■JPモルガン・チェイス・パラジウム・カード
日本国内で発行できるブラックカードのうち、入会審査の難易度と年会費が最も高いものが、前回紹介したアメリカン・エキスプレス・センチュリオン・カード、通称「センチュリオン」だ。しかし、どうやら海外にはそれを上回るカードが存在するらしい。
「海外に目を向けると、センチュリオン以外にもさらに高いステータスを誇るカードがあります。たとえば、オバマ前大統領が利用していたとされる『JPモルガン・チェイス・パラジウム・カード』です。通称パラジウムカードといいますが、2016年にパラジウムカードの発行は停止し、『JPモルガン・リザーブ・カード』という名前で引き継がれているようです」(菊谷さん)
何とあのオバマ前大統領も所持していたとは……。どんなカードなのか興味津々である。
「その名の通り、パラジウムという貴重な金属と23金を合わせた素材で作られています。
入会するためにはもちろん招待が必要で、ケタ違いの富裕層を対象としたカードです。JPモルガンにプライベートバンクを開設し、最低でも1,000万ドル、日本円にして約10.6億円(2018/3/14の1ドル=106.32円のレートで換算。以後、同様)以上の取引がないと持てないカードと噂されています」(菊谷さん)
まさに、選ばれしものだけが持つことを許された究極のカードといえよう。
■パラジウムカードの特典とは
では、パラジウムカードにはどんな特典があるのか教えてもらうことにした。
「年会費はセンチュリオンに比べると意外にも安く595ドル、上記同様、円にすると約6万3千円である(2018/3/14の1ドル=106.32円のレートで換算)。もちろん、お得な特典もあります。レストランや旅行に関わる費用なら1ドルにつき3ポイント、それ以外は1ドルにつき1ポイントが貯まります。1ポイントは、提携している航空会社1マイルや1セントとしてキャッシュバックされます。最低でも還元率1%に近いということになります。また、外貨取引の手数料も無料です。通常クレジットカードの利用状況は個人情報機関に共有されますが、このカードは顧客データに送られないため、プライバシーが守られているといえます」(菊谷さん)
ちなみに、Instagramのハッシュタグ「#palladiumcard」を検索すると、富裕層がカード自慢している姿を見ることができるそうだ。
■バンクオブドバイ・ファースト・ロイヤル・マスターカード
他にもすごいカードはないのか尋ねたところ、もう一つあるという。
「世界で最も煌びやかなクレジットカードといわれているのが、『Bank of Dubai First Royale MasterCard(バンクオブドバイ・ファースト・ロイヤル・マスターカード)』です。カードには金箔が散りばめられ、中央にはダイヤモンドが埋め込まれています。ドバイに住んでいる富裕層で上位100名くらいしか持つことができないとの噂で、王室や石油ビジネスの成功者しか持つことができません。年会費は公表されておらず、人によっては無料や日本円にしても数万円程度だそうです」(菊谷さん)
ドバイや石油というワードを聞いただけでも、セレブのニオイがぷんぷんする。その特典もすごそうだが……。
「カードの保持者にはコンシェルジュどころか、献身的にサポートしてくれる専属のマネージャーが付き、超一流のライフスタイルをサポートしてくれるそうです。依頼をすれば飛行機のアップグレード位はもちろん可能なのですが、このクラスの超富裕層はプライベートジェットで移動するため些細な特典といえるでしょう。実は利用金額の4%がキャッシュバックされるということで、1億円利用したら400万円がもらえる計算になります。国内外を見ても常時4%の還元率というカードはなかなかありません。キャッシュバックも桁違いということで、世界中の富裕層の内でも特に富裕層のみが持てるカードといえます」(菊谷さん)
何もかもが桁違いで、まさに異次元としかいいようがない。
日本国内では発行不可能な海外にある超富裕層向けのクレジットカード。ブラックカードでも満足できない強者が海外にはたくさんいるようだ。世界は広いということを実感した取材であった。
●専門家プロフィール::菊谷 彩加
自分にぴったりの「クレジットカード」を見つけ出すことができるサイト「ナビナビクレジットカード」編集部員。クレジットカードを研究して12年。監修記事は300以上におよぶ。JALカードをメインに10枚のクレジットカードを使い分け、クレジットカードライフを満喫している。