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化学を専攻している者です。
大学で電荷移動相互作用を教わりましたが、
いまいち理解しかねています。

1. 電荷移動は電子のやり取りだとは思いますが、電子がひとつだけ移動するのでしょうか。
それとも孤立電子対のようなペアで移動するのでしょうか。前者の場合、単に電子のやり取りでイオン化してイオン結合を作る、あるいは共有結合を作るだけのような気がして、なぜ特別に電荷移動相互作用と切り分けて分類しているのかわかりません。

2. 二重結合を持つ分子同士であることが絶対条件なのでしょうか。代表例としてピレンやテトラチアフルバレンなどを教わりましたが、上に書いたような孤立電子対の移動と考えるなら、単結合のみを持つ化合物(炭化水素やハロゲン化炭化水素、ないしはヒドロキシル基を持つようなもの)と二重結合性の化合物(ベンゼン誘導体やカルボニルなど)の組み合わせでも起こりうると思うのですが。例えばハロゲンやアルコールなどは、炭化水素と単結合していても孤立電子対を持ちますよね。この孤立電子対がベンゼンのπ共役系に流れ込むことを想像しました。分極の大きさや原子半径、HOMO, LUMOなども関わって来そうな気もしそうですが、そういう例はありますか。

よろしくお願いします。

A 回答 (4件)

で電荷移動錯体ですが、先に「(笑)」った訳は電子供与体electron donorと、電子受容体electron acceptorのDとAを先走って使ったからです、他の文字を用いると混乱が起きるかも知れないから。

ここでこれらの性質を持った化合物はほぼ有機化学に現れる親戚と一致していると云う事が分かります。ただここで頭を柔らかくして欲しいのは、A^-D^+とはっきり書ける場合からA^δ-D^δ+と描く方が適切だという場合まで様々だと云う事です。2の例に現れた物質は前者に近く例えばルイス酸として研究室で合成の触媒としてお馴染みのBF3・OEt2の様にエーテルは単なる安定剤と見た方が良い場合まで様々だと云う事です。前者の例として我々の年代で良く使われたのはピクリン酸、2,4,6-trinitrophenol少しこだわると2,4,6-trinitrobenzen-1-olが良く知られていました。なおこれが使われた目的は有機物の分離で、十九世紀の天然物化学から始まっていますから、当初はなぜ他の酸ではダメなのか分からなかったのです。我々も実際に反応混合物から特定の成分を摘まむのに時々お世話になりました。ピクリン酸には我が国の栄光と悲惨が詰まっています。これだけは英文では無く邦文wikipediaを読むしかないでしょう。それは実験台とは関係無く、きれいに説明されたのはHOMO,LUMOの世界が来てからです、ピクリン酸は構造から分る様に非常に強力なacceptorで同時に強酸ですからくっつけたり、剥がしたりし易いのです。
蛇足、栄光と悲惨と関係あるのですが、ピクリン酸picric acidは爆薬で時々爆発するのです。注意が必要な点は過塩素酸塩も似ており、こっちの方が何十倍も危険で、扱う時は金属器が使えない、さらに爆発力が大きく10mg単位で失明、鼓膜破損を起こします、蛇足の蛇足、失明は恐いですが鼓膜破損は余り重篤ではありません、無きゃ困るが完全で無くても良い、私は両方の鼓膜が破れていますが、突発性難聴が来るまで40kHzまで聞えて夏の夜の公園は地獄、虫の音のエネルギーは凄まじく、薮には近付けない。
さて余り重要ではないが想い込みをしない方が良いのがHOMOとLUMOの「英語表記」つまりoccupiedと書かれているけどそれは三重項酸素の様なラジカルでまだ電子の入る余地があるかも知れず、また同時に一電子取られると空っぽになってしまうかも知れない、unoccupiedあるいはvacantの方も全く同じでまだ電子が入る余地があるかも知れないし、そこにはもう一電子入っているかも知れない。だからこの表記はパウリの排他律を理解して使わないと、春の年会は時間がないが、どこかの討論会でガキが偉そうに使うと、有名な先生がニタッと笑いながら「その軌道もう一電子入れますよね」などと揚げ足を取るので注意、それは只の使用上の注意だが、あなたが難度の高い雑誌(最近はネットばかり)に投稿する時は安易に使わない方が良い。使う必要があるなら厳しい物理化学屋に見て貰おう。上に挙げた酸素の例が私が留学したD.T.Sawyerの売りのsuperoxideで酸素分子を一電子還元すると二重項になる、このラジカル陰イオンの性質と反応を見るのだが、性質は簡単でも定量は地獄。(笑)
まあ大体こんなもんでしょう。気になる点があったらお申し越し下さい。
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レス有り難うございます。

まだ先があるので、閉めないで。
フロンティア電子軌道については留学した時に想い出したくらい古いので、さっぱり分かりません。
私に厳密な議論を期待しても無理です、次は電荷移動錯体の話しですが、今日はお休みかも。
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小さな追加。

福井先生の理論のところで、LUMOへ電子が詰まる話しばかりしましたが、HOMOから電子が奪われても良いのです、ただこっちの方はイメージ的に分かりにくいし、片方の電子を失ったHOMOの形状で反応様式が決定されると云うのもアリだと昨日アップした直後に突然想い出しました。なお電子移動は分子間である必要はありません、私事になりますがポスドク時分子状酸素・つまりどこにでもある酸素分子の反応の権威で機器分析にも強いDonald T. Sawyerの下で初めて電気化学に触れた時、同時に福井先生の理論を目の前の反応器中の電極の上で具体的に理解して感動しました。つまり電極表面でLUMOに一電子加えても、HOMOから一電子奪っても同じ原理が適用されます。
以下蛇足の蛇足。電気化学には派閥があり嫌らしいです、なおこれは学派的・哲学的派閥では無く、工業・工学派と分析・研究者派の間のもので、特に前者には日常的だが後者には蛇蝎の様に嫌われる「過電圧」は、相手がどちらの派閥か確認するまで使わない方が得策で、ひと言触れるとどちらも自分の方に引きずり込もうと、一時間以上講義されます。最悪なのが人間的には凄く親しいが派閥が異なる研究者がもう一人辺りに居ると、ほとんど無意味な講釈を聞かされます。なおこいつらが急に仲良くなって「素人」に教えたがるのが、電気分解における化学種の移動の話し、つまり電気分解は電極上ではちゃんと起こるが、陽極と陰極の間の溶液中では何事も起きていない、と云う事で小学生の時みんな大嘘を教えられますが、電極上の「電気二重層」など神童なら知っている時があるが、普通の子には理解出来ない。ではなぜこんな事になったかと言うと科学界の大物で悪役のニュートンに対し善玉がマイケル・ファラデー。ファラデーは実験助手からの叩き上げのため、数学教育をほとんど受けず電気・磁気の法則はほとんど一人で見付けたが、物理法則化出来なかった。今回はファラデーが定量化までした電気分解が何に使われるか、が、問題で工業的に大規模に行なわれていますが、そっちと既に触れた分析化学の電極表面の物理・化学とは実際上全く違うものに別かれてしまった。
(済みません、二回目の中断)
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この回答へのお礼

早速のご回答ありがとうございます。
専門家の方に回答いただけるとは思っていなかったため、感激しております。

質問1について、やはりHOMO, LUMOが重要なのですね。
なぜ(笑)なのかという部分をもう少しお聞きしたいところです。

文献が古すぎて見つからないとのこと承知のうえで伺いますが、
フロンティア軌道論について、基礎からしっかりと学びたいので、
何か書物をご推薦いただけませんでしょうか(英語でも構いません)。

また、電気化学反応に関する興味深いお話もありがとうございます。
私自身は、溶液中での電気分解は電極と溶液の界面部分でのみで起こると考えていたのですが、
その認識は誤りということなのでしょうか。電極金属とイオン(イオンですよね?)の
化学反応である以上では、界面まで物質移動してきたイオン種でなければ反応できないと思うのですが。。。
また電気二重層を形成した場合、界面の二重層のみに電圧が集中し、溶液バルク部分にはほとんど電圧は
かからないような気もして。

二回目の中断ということで、続きを楽しみにしております。
よろしくお願いします。

お礼日時:2016/07/23 10:09

HOMO、LUMOと書かれてしまうと元専門家としては答えざるを得ません。

どなたかが答えてくれるだろうと思って居たのですが、お答えが付かないので私が書きます。遅くなったのは旅行中だったから。なおこれは化学の根本問題で、福井謙一先生がウッドワードとホフマンと共にノーベル化学賞を取られた最重要中の重要問題なので、一回では疲れて死にます。(笑)
2.は少しややこしいしあなたの理解がかなり混乱しているので、後回しです、簡単で重要な1.から行きます。
>電荷移動は電子のやり取りだとは思いますが、電子がひとつだけ移動するのでしょうか。
本当は福井先生のフロンティア電子理論の本を読んで欲しいのですが、古すぎて見つかりません。福井先生の発想が凄まじいのは全ての化学反応をたった一つの電子移動で説明してしまうからです。それは福井先生が化学より物理系統の方だからだと思います。ウッドワード・ホフマン則は4+2環状付加時の厳密な立体規則を天然物合成の巨匠Robert Burns Woodwardと天才的理論科学者Roald Hoffmannが見事に説明したものですが、有機化学屋の私には狭く感じられるのです。なお私は邦文wikipediaを嫌っていますので英文しか使いません。
https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Burns_Woodw …
https://en.wikipedia.org/wiki/Roald_Hoffmann
そこであなたの疑問に帰って来ると、これは福井先生の理論そのもので、二つの化学種DとAが反応する時(笑)DからAに一電子が移動し、その移動先の分子軌道の形状で全ての反応性が説明出来る、と言うものです。非常に大雑把に言うとDのHOMOからAのLUMOへ電子移動が起こり、後者の形状で反応が支配される事になります。
なぜ(笑)なのかと言うと、この話しを理解している人から見ると笑えるのです。
なお、この電子移動は時間的には量子力学的にミクロで、あなたの考えたイオン対の様に時間的にマクロなものではないのです。一方あなたの考えた時間的にマクロな電子移動で起こる反応ももちろんありそれは「電子移動錯体」と呼ばれるものです。
(一休み、誰か突っ込んでくれ)
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