■“官製通販”から次のステージへ
総務省が「返礼品は地域の経済に寄与する地場産品」「寄付額に対する返礼品の割合は3割以下」と、ふるさと納税の制度を改正したのが2019年6月1日。これにより、過熱する返礼品競争に終止符が打たれることとなった。
「官製通販と揶揄された返礼品勝負の時代は終わり、次のステージに入った感じがします。税金のあるべき使い方を体現したものが増えており、ふるさと納税の理想像に近づいている気がします」
と語るのは、ファイナンシャルプランナーの松浦建二さん。
ふるさと納税は、もともと、生まれ育った故郷や応援したい自治体に寄附をするための制度として誕生した。そのため、集めた寄附金がどのように使われるかを把握した上で自治体を選ぶことは重要だ。
「税金の使い道としては、地方の少子化や空き家など社会問題の対策、積極的な教育支援、災害支援などがあります。例えば、広島県神石高原町は、犬の殺処分ゼロへの取り組みを行っています。島根県津和野町では、人口減少に伴い 統廃合の危機にあった津和野高校を次の世代へつなぐための活動に力を入れています。また、広島県府中市では、ドローンレーサー育成のための教育支援といったユニークなものもあります」(松浦さん)
昨年、火災により全焼した首里城の再建に向けたプロジェクトに多額の寄附金が集まるなど、利用者側の意識も変わりつつあるようだ。
■納税先を選ぶコツは?
では、自分の価値観に合わせてふるさと納税を利用するには、どうしたらよいのだろうか。
「総務省のふるさと納税ポータルサイトが入口となりますが、ここでは制度の仕組みは理解できるものの寄附先の選択は難しいので、ふるさとチョイスやさとふるなどを利用するのがやはり便利です。いくつかの事業者のサイトをみれば、露出度やランキングなどから積極的な自治体や魅力的な返礼品は探しやすいです」(松浦さん)
ふるさと納税ポータルサイトで代表的なのは、ふるさとチョイス、楽天、さとふる、ふるなび、ANAの5社。大まかに説明すると、積極的な自治体や税金の使い道をわかりやすく解説しているのはふるさとチョイスとANA。楽天ユーザーなら、ポイントがたまる楽天ふるさと納税は押さえておきたい。「やっぱりお得な方がよい」という人は、Amazonギフト券プレゼントなどがあるさとふるやふるなびがオススメだ。
「個人的に応援したい自治体のホームページから探すのもありです。多くの役所ホームページではトップページにふるさと納税の記載があるので、探しやすいです。本当のふるさとや、応援したい被災地などを探すのに向いています」(松浦さん)
2020年は始まったばかり。じっくり考えて、寄附したいと思える自治体を探してみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:松浦建二
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っているほか、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
(酒井理恵)