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悩ましい花粉症……2023年の傾向を環境アレルギーアドバイザーに聞いた!

悩ましい花粉症……2023年の傾向を環境アレルギーアドバイザーに聞いた!まだまだ寒い日が続くが、暖かい日もちらほら。そして、花粉症の人にとって辛い季節がやってくる。「教えて!goo」にも、「目は痒いし鼻はムズムズ、くしゃみが頻繁に出ますが、花粉症でしょうか?」
といった質問が寄せられていた。 “花粉症デビュー”してしまう人もいるようだ。そこで環境アレルギーアドバイザーの嶋田貴志さんに、花粉症を発症しやすい人の特徴や今年の傾向、症状を和らげる方法についても教えてもらった。

■花粉症を発症しやすい人の特徴とは?


花粉症を発症しやすいのは、どのような人なのか。

「花粉に含まれる原因物質(アレルゲン)が鼻や喉、目などの粘膜から体内に取り込まれることで、全ての人に発症する可能性はあります。しかし発症には遺伝的要因が大きく、近親者に花粉症の人がいる場合に発症しやすいと考えられています」(嶋田さん)

要因は他にもあるそう。

「後天的要因として、乳幼児期に衛生的すぎる環境で過ごした人や、抗生物質を過剰に投与された人は発症しやすいと考えられています。細菌との接触が少なく、免疫が鍛えられないことが原因とされる仮説であり、詳細な究明が課題となっています」(嶋田さん)

環境面では、思いがけないことが要因になっている。

「昭和40年代から住宅建築の用材需要にあわせ、スギやヒノキが大量に植林されました。しかしその後、安価な海外産の材木が大量に輸入されたため、伐採されずに放置されました。こうした樹木が開花適齢期を迎えた上、地球温暖化の影響も受け、花粉飛散量が増えているのです」(嶋田さん)

人間の手で植えられ、放置された樹木が花粉症を引き起こしているのだ。

■2023年の傾向は?


花粉飛散量は、どのように予測されているか聞いた。

「前年夏の気象条件から予測されます。夏の気温が高く、日照時間が長く、雨が少ない場合、花粉を作る花芽が多く形成され、翌春の花粉飛散量が多くなります」(嶋田さん)

今春は、「東北の日本海側を除き、全国的に多い~非常に多くなる見込み」という予測とのこと。

「昨夏は、東から西日本を中心に高温、多照、少雨でスギの花芽形成に好条件でした。さらに、2021から2022年は全国的に花粉飛散量が少なく、スギの木にエネルギーが蓄えられていたため、花芽形成が促進されています。今春の花粉飛散量は、九州は例年並み、四国と中国、近畿、北陸はやや多く、東海は多く、関東甲信から東北に掛けては非常に多い見込みです。スギのない北海道のシラカバ花粉飛散量は、やや少ない見込みです」(嶋田さん)

飛散開始時期は、全国的に例年並みの予想とか。

「2月上旬より九州や四国、中国、関東の一部から飛散開始の見込みで、最も遅い青森では3月上旬となるでしょう。ただ、スギの雄花はしっかり出来上がっており、1月から飛び始めた地方もあるようです」(嶋田さん)

花粉症予備軍の人も、心構えが必要かもしれない。

■花粉症の症状を和らげる方法はある?


花粉症で悩む人は多い。完治の方法はあるだろうか。

「唯一、体質改善や完治が期待できる方法に、アレルゲンを皮下注射したり、舌下に入れて免疫をつける『減感作療法』があります。ですが対応するアレルゲンの種類が限られる上、治療にも長時間がかかります。最も一般的な治療法は、鼻水やくしゃみなどの症状を抑える『薬物療法(対症療法)』であり、昨今は症状を抑える効果が高く、副作用もほぼ現れない薬剤が多く開発されています」(嶋田さん)

そもそも花粉に触れないようにすることはできないだろうか。

「外出時はマスク、眼鏡、帽子を身につけ、上着やコートは、表面がつるっとした綿かポリエステルなどの化学繊維を選ぶとよいです。帰宅時は、入室前に服に付いた花粉を払い落し、上着を脱ぎ、手洗い、うがい、洗顔を行いましょう」(嶋田さん)

他にもあるだろうか。さらに聞いた。

「屋外は花粉が飛び交っているので、飛散期は洗濯物を部屋干ししましょう。部屋の掃除機掛けも有効で、ダニアレルギーの対策にもなりますよ。乳酸菌や甜茶、柑橘類、紫蘇など、花粉症によいとされる食品もありますので、上手く利用するのも一案です」(嶋田さん)

ストレスを溜めないことや、しっかり睡眠を取り規則正しい生活を送るなど、免疫力を高めることも大切とのこと。花粉症の人は、「飛散期は辛いもの」と諦めず、症状を和らげる工夫をしながら乗り切れるとよいだろう。

●専門家プロフィール:嶋田 貴志
博士(学術)三重大学。環境アレルギーアドバイザー。(株)CLAY Lab代表取締役。北海道大学 遺伝子病制御研究所 客員准教授。南京医科大学 国際アレルギーセンター特別研究員。乳酸菌メーカーで34年間、主に免疫、アレルギーやアレルゲンを研究。現在は、環境アレルゲンの測定、アレルギーや健康に関するセミナーなどの業務に携わる。

画像提供:ピクスタ
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