
■体にうれしい薬味のメリット
“風味が増す”ということはもちろん薬味のよい点だ。それ以外のメリットはあるのだろうか。
「薬味は食材のネガティブな部分を隠し、料理に爽やかな風味を与え食欲を増進させます。夏場の食欲が落ちているときや冬場の鍋料理の味変など、季節を問わず活躍してくれます」(みいこさん)
具体的な効果を聞いてみた。
「食材の臭みを和らげ、食欲増進につなげます。抗菌や防腐効果も期待できます。体の中に入ると、消化を助けてくれるという役割もありますよ」(みいこさん)
一方で、食べ過ぎるとお腹を壊したり、気分が悪くなる人もいるという。香りを楽しむ程度に食べるのがおすすめだ。
■加熱、非加熱の薬味を使った食欲増進レシピ
ご飯がすすむ加熱レシピの「薬味の豚肉巻き」からだ。
「材料(2人分)は、豚バラスライス(10枚)、みょうが(5個)、大葉(10枚)、濃口醤油(大さじ1と1/2)、みりん(大さじ1)、てんさい糖(大さじ1)です」(みいこさん)
そして作り方だ。
「まず、みょうがを細切りにしておきます。次に、豚バラスライスに大葉を置き、みょうがを巻きましょう。すべてを巻いたら、フライパンに並べ、強火にかけ返しながら焼きます。色が変わってきたら、てんさい糖、みりん、濃口醤油を加えて味をなじませて完成です」(みいこさん)
続いて、より香りを楽しむ非加熱レシピの「薬味が効くおろしそば」だ。
「材料(2人分)は、ゆでそば(2玉)、さば缶(1缶)、みょうが(2個)、大葉(6枚)、梅干し(2個)、大根(10cm程度)、薬味ねぎ(適量)、天かす(適量)、刻みのり(適量)、そばつゆ(400ml)です」(みいこさん)
調理方法はとても簡単だ。
「下準備として、みょうがと薬味ネギを小口切りに、大葉は千切りに、大根は皮をむきすりおろしましょう。そばをサッとゆで、流水で冷まして器に盛ります。その上にさば缶、大根おろし、天かす、梅干し、大葉、薬味ねぎ、みょうがをのせて、冷やしたそばつゆをかければ完成です」(みいこさん)
手軽にできる清涼感のあるレシピだ。暑い日にぜひ実践してみたい。
■余りがちな薬味の保存方法
薬味が好きな人でも、使いきれずに余らせて捨ててしまうことがあるかもしれない。保存方法も聞いておいた。
「しそは大葉の茎の部分だけ水に浸かるようにして、冷蔵保存しましょう。しょうがとみょうがは全体が水に浸かるようにし、冷蔵保存がおすすめです。ねぎは根元を切り落とし、二等分にして濡れたキッチンペーパーで包み、冷蔵庫に立てて保存しましょう」(みいこさん)
風味を豊かにするだけではなく、消化を助けたり、抗菌・防腐効果がある薬味。夏は特に、食欲のない暑いときでも食べやすく、体調管理にも使え、一石二鳥だ。みなさんもぜひ、ご家庭で試してみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:みいこ
一般社団法人献立マイスター協会代表理事。管理栄養士。のべ5,000件以上の栄養指導を行う。献立の資格講座主催・献立コンサル業も行い、献立を立てる際に便利な『栄養士さんの献立ノート』は限定300冊が好評完売。「日本中の食卓をおいしく健康的に!」をモットーにオンラインサロン「栄養士さんの献立サロン」を運営。Instagram(フォロワー2.9万人)でも情報発信中。
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