また「どの国であろうとファンが路上で大麻を吸うのは問題ない」、「アルコールを飲むと人は攻撃的になり、大麻を吸うと落ち着くものだ。我々は暴力を防ぎ、人々の安全を守ることを最優先としている。飲酒して暴力を振るう可能性のあるファンに焦点を当てるつもりだ」とも発表した。
教えてgooでも「大麻反対派の人って何考えてるの?」というタイトルで質問が寄せられており、大麻の使用について、少しずつ潮目が変わってきているのは事実なのかもしれない。
今回は大麻取締法の概要や日本で使用が禁止されている理由などを富士見坂法律事務所の井上義之弁護士に伺った。
■大麻及び大麻取締法(現行法)について
まずは大麻取締法(現行法)の概要を聞いてみた。
「大麻とはアサ科の一年草です。茎から丈夫な繊維が取れるので、昔から栽培され、衣類などに利用されてきました。しかし、一方で大麻の花や葉には、脳に作用する成分が含まれており、大麻を濫用すると様々な問題があります。日本においては、現在、大麻取締法によって、大麻の不正使用を防止するため、その所持、栽培、譲り受け、譲り渡しなどが原則禁止されています」(井上義之弁護士)
ちなみに大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂除く)並びに大麻草の種子及びその製品は対象から除かれており、衣類や七味唐辛子などに使われている。
■使用が禁止されている理由と法改正での変更点
現行法で大麻の使用が禁止されている理由と法改正による変更点を聞いてみた。
「現行法では、大麻の『使用』自体は禁止されていません。これは、大麻草の栽培農家が大麻の成分を吸い込み、処罰されかねないことが考慮されたためと言われています」(井上義之弁護士)
「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律が、令和5年12月6日に成立し、同月13日に公布されました。施行期日については、まだ決まっておりません。法改正の目的は大きく分けて二つあります。一つは、若者などの大麻を含む薬物の乱用が社会問題となったため、大麻の『使用』を禁止すること。もう一つは、大麻の医療的利用を可能とすることです」(井上義之弁護士)
■各国で異なる大麻の取り扱い
ここまでは日本国内に絞って話を聞いてきたが、日本以外の国はどうなっているのだろうか。医療用と娯楽用でそれぞれ伺ってみた。
「大麻に関する規制は、各国一様ではなく、様々なのが現状です。まず、大麻草を原料にした医薬品の利用は、欧米各国で、難治性のてんかんの治療目的などで使用が認められているように、合法とされている国が多いといえると思います。この点、医薬品としての利用が禁止されている日本において、患者などから解禁を求める声が出ていましたが、今回の改正でこの医薬品としての利用が可能となります」(井上義之弁護士)
「酒・煙草などと同様に嗜好品としての使用は、カナダ、ドイツ、タイ、アメリカの一部の州などで合法とされています。近年合法化がなされた国がいくつかあり、世界的には合法化の流れがあると考えることも可能でしょうが、タイでは再び禁止にする動きがあります」(井上義之弁護士)
大麻の取り扱いをどうするか、今後も目が離せない。
専門家プロフィール:弁護士 井上義之 事務所HP ブログ
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ライター o4o7
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