在について既判力が及ぶので30万1円を超えて存在しないという後訴請求は既判力に抵触して認められないという話になるわけです。なお、70万円を超えて存在しないという請求はもちろんできます。

とまあ、多分そういう話でしょう。


しかし、最初に触れた通りこれは現在の実務とは違う考え方だと思います。
最判昭和40年9月17日は、ざっくり言うと、
一審が債務の一定額を超えて存在しないという請求を棄却した際に、超えているのは明らかとだけ言って、実際には一体いくらなのかを認定しなかった。控訴審も認定しなかった。
そこで最高裁が、原告の主張を超えて債務が存在する場合にはその額を認定すべきであり、単純に請求を棄却するのは、原告の申立ての範囲の解釈を誤り、結果、審理不尽の違法があると言って、原審に差し戻した。
というもの。
この判例では確かに、債務の上限が幾らかを明らかにしろと言っているだけで一部認容判決をすべきとは言っていませんが、実務的には一般的に一部認容判決によって主文において数額を特定しているのであり、主文では単純に棄却した上で理由中で数額を認定して訴訟物を特定するということはしていません。勉強不足で私が知らないだけでそうでないものがあるのかも知れませんが。

ということで、この先生の話というのが、いわば思考実験としての純理論的な話なのか判例とは異なる理論の話なのかそもそも判例とは前提が異なる特殊な話なのかあるいはその他の何かなのか判りかねます。詳細は詳らかにしませんが、確かに理論的には訴訟物の特定との絡みで議論がある様子(原告の設定した訴訟物が債務の存否のみでその額を問題にしていない場合があるとかそんな話。)なので先生に質問するべきでしょう。

以上
この回答への補足あり
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この回答へのお礼

詳しいご回答、本当にありがとうございます。
>既判力が及ぶのが債権の存否だけで債権の数額には及ばない
これで何もかもわかりました!そして、私がどこで考え違いをしていたのかもわかりました。

私は以下のように考えていたわけです。
①「XのYに対する債務が30万を超えては存在しないことの確認を求める」のように、債務の上限を明示「しない」でする債務不存在確認訴訟の場合、単純に請求を棄却したのでは、債務がいくら存在するのかは確定されず、後訴による蒸し返しを防ぐことができない。よって、一部認容判決をする必要ががある。
これに対し、
②「XのYに対する100万の債務が30万を超えては存在しないことの確認を求める」のように、債務の上限を明示「して」する債務不存在確認訴訟の場合、請求棄却判決により、自動的に「70万の債務の存在」が既判力をもって確定される。よって、一部認容判決をすべきかは問題とならない。

しかし、②の場合であっても、請求棄却判決の既判力は「債務の存在」にしか及ばす、「数額を含めた債務の存在」には及ばないのですね!

ただ、債務の上限を明示してする②の場合で、なぜ「数額を含めた債務の存在」に既判力が及ばないのか疑問ではあります。(もしお手数でなければお考えをお聞かせいただければ幸いです。)
例えば、②の例で、裁判所が「自認額30万を含めた100万の債務全額が存在する」との心証を得た場合、一部認容判決をする余地はないのですから、請求棄却判決をするしかないと思います。そして、この請求棄却判決の理由中で「債務が70万存在する」との認定がされていなくとも、30万を超え100万に至るまでの部分、すなわち、「70万の債務」の「不存在」が否定される結果、「70万の債務」の「存在」が既判力をもって確定される、と考えることができないでしょうか。

もっとも、前訴請求棄却判決後、「XのYに対する100万の債務が31万を超えては存在しないことの確認を求める」との後訴が提起された場合は、信義則により不適法却下されると考えれば、「債務の存在」にのみ既判力が生じるのか、「数額を含めた債務の存在」に既判力が生じるのかという議論は実益がないのかもしれませんが。

なお、先生はあくまで仮定の話として、前記のような説明をされたみたいです。より詳細な経緯を補足に記載させていただきました。

お礼日時:2015/06/03 13:25

>それとも、上の説明がそもそも間違っているのでしょうか。



 はい、間違っています。

具体的にどのような事例について検討しているのかを明かにすれば、さらなる検討が可能かもしれません。
この回答への補足あり
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

補足させていただきます。

大学の授業で、以下のように教授がおっしゃったので、表題の疑問が生じたのです。

「XのYに対する100万円の金銭債務が、30万を超えては存在しないことの確認を求める」(前訴)との請求を単純に棄却しただけでは、「XのYに対する100万円の金銭債務が、31万を超えては存在しないことの確認を求める」(後訴)との請求を既判力で排斥することはできない。
なぜなら、この場合の前訴棄却判決によって、「XのYに対する100万円の金銭債務が70万存在する」との事実が既判力をもって確定されるわけではないからである。
上記のような後訴を排斥するには、前訴請求を単純に棄却するのではなく、判決理由中で「XのYに対する100万円の金銭債務が70万存在する」ことを認定し、残債務額を確定しておかなければならない。

上の内容は間違っているのでしょうか?

お手数でなければ、お答えいただければ幸いです。

お礼日時:2015/06/02 22:59

ちょっと聞いたことがないのですが、


http://ofunalaw.exblog.jp/9033711/
に書いてある話ではないのですか?
すなわち、
1.債務不存在確認訴訟の判決主文だけ見ても既判力が及ぶ訴訟物は判明しない。
2.そこでその主文の中身を明確にするために判決理由を紐解く必要がある。
3.しかし、それは
 判 決 理 由 中 の 判 断 に 既 判 力 を 認 め る わ け で は な い。
4.あくまでも主文の既判力が及ぶ対象を判決理由から判断しているだけである。
ということ。

そもそも債務不存在確認訴訟において判決理由中で債務の存在を認定しないで請求棄却判決が書けるのか?という点が大いに疑問なのですが。債務の存在を認定せずに不存在を否定するのは理由不備になると思います。債務が存在するという理由以外で債務不存在確認訴訟を「棄却」することができるとは思えないのですが。
このサイトだけでなくインターネットではデタラメ言って連中がやたら多いのですが、債務不存在確認訴訟における 債 務 の 「 存 在 」 の 証 明 責 任 は、 被 告 た る 債 権 者 に あ り ま す。そうずると、被告たる債権者が債務の存在の証明に失敗すれば、それだけで認容判決が出ます。逆に言えば、棄却判決が出るためには、大前提として債務が存在するということを示せなけらばならないことになります(それでも相殺等の抗弁がありそれが認められれば認容判決が出ます。)。そこで、債務の存在の立証に成功したということが理由中で明らかになっていなければ棄却の理由が不明なので理由不備だと思います。

…確かに、デタラメ連中の論理ではあり得るかもしれません。つまり、債務不存在確認訴訟における債務の「不存在」の証明責任が債務者たる「原告」にあると考えれば「債務の不存在が立証できなかったために」棄却判決が出るのですから「債務の存在を証明していない」としても棄却判決がでることもあるでしょう。すると、理由中で債務の「存在を」認定していないとしても理由不備にはならないでしょう。しかし、それは判例実務の証明責任分配論とは明らかに異なる話なので考えなくて良いと思います。

以上
この回答への補足あり
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
重要なところは、強調していただいたのでわかりやすかったです。

既判力は、判決書の「主文」欄に書かれている内容に生じるのではなく、訴訟物についての判断に生じるので、債務不存在確認請求に対する棄却判決では、たとえ「理由」欄で債務の存在が認定されていても、「訴訟物たる債務が不存在であること」が既判力をもって確定される、それは、訴訟物以外の判断(=理由中の判断)に既判力が生じることを認めるものではない)ということですね。
それで納得できました。

ただ、ちょっと質問の経緯がわかりにくかったかもしれないので補足させていただきます。

大学の授業で、以下のように教授がおっしゃったので、表題の疑問が生じたのです。

「XのYに対する100万円の金銭債務が、30万を超えては存在しないことの確認を求める」(前訴)との請求を単純に棄却しただけでは、「XのYに対する100万円の金銭債務が、31万を超えては存在しないことの確認を求める」(後訴)との請求を既判力で排斥することはできない。
なぜなら、この場合の前訴棄却判決によって、「XのYに対する100万円の金銭債務が70万存在する」との事実が既判力をもって確定されるわけではないからである。
上記のような後訴を排斥するには、前訴請求を単純に棄却するのではなく、判決理由中で「XのYに対する100万円の金銭債務が70万存在する」ことを認定し、残債務額を確定しておかなければならない。

この内容は間違っていないですかね?
もしお手数でなければ、お答えいただければ幸いです。

お礼日時:2015/06/02 22:57

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