
■本来は自ら贈るものだった
そもそも内祝いとはどういう意味があるのか。よく知らずに内祝いという言葉を使っている人もいるだろう。
「『内』は内輪、つまり『家』を意味します。そこに『祝い』を足した言葉ですから、自身の家のお祝い、報告を周囲の人たちにすることを指します。現在はお返しを意味することがほとんどです。しかしもともとは、『今後ともよろしくお願いいたします』というあいさつとして、まわりの人たちと幸せを分かち合う文化だったのです」(松原さん)
現在ではもらったお祝いへの返礼というイメージが強いが、本来はよいことがあった場合に周囲へのあいさつとして贈るものだった。
「おめでたいことがあった際、親しい人たちへの報告やあいさつ、お披露目などの意味で贈ります。結婚や出産、成人などをはじめ、長寿や引っ越し、新築祝い、お店の開業、開店など、その機会は多岐にわたります。最近はお祝いをもらったときだけに留まり、内祝いを略す人も多くなっています。しかし現在でも結婚や出産などの場合、お祝いの有無は関係なく、周囲への報告の意味で贈ることもあります」(松原さん)
お祝いの品を自ら周囲へ贈るのが本来の礼儀であった。
■縁起の悪い品物はNG!
内祝いの品を選ぶとなると、何がよいか迷ってしまう人も多いのでは。具体的な品物の選び方を松原さんに聞いてみた。
「一口に内祝いの品といっても、お祝いごとの内容や金額、贈る相手によって変わってきます。しかし、NGとされる品があります。たとえば壊れやすいもの、葬儀や縁起の悪いことを連想するような品、金額がはっきりわかる商品券や現金、スリッパや靴下のような踏みつけるものなどは避けたほうがよいです」(松原さん)
葬式や法事などを連想させてしまうものや履物、壊れ物は、相手への失礼にあたるという。
「それぞれのお祝いに合わせて、結び切りや蝶結びの水引のついたのしをつけて贈ります。お祝い事の種類によって、水引の種類やのし紙への表書きは変わってくるので、その都度変えましょう」(松原さん)
「水引」や「表書き」もマナーのひとつ。
「内祝いには地域性が現れることがあります。その場合は、地域の事情に精通したギフトショップに相談するのもよいでしょう。お祝いいただいた『お礼』の場合には、頂いた品の半額程度(少なくても3分の1)の品が一般的とされています。相手の目線で喜んでいただける品を選びたいものですね」(松原さん)
地域特有の文化や、相手との関係性により贈る品物が変わる内祝い。相手への感謝や喜びの気持ちを込めて、素敵な贈りものを選びたい。
●専門家プロフィール:松原奈緒美
EXSIA代表。マナー・コミュニケーション表現の企業研修・講演や、雑誌・テレビなどで活躍。一般受講生からプロ講師、タレント、管理職など幅広く指導。NPO法人日本サービスマナー協会ゼネラルマネージャー。マナー講師の養成も手掛ける。