■親に言う?それとも子どもに直接言う?
お話を伺ったのは、保育士歴30年、潜在意識を活用した子育てトレーナーの濱田恵利子さん
「親と子どもが一緒にいる場合、最初から親に働きかけると『あなたの子ども、どうにかして!』という伝わり方をする可能性があるので、あまりおすすめできません。小さな子どもでも、言われていることは分かりますので、優しく教えてあげると良いでしょう。管理者、つまり車掌やスーパーの店員などが近くにいる場合なら、代わりに注意してもらうのも一つの方法です」(濱田さん)
濱田さんによると、注意する上で一番大事なことは、まず自分の気持ちを俯瞰することなのだという。
「『皆が迷惑しているから代表して私が言うんだ』などではなく、『自分が本当に迷惑していて、注意したいからするんだ』という点をよく確認しましょう。逆に、『注意するほどでもないな』と感じたのなら、言う必要はありません。あくまでも注意したいのは『自分』だということを認識することが大切です」(濱田さん)
後述するが、予測できない事態が起こったとき、この最初のプロセスは非常に重要な意味をもつ。さらに、
「潜在意識で良くなる未来を想像すると、その通りになると言われています。上手くいくイメージを思い描いて注意しましょう」(濱田さん)
とのこと。「こんなこと言って嫌がられたらどうしよう」という意識で接すると、不安な気持ちは言葉や態度に確実に表れ、結果的に上手くいかなくなることも。では続いて、実際にどんな言葉を投げかければ良いのかについて聞いてみた。
■大事なのは伝え方。でも、逆ギレされたらどうすればいい?
「一番大事なことは、『私は、こう思う』という『アイ・メッセージ』で伝えること。自分が嫌な気持ちがするということを、責める感じではなくユニークに伝えられると相手も聞き入れやすいと思います。例えば、『大きな声出すから、私びっくりしちゃって、心臓が止まるかと思ったわ~』などですね。騒いでいる子どもよりも大きな声で注意する大人がいますが、知らない大人から急に大きな声を出されたらビックリしますし、逆効果です。静かにしてもらえると嬉しいわ、と優しく伝えましょう」(濱田さん)
「公共の場なんだから静かにするのがマナーでしょ」、「皆が迷惑がっているのよ」などという言い方をついしがちだが、こうした言葉は反感を買いやすいという。
「他の人が本当に迷惑しているかどうかは、実際のところは分からないですよね。また、子どもではなく親に言う場合、親は自分が責められているように感じます。あなたを責めているんじゃなくて自分の気持ちを伝えている、というスタンスで接しましょう。子育てを終えた人であれば、『うちも大変だったのよね~』と共感しながら伝えると、相手も聞き入れやすいです」
しかし、中には無視や逆ギレをしてくる親もいるのが事実。良かれと思って注意したのに、「言わなきゃ良かった」と後悔したり、悲しい気持ちになったりすることだろう。だが、ここで大事なのは、最初に述べたように、迷惑行為を注意すると決めたのは自分の責任なのだ。
「他人の気持ちや行動をコントロールすることはできません。相手の行動を止めさせようとするのではなく、あくまで自分の気持ちを伝えたかったから伝えたんだ、という認識に切り替えることが重要です。相手が分かってくれなかったら、それはそれで仕方のないことです。すべて自分の思い通りになることはありませんからね」(濱田さん)
注意されて逆ギレするのは、自分の子育てに何か後ろめたい部分があるのを隠そうと虚勢を張っている、とも考えられる。どうしてもモヤモヤした気持ちが拭えない場合は、「この人も大変なんだな」と、どこかで心に折り合いをつけることをおすすめする。
●専門家プロフィール:濱田恵利子
「こどもビッグスマイル」代表。保育士歴30年の経験を活かし、子どもの成長発達方法と、親子で幸せになれるマインドの作り方を伝授。潜在意識を活用した子育て講座のほか、スカイプなどを使った個別相談にも対応している。
(酒井理恵)