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新潟県立植物園スタッフに聞いた!藤の木の脅威の生命力

新潟県立植物園スタッフに聞いた!藤の木の脅威の生命力春に開花する美しい藤の花。「藤棚」に育てられた藤の花を鑑賞するのが王道だが、自宅でも育てられるのだろうか。「教えて!goo」にも、「藤の木の生態について」というタイトルで、藤棚以外でも育てられるのかと質問が寄せられていた。そこで今回は、新潟県立植物園の丸山さんに、育て方に加え、その生命力や日本文化との関わりなど、藤の花にまつわる話を教えてもらった。

■藤の花の種類・育て方


はじめに、藤の花の種類や育て方について聞いた。

「古くから藤は、日本に自生している野生種が3種、海外から入ってきたものが2種あり、それらをもとに多様な園芸品種が生み出されています。4月下旬くらいから5月にかけて開花し、花は淡紫色(うすむらさきいろ)から濃紫色(こむらさき)、または白色です。どの種類からもよい香りがし、虫たちだけでなく私たちも、思わずその甘い香りに吸い寄せられてしまいます。大きさの違う5枚の花びらが蝶のように並ぶ様子から『蝶形花(ちょうけいばな)』と呼ばれる藤の花は、ブドウのように房状につくその姿はもちろんのこと、風に揺られる様は、侘び寂び(わびさび)を重んじる日本人の心に響くものがあるでしょう」(丸山さん)

「藤棚」を使う以外に、育て方はあるのだろうか。

「藤棚を使って育てると、垂れ下がる花や葉を観賞しやすいですが、鉢や地植えで育てても十分楽しめます。ご自宅の壁にツルを這わせたり、生け垣のように育ててもとてもきれいですよ」(丸山さん)

剪定方法にコツがあるというので、さらに聞いた。

「マメ科の仲間でありよく育つのですが、剪定の時期を間違えて、うまく咲かせられなかったという話はよく聞きます。花を観賞するという点において最も大切なのは、夏に行う『花後の剪定・誘引』と冬に行う『落葉後の花芽を残しながらの剪定』です」(丸山さん)

夏に行う「花後の剪定・誘引」は、葉が茂る頃、風通しや日当たりをよくするため不要な枝を適当な長さに切ること。冬に行う「落葉後の花芽を残しながらの剪定」は、花芽の付いていない枯れ枝などを切ること。藤の育成には、適した剪定が不可欠なのだ。

■藤の花と日本文化の関わり・言い伝え


日本古来の花木と言われた藤の花は、その優美さから観賞用として重宝されただけでなく、さまざまな書物や歌集にも引用されたそうだ。

「ヤマトタケルノミコトが登場する『肥後国風土記』や『万葉集』、『源氏物語』には藤の話が登場し、『古事記』には、藤で作った紫色の衣服や弓などが、女性の心を射止めた話などが記されています。日本太古の時代から高貴のシンボルカラーであった『紫色』の藤は、古くから布の原材料としても利用されていました」(丸山さん)

一方で、その形から神的な象徴とも考えられていたそうだ。

「藤のツルの様子などがヘビに似ていることや、藤が“不時”を想像させることから、忌む風習もありますが、『神聖な木』として扱われることも少なくありません。房状に咲く花が稲穂を連想させ、豊作を予兆させると考えられたことから、農作業をはじめる季節に、ツツジやヤマブキとともに山から藤を採ってきて軒先に掲げるという習慣もありました」(丸山さん)

神霊が寄り付く「依代(よりしろ)」でもあった藤が、今、世間を大いに盛り上げているアニメ『鬼滅の刃』では、鬼が苦手なものとして描かれていることにも納得だ。

■藤の花の生命力


丸山さんいわく、生命力の強さは藤の魅力のひとつとのこと。

「藤は、空気中から窒素分を吸収することができる(根に共生している根粒菌のよるもの)マメ科の植物のため、短時間であっという間に大きくなります。実際、森を覆いつくさんばかりに藤の花が咲いている光景を、見たことがある人も少なくないのではないでしょうか。あまりに旺盛な生命力により、他の植物が光を採れなくなったり、そのツルにより枯らされてしまうこともあります。しかし、その驚異の生命力が藤の魅力をより一層、引き立てているのではないでしょうか」(丸山さん)

藤の優雅な美しさを支えているのは、他を押しのけても生きようとする強さや生命力なのかもしれない。新潟県立植物園はもちろん、新潟市江南区にある「北方文化博物館」や、燕市にある「八王寺」、栃木県足利市の「あしかがフラワーパーク」の藤も見事だそう。

なお、北方文化博物館の藤棚は今月(2021年1月)の大雪で倒壊してしまい、ニュースにもなっている。藤棚のほとんどが損傷してしまう被害にあったが木は枯れてないため、春には花が鑑賞できるように手当てをするという。生命力の強さを見せる藤棚が復活し、鑑賞できる春を楽しみに待ちたい。

●専門家プロフィール:新潟県立植物園
平成10年、新潟市秋葉区に開園。19.8ヘクタールの園内に四季を彩る10万株超の植物を植栽。国内で有数の花き生産地であり、約3,000種類の植物が自生する地域として、植物の収集や展示、調査、研究、教育等の事業も展開している。
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