■新居で心霊現象が起きた!すぐに引っ越せる?
楽しい新生活をスタートしたのに、新居で心霊現象が起きたら……。引越ししてすぐであれば、新居になんの思い入れもないし、今すぐに引っ越したい。
「一般的に、『心霊物件だったから翌日に引越しをする』というのは難しいです。賃貸物件から退去するには、時間のかかる手続きや退去の制約があり、無理に引越しをしようとすれば、違約金が発生することもあります」(清水さん)
「退去予告」の期限が定められていた場合には、その期限内は家賃を払わなければならないし、「契約期間」を定めていた場合は、その期間内に引越しをすると違約金を払わなければならない。また、次に住む引越し先が見つかり、入居審査を終えなければ、引越しすることはできない。
「ただし、契約以外の引越し作業自体は、対応してくれる業者さえ見つかれば、即日でも可能です。2~4月の繁忙期でない限り、即日引越しをするのは難しくないでしょう」(清水さん)
退去予告期限や契約期間が定められていないという条件で、新居の入居審査が最短で終われば、3日程度で引越しをすることは可能だ。
また、事故物件だということを故意に隠されていた場合であれば契約破棄などもできる。だが、基本的には弁護士への相談が必要となるため、時間と手間、お金がかかることを覚悟する必要があるそうだ。
■引越しにまつわる心霊現象
引越し先での心霊現象について、実例があるのか聞いてみた。
「購入した新築物件が実は心霊物件で、ラップ音がしたり金縛りにあったりという人がいました。お払いの相談を家の中でしていたら、さらに霊障が強くなったとか。霊媒師も呼んだそうですが効果はなく、精神的にも参ってしまったようで、泣く泣くその物件を売りに出すことにしたようです」(清水さん)
大事な家を手放す選択をしたとは悲しい話だ。他にも、引越しにまつわる心霊現象があったと清水さんは続けた。
「引越し業者に聞いた話ですが……亡くなった方のお部屋の荷物を、親族のもとへ届けるまでの間、『一時預かりサービス』で荷物を預かっていたそうです。倉庫は普段から厳重に管理されていますが、その方の倉庫だけ扉が開き、盛り塩も崩れていたことがあったとか。物の配置も変わっていたそうで、関係者の間では『亡くなった方が来たのだ』とまことしやかにささやかれていました」(清水さん)
実際に霊が目に見えたわけではないが、気味の悪い話だ。
■事故物件から引越しをするときに気をつけたいこと
では泣く泣く事故物件に住み続け、契約期間が終わったとする。晴れて引越しをするのだが、その際に何かするべきことはあるだろうか。
「基本的には普通の引越しと変わりありませんが、何もしないと不安という人は、家具や家電をお清めするつもりでしっかり掃除をしましょう。その際、塩や清酒などを使用すると家具や家電が劣化する恐れがあります。気になる場合は、お香を焚いて清めましょう」(清水さん)
これだけでは不安という人は、どうすればよいだろうか。
「家具などを搬入する前に、新居の玄関に盛り塩をしておくのがおすすめです。盛り塩は悪い『気』を中に入れないようにするとも言われているので『霊がついて来るかも』といった不安を減らすことができます。ただし、引越し作業中に盛り塩が崩れてしまっては意味がないので、邪魔にならない場所に置いておきましょう」(清水さん)
一番の対策は「気にしないこと」だそうだ。自分の気持ちがしっかりしていれば、新居では安心して暮らせるだろう。
今回は、心霊物件に関しての話題をご紹介したがいかがだっただろう。できれば、こうした物件には出会いたくないものだが、他人事とは言っていられないときもある。運悪く、そうした場面に巡り合ってしまった人は、今回のアドバイスを参考に対処してもらえれば幸いだ。
●専門家プロフィール:清水 朋香(しみず ともか)
引越しの見積もり依頼や予約サービスを提供する「引越し侍」の編集部員。大学卒業後、地方雑誌の編集を経て専門ライターとして引越し侍へジョイン。自身が経験した複数回の引越し体験と、引越し侍での執筆業務によって経た知識から引越しだけでなく、賃貸契約などにも関する幅広い情報発信を行っている。