
■そもそも子どもにおやつは必要?
まず、子どもにおやつは必要なのかを聞いた。
「おやつは、昼食から夕食の間のエネルギーを補うために必要な『補食』です。子どもは運動量が多く、エネルギーもたくさん使いますし、胃が小さく十分な量を一度に食べられないこともあるため、朝、昼、夜の3回の食事だけで十分な栄養を摂取するのは難しいと考えられます。おやつには、足りない栄養を補うという役割があります」(小針さん)
おやつは子どもの成長になくてはならないものと分かったが、ずっと家の中でゲームをしているような、運動量の少ない子どもでも必要なのだろうか?
「ゲームなどをしながらダラダラ食べる習慣がつくと、味わって食べなくなり、量も食べ過ぎてしまいがちです。また、食事のリズムが乱れたり、人とのコミュニケーションも不足したりするので、食べる時間や量を決め、『ながら食べ』はしないようにしつけることが大切です。栄養を補うためだけではなく、人とのコミュニケーションやリラックスできる『楽しい時間』にすることも、おやつの重要な要素なのです」(小針さん)
運動量が少ないからとおやつを禁止するのではなく、食べ方などしつけをきちんとすることが大切であると分かった。
■おやつは何歳ぐらいから出せばいい?
「子どものおやつやジュースは何歳から?」という質問が「教えて!goo」に寄せられていた。子どもにおやつを出す年齢について小針さんに聞いてみた。
「一般的に奥歯が生えそろい、しっかりと咀嚼(そしゃく)できるようになる3歳くらいから与えるのがよいと言われています。ただし、柔らかいものや口どけのよいもの、市販の赤ちゃん用のおやつであれば1歳くらいから与えられるものもあります。1日のおやつのカロリーとしては、150~200キロカロリーを目安にしましょう」(小針さん)
日々の摂取カロリーを確認し、与え過ぎにも気をつけたいところである。
■子どものおやつはどんなものがいい?
一般的に「おやつ=お菓子」と捉えがちだが、どんなものがよいのか聞いてみた。
「子どもの成長に不可欠な栄養素を含むおやつとしてまず挙げられるのが、骨の発育に必要なカルシウムを含む、牛乳、チーズ、ヨーグルト、小魚などです。給食でも小魚とアーモンドを水飴などで絡めた『アーモンドフィッシュ』を牛乳と一緒に出しているところもあります。小魚には牛乳のカルシウムの吸収力をアップさせるビタミンDも含まれ、スナック感覚で食べやすいです。しらすとチーズを加えたおやきや、小さなおにぎりなどもおすすめです」(小針さん)
他には、どんなものがおすすめなのだろう。
「良質なたんぱく質を摂取することも重要です。ゆで卵やおからクッキー、ホットケーキミックスに豆乳を混ぜて作ったドーナッツや、白玉粉に豆腐を加えて作った白玉団子なども簡単に作ることができおすすめです。また、ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含む旬の野菜や果物もよいでしょう。野菜や果物に含まれる甘み、酸味、苦味など複雑な味わいを経験することで、味覚も育ちます。『果物+ヨーグルト+きな粉』や『全粒粉クラッカー+野菜やフルーツ+カッテージチーズ』、ホットケーキミックスに刻んだ野菜を入れた蒸しケーキ、茹でたブロッコリーのチーズがけなどもおすすめです」(小針さん)
おやつは栄養だけでなく、味覚を育てる大事な補食である。与え方によって、子どもの味覚や嗜好の形成、将来の肥満や高血圧などの生活習慣病や、骨や歯の発育などにも大きく影響するという。
子どものおやつについて悩んでいるママがいたらぜひこの記事を参考にしてほしい。
●専門家プロフィール:小針 衣里加
日本フードバランス協会代表、フードバランスアドバイザー。2012年に日本フードバランス協会を設立。バランスのよい食事法を学ぶ資格講座の講師を務め、食事や健康をテーマにした講演を全国で年間80件以上行う。飲食店のメニュー開発や商品監修も手掛けている。著書に「食べるだけで若くキレイになる方法」(サンマーク出版)、「無理せずやせ体質を手に入れるプロテイン+αダイエット」(ごきげんビジネス出版)がある。