![労働組合のメリット・デメリット](http://oshiete.xgoo.jp/_/bucket/oshietegoo/images/watchmain/7/542301348_5ac587e71209d/ORG.jpg)
■労働組合のメリット
まず改めて知っておきたいのが、そのメリットだ。
「労働組合は、その会社の従業員が少しでもよい条件、環境で働くことを実現するためのものです。具体的には、従業員の要望を経営サイドに伝えて交渉します。『人事発令があまりに急なので早めに出してほしい』、『地方転勤の際の社宅の選択基準(広さ等)を緩やかにしてほしい』といった要望が認められたケースがあります。また、経営サイドが社内規定の改定を行おうとする際に労使交渉ができることも大きなメリットです。これは労働組合がない場合を考えるとわかりやすいです。例えば、社長が交代したときなどに、労働組合がないと、会社の制度を一方的に変えられてしまう恐れがあります」(太田さん)
経営者が代わるたびに、職場環境が一変するのは働きにくい。
「最近は職場でのセクハラやパワハラが問題となることが増えていますが、被害にあった場合、会社の相談窓口はもちろん、労働組合に相談することも解決への近道になります」(太田さん)
『自分では問題だと思うが、世間では当たり前なのかもしれない』と、自分自身で判断がしにくいときも、労働組合に加入していれば気軽に相談できるという。
■労働組合のデメリット
そういわれると、従業員にとっては「いいことづくめ」のような気がするが、デメリットはあるのだろうか。
「まず、お金の問題があり、組合員になると組合費を徴収されます。これは、組合によって異なるもので、一概にはいえないのですが、金額はおおむね月に1,000~6,000円。その他にはボーナス等の一時金から徴収される場合もあります」(太田さん)
もし毎月6000円が徴収となると、年間で72,000円だ。これは結構痛手かもしれない……。お金以外にもなにかデメリットはあるのだろうか?
「本来の業務以外に、労働組合の仕事としてやるべきことが増えます。労働組合では部署や支店単位で代議員(各部の意見のとりまとめ役)を誰かがやることになるのが一般的です。とくに代議員は代議員大会に参加する必要があるので、多くの時間と労力が必要とされます」(太田さん)
代議員は誰かがやらなければいけない。労働組合員である以上、人ごとではないのだ。
「代議員の中から労働組合の代表者となる委員長、そして副委員長、執行役員が選ばれます。選ばれると、毎月数回の打ち合わせ、資料作り、労働組合員の意見のとりまとめなどをしなければいけません」(太田さん)
一般的には組合費のなかから手当てが出ることが多いようだが、業務内容が金額に見合わないと感じる声もあるという。
■労働組合には加入したほうがよい?
メリットもあればデメリットもあるようだが、労働組合がある会社に入社したら、加入した方がいいのだろうか?
「会社によって異なります。必ず労働組合に加入しなくてはいけない制度の会社もあり、それはユニオンショップと呼ばれています。その一方で、個人の意思に委ねられているところもあります」(太田さん)
では選べる場合、労働組合には加入したほうがよいのか。太田さんはどう考えているのか聞いてみた。
「それは状況によって違いますし、個人の自由ですから……。ただ、一般論でいえば、デメリットよりもメリットのほうが大きいので、加入したほうがよいケースのほうが多いとは思います。個人では仕方ないと我慢して終わるようなこと、例えばちょっとした待遇改善の申し出も交渉の場にのせられます。とくにユニオンショップの場合、立場が弱くなりがちな従業員全員が組合員なので、より会社と対等な立場で交渉できることがメリットです」(太田さん)
ちなみに、労働組合は経営サイドにもメリットがある。労働組合を通して現場の意見を知ることができるため、就業規則改正等を提案する際の交渉材料を収集するのに役立つ場合もあるのだ。
労働組合は会社によって活動内容が異なる。選べる場合は、社内の先輩や上司から意見を聞いて一考してから、入るのか入らないのかを判断してもよいだろう。
●専門家プロフィール:太田恵美
めぐみ社会保険労務士事務所 代表。特定社会保険労務士。大学卒業後に大手総合リース会社に入社し、退職後は川越地区労働基準協会に勤務。従業員としての経験も長く、その気持ちをよく理解した対応が好評を博している。